しびれ:医師が考える原因と対処法|症状辞典

しびれ

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • 頭痛、吐き気、ろれつが回らない、まっすぐ歩けないなどの症状がある
  • しびれに伴って強い痛みがある

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 体の一部分だけに慢性的なしびれがある
  • 体を動かすとしびれる、悪化する

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 短時間でよくなり、その後繰り返さない

筑波大学 医学医療系整形外科 准教授

國府田 正雄 先生【監修】

正座など、圧迫によって一時的なしびれを感じるのは正常なことですが、特に何をしたわけでもないのにしびれるというときには注意が必要なこともあります。

  • 正座をしたわけでもないのに、突然ジンジンと足がしびれることがある
  • 手のしびれが続いていて、物が掴みづらくよく落とす
  • つり革につかまろうとすると、背中から腕がしびれる

このような場合、考えられる原因にはどのようなことがあるでしょうか。

しびれの原因となる病気は多岐にわたります。比較的頻度の高い病気や、注意の必要な病気には以下のようなものがあります。

しびれを起こす病気の中でも、特に注意の必要なものには以下のようなものがあります。

脳血管障害

脳梗塞脳出血くも膜下出血など、脳で起こる重大な病気の総称です。多くの場合にはしびれだけでなく、右・左いずれかの手足が動かせないといった麻痺や、激しい頭痛、呂律が回らない、様子がおかしいといった症状を伴います。

症状がしびれよりも麻痺に近いような場合や、他になんらかの強い症状があるようなときには速やかに受診しましょう。

脳梗塞
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脳出血
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くも膜下出血
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体の広い範囲にしびれを起こしやすい病気には、以下のようなものがあります。

頚椎症

背骨はいくつもの骨が連なって構成されていますが、この骨と骨の間にはクッションの役割をしている椎間板があります。この椎間板が年齢などによってクッションの役割を果たせなくなっていき、骨同士ががぶつかるようになった状態です。骨同士がぶつかることで、骨棘という変形が起こる場合もあります。

変形によって神経が圧迫されると、手足や体幹にしびれや痛みが出たり、手を動かしにくくなったり、つまずきやすくなるなどの症状が現れます。

頚椎症
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後縦靭帯骨化症

頚椎の後ろにある靭帯(後縦靭帯)が骨化し神経を圧迫することで、さまざまな症状を引き起こします。しびれや、細かい動きができなくなる、つまづきやすくなるなど多彩な症状が現れ、徐々に進行していくことが特徴です。

後縦靭帯骨化症は糖尿病の人に合併しやすいといわれています。糖尿病そのものでもしびれや感覚異常などの症状が現れる事があるため区別がつきにくく、長期間診断がつかない例も珍しくありません。糖尿病で通院中の方で手足のしびれが気になる方は一度整形外科への受診を検討してみましょう。

糖尿病性神経障害

糖尿病によって血糖値が長い状態が続くと、手足などの末梢神経が障害を受け、しびれなどの原因となることがあります。しびれの他に感覚障害が起こる事もあり、素手・素足なのに手袋や靴下を履いているような感覚としてよく表現されます。また、熱さや冷たさを感じにくくなったりもします。

糖尿病で治療中の方で心当たりがある際には、主治医に相談してみましょう。

アルコール性神経障害

大量のアルコールを長期間に渡って飲むことによって、手先がしびれるなどの神経症状が現れることがあります。

根本的にはアルコールをやめることが必要ですが、気になる症状があればまずは内科などで診察を受けてみるとよいでしょう。

手・腕にしびれを起こしやすい病気には、以下のようなものがあります。

手根管症候群

指先の感覚や運動を司る正中神経は、手首の手根管と呼ばれる場所を通って手の先へ繋がっています。この正中神経が手根管で圧迫を受け、しびれや痛みが出る病気が手根管症候群です。

とくに中指の指先にしびれが現れる・夜間や朝一番にしびれが強くなる事が多いといわれています。進行すると、ものを掴んだりつまんだりするような動作が難しくなります。

手根管症候群
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肘部管症候群

手先の運動や感覚を司る尺骨神経に障害が起きて、おもに小指・薬指の小指側を中心としたしびれがあらわれます。とくに肘を曲げたときに症状が強く現れ、進行すると薬指と小指が完全に伸ばせなくなります。

原因は肘に慢性的な負担がかかることといわれており、野球などのスポーツ、仕事などで肘をよく使うことのほか、ケガやガングリオンなどが原因となることもあります。

肘部管症候群
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胸郭出口症候群

首から出た神経は腕神経叢という神経の束となり腕へと続いていきます。この腕へつながる神経が通るスペースには太い血管、筋肉、骨が密集しているため、体格や生まれつきの構造によっては神経が刺激されてしまい、首・肩・腕の痛みやしびれが起こることがあります。この状態を胸郭出口症候群と言います。

胸郭出口症候群には鎖骨のあたりが狭くなって神経・血管が圧迫されて起こるタイプと、なで肩体型のために腕に行く神経が下の方に引っ張られて起こるタイプがあります。

胸郭出口症候群
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足にしびれを起こしやすい病気には、以下のようなものがあります。

腰椎椎間板ヘルニア

腰部分の背骨はいくつかの骨が連なって構成されていますが、骨と骨の間でクッションの役割をしている椎間板が本来の位置から飛び出してしまった状態です。飛び出した椎間板が神経に触れると、しびれ、痛みなどが現れます。

腰椎椎間板ヘルニア
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脊柱管狭窄症

背骨のうち神経や血管が通っている場所(脊柱管)が細くなり、その結果神経や血管が圧迫され、しびれや歩行困難が起きる病気です。歩いていると症状が強くなり腰掛けて休むと回復する、しびれのため長時間歩くことはできないのに、自転車ならいくらでも遠出できるといった症状も特徴的です。

脊柱管狭窄症
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しびれのほか、痛みや動かしづらさなど何らかの症状がある場合には早めに受診しましょう。また、他の症状はなくともしびれがいつまでも続く・徐々に強くなっているような気がするような時にも一度受診しておきましょう。

原因によっては専門科目が異なる場合もありますが、しびれを主な症状として受診する場合にはまずは整形外科でよいでしょう。

医師にはいつから、どこがしびれているのか、他の症状にはどんなものがあるのかなど、できるだけ詳しく説明することがポイントです。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。