首が痛い:医師が考える原因と対処法|症状辞典
急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。
熊本回生会病院 院長補佐
中村 英一 先生【監修】
首は頭の重みを常に支えており、負担がかかりやすい部位です。首が痛いと日常生活にも支障をきたしやすく不便を感じている方も多いでしょう。
こういった場合に考えられる原因にはどのようなものがあるでしょうか。
首が痛いときに考えられる代表的な病気には、以下のようなものがあります。
首の骨は、7つの骨(頸椎)がつながってできています。骨のつなぎ目である関節に強い力がかかると、骨をつないでいる靭帯や筋肉が引き延ばされ、伸びすぎたり切れたりします。これが「捻挫」です。交通事故で追突されたなどで頸椎捻挫が起こると、レントゲンなどを撮っても異常がないのに、長期間にわたって痛み・頭痛・めまい・手のしびれなどの症状が続く場合があり、外傷性頚部症候群とも呼ばれます。
頸椎の間にあるクッションのような軟骨が椎間板です。椎間板が加齢に伴ってすり減ってしまい、変形した頸椎が脊髄や神経を押すことで、首・肩・手に痛み・しびれ・力が入らないといった症状が起こります。
頸椎の間にある椎間板が神経の通っている脊柱管内へずれ、神経を圧迫する事で首や肩、手の痛み、しびれ、力が入りにくいなど頸椎症と似た症状を起こします。
首の骨を支えている靭帯が分厚くなり、骨化が生じることによって、脊髄や神経根を圧迫する病気です。手足の動きが不自由になったりしびれが起こったりします。
首を通る脊髄は枝分かれして腕へと続いていきますが、この腕へつながる神経が通る首の付け根から鎖骨周囲のスペースには太い血管、筋肉、骨が密集しており、なで肩などの体格や生まれつきの構造によっては神経が押され、首・肩・腕の痛みやしびれ、動かしにくさが起こります。この状態を胸郭出口症候群と言います。つり革をつかむ・洗濯ものを干すといった、腕をあげる動作の際に痛みが悪化することもあります。
安静にしても痛みが治まらず、生活に支障がある場合、腕が動かしにくい、しびれるといった場合は、整形外科へ相談しましょう。いつからどのような症状があり、どのような動きで悪化するのか、普段どのような仕事・趣味などをしているか、首に負担のかかるような出来事がなかったかなどを医師に伝えましょう。
首の痛みを予防するために、もしくは悪化させないためにできる日常生活上のポイントには以下のようなものがあります。
猫背で前かがみの状態で正面を見たり、逆に、椅子に浅く座って反り返った状態で正面を見ると、頭の重みを支えるために首にかかる負担が大きくなります。
机・椅子の高さ、パソコンモニターの位置などを見直し、無理しなくても背筋を伸ばしていられるように環境を整えましょう。背中で左右の肩甲骨を引き寄せるようにすると、猫背になりにくいといわれています。
熱中しながら作業を続けていると、つい無理な姿勢を長時間続けてしまいがちです。
体の正面でタイピングできるようキーボードの位置や幅を整えます。手首やひじが机から浮いていると、腕の重みが肩や首にかかってしまいます。疲れを感じる前に、1時間に1回は休憩を取ってストレッチをするといった習慣をつけましょう。
仰向けに寝る場合と横向けで寝る場合では、必要な枕の高さが異なります。横向きで寝ることが多いのに、仰向けに合わせた枕の高さにしていると、首に負担がかかることもあります。マットレスが沈み込み過ぎたり、硬すぎたりしても体に負担がかかることがあります。
寝具の耐用年数が過ぎたら買いかえるようにしましょう。寝具店や枕専門店で、自分に合う高さの枕や寝具を選んでみましょう。
日常生活でできる対処法を試しても症状がよくならない場合には、一度整形外科を受診しましょう。