院長インタビュー

山陽病院─透析療法をはじめ、地域の医療を担う

山陽病院─透析療法をはじめ、地域の医療を担う
辰川 匡史 先生

医療法人辰川会 理事長

辰川 匡史 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年10月11日です。

広島県東部の福山市にある山陽病院は、人工透析を専門に開設して以来、近年では介護分野に進出して社会福祉法人を設立するなど、地域に密着して医療・介護を提供しています。2016年には新病院の建替えが完了し、それを契機として辰川匡史先生が理事長に就任されました。

今回は、医療法人辰川会 山陽病院の取り組みについて、辰川匡史先生にお話を伺いました。

山陽病院 外観(山陽病院よりご提供)

山陽病院は1978年人工透析の単科クリニックとして開設したのがきっかけですが、現在では地域密着型の病院として、外科、内科、泌尿器科、整形外科の4科の診療を行っています(2018年6月時点)。患者さんの多くが近隣にお住まいの方ですが、透析に関しては市外から来られる方もいらっしゃいます。

外来透析医療はサテライトクリニック(山陽腎クリニック、山陽ぬまくま腎クリニック)で提供しています。特別養護老人ホーム、デイサービス、訪問看護など広く展開し、在宅や介護の運営も行っております。

2階 透析室(山陽病院よりご提供)

 

私の父が開院した当初から診療している人工透析部門については、現在では広島県東部において透析基幹施設としての役割を果たしています。

介護事業に進出した直接のきっかけは、当院に通い続けている透析の患者さんが年を取ってこられて、要介護状態や認知症となり、ケアの必要な方が増えてきたことでした。

介護施設の開設により、患者さんが退院したあとで行き先に困ることなく、一人ひとりのADL(日常生活動作)にあわせたケアの提案をすることが可能となりました。病気が癒えた後も住み慣れた地域で安心して暮らしていただける仕組み(地域包括ケアシステム)作りに取り組んでいます。

会議風景(山陽病院よりご提供)

泌尿器科に関しては、基幹病院で要職を務めた広島大学出身の医師が診療を行っています。地域では泌尿器科の医師が少ない中、深い知識と技術をもった医師による医療の提供が可能と自負しています。人工透析は近隣大学からのバックアップも受けて診療を行っています。

また当院では、医師や看護師以外の医療スタッフが多く在籍しており、栄養指導や健康運動指導、臨床心理士によるカウンセリング、歯科衛生士による口腔ケア、リハビリなどにも力を入れています。

整形外科 手術の様子(山陽病院よりご提供)

透析認定施設に加えて、私が肝臓専門医であることもあり、重い内臓疾患を抱える患者さんの診療が可能です。これらの患者さんの多くは、基幹病院から退院すると中小病院に移ってこられますが、中小病院では専門医がおらず退院先に困ることもあるため、地域医療で欠かせない役割を果たしていると自負しています。

肝臓専門医…日本肝臓学会が認定する専門医。

認知症の患者さんに対しても、きめ細やかな診療を心がけています。認知症を学んだ医師が診療を行い、地域包括支援センターを擁していることもあり、社会的な問題点に対しても幅広い選択肢を示しています。

入院・外来を問わず、認知症が疑われる患者さんに対しては、即日認知症を評価できます。

待合ホール(山陽病院よりご提供)

患者さんにとってわかりやすい診療を心がけています。たとえば、病気を理解しやすいよう、パワーポイントで作成した資料を診察室のモニターで見ていただきながら説明をします。患者さんがあとで読み返せるような冊子をお渡ししたりもしています。今後は動画のコンテンツを利用するなど、院内での取り組みをさらに進めていこうと考えています。

グループ公認ゆるキャラ ともにゃん(山陽病院よりご提供)

辰川会グループでは、地域社会に密着すべく、イベントを定期的に開催しています。グループが運営する特別養護老人ホームでは、「なかよしキッチン」を定期的に開催しています。これはお子様からお年寄りまで地域の方と一緒に料理をして一緒に食べるイベントで、子育て世代の支援や、高齢者と子どもがふれあえる食堂となっています。

また、一般からデザインを募集して誕生した「ともにゃん」をグループ公認ゆるキャラとして採用しています。着ぐるみも作っており、病院祭などのイベントでは子どもたちに大人気です。

私が常々感じているのは、医療界は国の制度下にあるためか新しい時代の変化に対し自らが努力する意欲に乏しいことです。今後10年間で大きく世の中は変化するでしょうから、医師もその流れから目を背けず、変化には敏感であるべきだと思っています。新しい現象には、医療と関係ないものでもまずは触れてみるという姿勢が大切なのではないでしょうか。

たとえば、当院の外来診療では、スタッフがインカムを使用して情報共有を行っています。他院の事務長に勧められたことがきっかけで導入したのですが、内線電話とは異なり業務の手をとめず同時に複数人での情報共有が可能で、とても便利だと感じています。飲食業界では当たり前のものなども医療でも活かしてゆくべきでしょう。

最先端の医療ではなく、「普通のことを普通に」。

料理店にたとえるなら、凄く高級な料理を作る店ではなくて、大衆的でもとてもおいしい料理を出す店を目指したい。超高齢社会に対応すべく、効率的で質の高い在宅医療を充実し、グループ全体で医療・介護・福祉のサービスを一体的に提供し、地域の皆様のお役にたてる事業体として邁進します。

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