首のしこり:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典
急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。
首は手で触ったり鏡で目にしたりすることの多い部位です。もし、首にしこりができていれば、自分で気づくことが多いかもしれません。
など、首のしこりに関する不安を抱える方も多いでしょう。
実は首のしこりにはさまざまな原因があり、中には病院での治療が必要な病気が潜んでいることもあります。
首は、甲状腺などの臓器、神経や血管、筋肉、多数のリンパ節など、さまざまな器官や組織が集まって複雑な構造をしている場所です。
そんな複雑な部位である首にしこりが現れた場合、一口に首のしこりと言っても、これらのうちのどの部位が腫れているかをまず知る必要があります。
首のしこりの原因の中で最も多いのは、リンパ節の腫れです。
細菌やウイルス、真菌などがリンパ節に感染して生じる病気で、リンパ節が腫れる原因としては頻度が高いようです。
咽頭炎や扁桃炎など近くの組織で起きている感染症がリンパ節に拡大して起こり、しこりを押した時に痛みを伴うことがある点が特徴です。
喉の痛み、鼻水、発熱などの風邪のような症状を伴うこともあります。
伝染性単核球症やネコひっかき病など、特徴的な経路で感染する病気によって引き起こされる場合もあります。
悪性リンパ腫は、白血球の一種であるリンパ球ががん化した病気です。
首をはじめとするリンパ節の多いところに、通常は痛みのないしこりとして現れます。
発熱や体重減少などを伴うことが多く、首だけではなく腋の下や足の付け根など体の他の部分にもしこりが生じることがあります。
気になる症状がありましたら内科などで相談してみましょう。
がん細胞は、血管やリンパに入り込み、血液やリンパの流れに乗って別の臓器や器官に移動します。そのため、リンパの流れが集まるリンパ節への転移は非常に起こりやすくなります。
原因不明の良性のリンパ節炎で若年に多く、発熱が数週間持続することもあり悪性リンパ腫との鑑別が困難な場合もあります。診断には組織の検査が有用です。予後は良好で2週間から2か月で自然治癒することがほとんどですが再発することもあります。
甲状腺の結節/腫瘍は細胞が変化した塊で、しこりの原因となります。
甲状腺結節/腫瘍は、良性のものと悪性のものがありますが、病気の初期段階では自覚症状はほぼないため、自分で発見することは難しいと言われています。
しこりが大きくなり、自分で触れるようになっても他には何も自覚症状がないのが特徴です。
唾液腺腫脹は、唾液腺が腫れる症状のことを指します。
唾液腺腫脹をきたす疾患は、一般的な疾患から非常に稀な疾患まで様々ですが、腫瘍によるものとそうでないものに大きく分けられます。
腫瘍によらない唾液腺腫脹は、ウイルスや細菌の感染によるもの、シェーグレン症候群、結石などによります。
唾液腺腫瘍は、腫れが生じる部位によって耳下腺腫瘍と顎下腺腫瘍に分けられます。耳の下に症状が現れる場合は耳下腺腫瘍、顎の下の場合は顎下腫瘍と呼ばれています。
良性腫瘍と悪性腫瘍があり、腫瘍が良性の場合は主な症状はしこりのみですが、悪性の場合はしこりに加え顔面神経の麻痺や痛みを伴うことがあります。
脂肪腫は、皮下に発生する腫瘍の中では最も一般的な良性の腫瘍です。体の各部に発生しますが、首にできることも多いです。
通常、痛みなどの症状はなく、皮膚が盛り上がりしこりとなって触れます。
血管腫は、広がって太くなった血管が集まった血管のできものです。一般的には子どもに多く見られ、脂肪腫と同様悪性のものは極めてまれです。
通常、元々の病気が良くなるとしこりは小さくなり、痛みも治まって来ることがほとんどです。しかし、腫れたリンパ節が硬くなってしこりが慢性化し、その場合は外科的にしこりを切除する場合もあります。
首のしこりでもっとも多いのはリンパ節の腫れですが、腫れているのがリンパ節かどうかを自分で判断することは難しいとされています。原因がはっきりわからないまま自然に改善する場合もありますが、しこりが消えない場合には医師の診察を受けましょう。
また、しこり以外の他の症状が強い場合やしこりが大きい・強い痛みがあるような場合には、放置せず、早めに耳鼻咽喉科・頭頸部外科、内科などでまずは医師の診察を受けましょう。
その際、しこりに気付いた時期や他の症状、思い当たることなどを医師に伝えましょう。いつからしこりがあるのか、他にどんな症状があるのかなど、心当たりのある情報をまとめていくと医師の参考になるでしょう。