腕が痛い:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典
急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。
筑波大学 医学医療系整形外科 准教授
國府田 正雄 先生【監修】
スポーツなどで一時的に腕をよく使った場合に痛みを感じることはありますが、心当たりがないのに痛みが続くときは注意が必要なこともあります。
このような場合に考えられる原因には、どのようなものがあるでしょうか。
腕の痛みは、以下のような病気やケガが原因となっている場合があります。
首が回らない、肩や腕が痛い・だるい、肩が凝るなどといった症状の総称です。
日常的にパソコンをよく使う人などが発症しやすいともいわれています。作業を中断するとよくなるものの、再開すると再発しやすいことも特徴です。
首の骨は複数の骨が連なって構成されていますが、この骨と骨の間でクッションの役割をしている椎間板が変形しクッションの役割を果たせなくなると、骨にとげのような変形が起こることがあります。これを頚椎症と呼びますが、頚椎症によって神経が圧迫されるため腕に痛みやしびれなどの症状が現れたものが頚椎症性神経根症です。
首を後ろに反らせると腕の痛みが強くなる傾向があり、上を見ることやうがいをするのが難しくなるなど日常生活に支障を感じることもあります。
腕へつながる神経が通るスペースは狭く、太い血管や筋肉などが密集しています。このため、体格や生まれつきの構造によっては神経が刺激されてしまい、腕・首・肩の痛みやしびれが起こることがあります。
胸郭出口症候群には鎖骨のあたりが狭くなって神経・血管が圧迫されて起こるタイプと、なで肩体型のために腕に行く神経が下の方に引っ張られて起こるタイプがあります。
肘内障は5歳以下の子どもに多い状態です。「子どもと手をつないで歩いているとき、子どもが転びそうになったので手を引っ張ったら肘を痛がって手を動かさなくなった」というケースが典型的です。
子どもは骨を支える構造が未熟なため、衝撃によって容易に亜脱臼を起こします。
一方、肩関節脱臼は肩の骨が関節内の正常な位置から完全にずれてしまう状態です。スポーツや転倒をきっかけに発症し、強い痛みや腕・肩を動かしにくいといった症状が現れます。一度経験したことのある人、特に若い人、初期治療が不適切だった場合などでは高確率で繰り返します。
何らかのきっかけで突然強い腕の痛みを感じるようになった場合は早めに受診しましょう。これといったきっかけはないものの、慢性的な腕の痛みを感じているような場合にも、一度受診しておくとよいでしょう。受診科目としては整形外科が適切です。
医師にはいつからどんな強さで腕の痛みがあるのか、きっかけとなった出来事はあるか、しびれなど他の症状はあるか、できるだけ詳しく伝えるようにすることがポイントです。