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連載耳鼻咽喉科医に聞く とおりのいい“鼻し”

季節の変わり目に現れる鼻炎症状 ストレスも一因に

公開日

2020年02月13日

更新日

2020年02月13日

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2020年02月13日

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地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪はびきの医療センター  耳鼻咽喉科 主任部長

川島 佳代子 先生

春や秋など季節の変わり目に、日中と朝晩の寒暖差が大きくなるとくしゃみ、鼻水などの鼻炎症状を呈する方がいらっしゃいます。このような症状は、俗に寒暖差アレルギーと呼ばれます。「アレルギー」と名づけられていますが、厳密にはこれはアレルギー症状ではなく、医学的には「血管運動性鼻炎」といいます。なぜこのような症状が現れるのでしょうか。そしてその対処法は? 今回は寒暖差アレルギーについて解説したいと思います。

「急に鼻水、くしゃみが止まらなくなった」

「春らしくなって日中の気温が高くなったころから、朝起きると鼻水とくしゃみが止まらなくなり、夜には鼻がつまるようになりました。今まで花粉症や鼻炎と言われたことはありません。熱もないし、喉の痛みもありません」。40代女性Aさんは、急に鼻の症状が朝晩に出現し受診されました。このような場合、感冒などのウイルス感染症も疑われますが、発熱、のどの痛み、関節痛といった症状はないとのことでした。今までアレルギー性鼻炎と診断されたことはなく、花粉症の時期にも症状はないとのことでした。

アレルギー性鼻炎の発症も疑い、血液検査で調べましたが、全く反応がありません。さらに原因について思い当たることや、生活面での変化などを聞くと「最近仕事が忙しく、残業が多くて寝不足でした」と話されました。

以上のことより血管運動性鼻炎と診断し、日常生活のアドバイスを行い、症状に合わせた投薬を処方しました。

残業する女性

寒暖差アレルギーとは?

「鼻水、くしゃみ、鼻づまり」というと、アレルギー性鼻炎の症状であると思われるかもしれません。確かにアレルギー性鼻炎はこの3つが主症状ですが、アレルギー性鼻炎以外にもこの症状を呈することがあります。たとえば、辛いものを食べたとき、強い匂いを嗅いだ時にも鼻水が出ることを経験します。これらのようにアレルギー性鼻炎と似た症状を引き起こす疾患として最も頻度の高いのが、血管運動性鼻炎です。あまり聞き慣れないかもしれませんが、定義としては「アレルギー性鼻炎と同様の症状があるにもかかわらず、アレルギー検査で原因がみつからない疾患」です。

血管運動性という名称は、安静にしているときには鼻づまりが起こりやすいのですが、運動をすると血流がよくなり鼻づまりがなくなることから名付けられています。一般的に寒暖差が原因で症状が起こることが多いため、俗称の「寒暖差アレルギー」として知られるようになりました。朝起きて窓を開けたらあるいは冬に外へ出かけたら、またお風呂上がりにくしゃみ、鼻水が出るような症状が出現します。春や秋の季節の変わり目や、5~6月ぐらいの新年度の疲れが出始める頃、あるいは梅雨時期に患者さんが多くなります。

自律神経のアンバランスも原因か

アレルギー性鼻炎の患者さんには以下のような特徴があります。

1)女性に多い
2)40歳以降に多い
3)アレルギー検査陰性
4)自律神経のアンバランスが関係

血管運動性鼻炎は、学童期以降に発症が始まるアレルギー性鼻炎と異なり40歳以降で発症することが多く、アレルギー性鼻炎が男性により多く見られるのとは逆に女性の方が多いとされています。

このような症状はどうして起こるのでしょうか。鼻の症状には自律神経が関係しており、症状が悪化する場合は自律神経のアンバランスが原因となっていることが考えられています。

自律神経には交感神経と副交感神経があります。活動しているときや緊張しているときは交感神経が優位になり、逆にリラックスしている時や安静、就寝時には副交感神経が優位になります。このスイッチをうまく切り替えられていれば問題ありませんが、どちらかの状態に傾いてしまう場合には、鼻のアレルギーに似た症状が強く起こることになります。

対症療法とストレスの除去で対処

血管運動性鼻炎症状はアレルギー性鼻炎の症状と似ているため、症状を抑えるためにアレルギー性鼻炎に処方される抗ヒスタミン薬や鼻噴霧用ステロイド薬を用います。これはあくまで症状を緩和する目的で処方されます。

症状の悪化時には自律神経のアンバランスを来していることが多いため、そうした原因がないかを考えてみます。例えば、多忙や睡眠不足の場合には、休養を取るように心がけたり、ゆっくりと入浴し睡眠を十分に取るよう心がけたりすることで改善することもあります。また受験、就職、結婚、出産、転居などライフイベントに合わせて起こることもあり、環境の変化やストレスが生じたときには注意が必要です。

眠る女性

十分な睡眠とリラックスで症状軽減

冒頭でご紹介したAさんの場合は、これまでアレルギー性鼻炎と診断されたことはなく、鼻の症状で困ったこともありませんでした。ところが、最近仕事が忙しく、残業が多く寝不足であったことが誘因となり、寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)を発症してしまったのです。当初は抗ヒスタミン薬を対症的に処方して症状を軽快させておき、日常生活では、できるだけ仕事量を整理して睡眠を十分に取り、休日はリラックスして過ごすようにアドバイスしたところ、しばらくして症状は軽快しました。

このような症状は、一般には春や秋の季節の変わり目に起こりやすく、時期が過ぎると自然に治まることが多いのですが、中には症状が重症化したり長く継続したりする場合があります。

血管運動性鼻炎は、アレルギー性鼻炎と異なるとお伝えしましたが、厳密には合併している場合や、血液検査では反応がないにもかかわらず鼻だけにアレルギー反応があると診断される方も含まれていると言われています。

長く症状に悩まされている場合は、耳鼻咽喉科に受診して診断を受けることをお勧めします。