肥満:医師が考える原因と対処法|症状辞典
肥満とは、体脂肪が過剰に蓄積された状態です。原因の一つとして食べ過ぎや偏食、運動不足などがあげられますが、ときには病気や薬の副作用によって肥満となることもあります。
このような場合思わぬ病気が隠れているかもしれません。肥満の原因や症状、対処法などについてお話します。
食事によるエネルギーの摂取が多く、体内で燃焼されない場合は、エネルギーのアンバランスが生じます。エネルギーとして燃焼されない分は体脂肪として蓄積され、それが肥満につながります。日常生活から考えられる肥満の原因を見てみましょう。
運動量の割に食べ過ぎると、肥満の原因になるのは当然です。しかし、太っている人の食事回数が必ずしも多いとは限りません。むしろ、食事回数が少ない人のほうが肥満となりやすいともいわれています。
朝食を抜いたり、1日のどこかでまとめて大量に食べるといった食事の仕方も肥満の原因といわれています。食事以外の何かをしながら食べる「ながら食い」も、たくさん食べてしまう原因となります。
食生活が乱れていると感じたら、問題となる習慣や行動を振り返ってみるとよいでしょう。ストレス解消に食に走っていたり、つい残り物を無理に食べてしまっていたり、つきあいを断り切れずに余計に食べてしまうのも食生活の乱れにつながります。いつでも食べ物がそばにあることで、ついつい手が出てしまうのも食習慣の乱れになりやすいでしょう。
無意識のうちにしている行動は、こまめに記録しておくことで振り返ることができます。まずは、毎日の食事を記録することから始めてみるのも一つの方法です。
食事のみで減量しようとしても、体脂肪が減らずに筋肉や骨が減ってしまうことがあります。食事と運動の両方をおこなうことによって、バランスのよい肥満解消ができるでしょう。
運動はエネルギー代謝を高めてくれます。習慣的に運動をおこなうようにすることで、基礎代謝を高めて太りにくい体質へと変化させる事ができると考えられています。ただし、継続的に行える事が大切ですので、まずは身の回りで簡単にできることから始められる運動がおすすめです。
よく歩くようにする、エスカレーターやエレベーターの使用を控えて階段を使うようにするなど、活動的な日々を心がけるのが運動不足の解消につながります。
自分でできる取り組みを行ってみても太り続けるような場合には、医療機関で相談してみるとよいでしょう。思わぬ病気が隠れている可能性もあります。
肥満には何らかの病気の症状の一つである場合や、薬の副作用である場合があるとされています。
脳の下垂体に腫瘍ができる事で副腎皮質ホルモンが過剰に分泌される病気です。他にも、副腎や肺がんなどの腫瘍からホルモンが分泌されることによって症状が現れることもあります。腫瘍は良性の場合がほとんどですが、感染に対する抵抗力が弱くなったり、顔がむくんだようになったり、肥満などの症状が重くなりやすいのが特徴です。
甲状腺ホルモンが不足することによって、代謝が低下してむくみや冷え・便秘などの症状が出てきます。体重増加や疲れなどの症状がみられることもあります。
一般的に「ステロイド」と呼ばれる副腎皮質ホルモン剤によって、肥満が起きることがあります。
薬の副作用によって食欲が起きて体重が増加したり、顔や首まわり、胴体などの脂肪が増えてくるのも特徴です。ステロイド薬の種類や服用量、期間によっても異なり、少量や短期間の服用はそれほど心配がないといわれています。
服用中の方でこのような症状が気になる場合、ステロイドは急に中止すると思わぬ症状を起こす薬でもありますので、まず主治医に相談するようにしましょう。
向精神薬は中枢神経に作用する薬の総称ですが、この副作用として肥満が現れる場合があります。必ずしも副作用に肥満の症状が出るとは限らず、薬の種類や服用する人によっても、副作用が出るか出ないか、どの程度の副作用になるかなどの違いがあります。
向精神薬も急に中止する事が好ましく無い薬ですので、服用中の方で気になる場合にはまず主治医に相談するようにしましょう。
食べる量が変わっていないのに太る、短期間で急激に太るなどの場合には一度医療機関で相談を考えて見るとよいでしょう。いつから、どのような症状が出ているか、どのくらいの期間でどのくらい体重が増えたかどうかなどを医師に伝えることが大切です。可能であれば1日の食事量や回数、食事の内容などをメモしておくとより参考になるでしょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。