体のむくみ:医師が考える原因と対処法|症状辞典
急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。
植田救急クリニック
加藤 之紀 先生【監修】
むくみは比較的よく感じる症状ですが、原因によっては受診が必要な場合もあります。
このような症状がある時、考えられる原因にはどのようなものがあるでしょうか。
体のむくみは、病気が原因である場合もあります。全身がむくんでいるのか、一部分だけがむくんでいるのかによっても考えられる病気はやや異なります。
体全体がむくんでいるように感じられる時には、一般的には腎臓や肝臓、心臓などの異常が考えられ、他の病気を含めると以下のようなものが挙げられます。
月経前緊張症候群とは、ホルモンバランスの変化により月経前に起こる様々な不快な症状を指すもので、月経が始まると落ち着きます。体のむくみ以外に、乳房の張りや眠気、だるさ、イライラ、食欲不振・過食など、さまざまな症状が現れます。
甲状腺機能低下症は、甲状腺の働きが低下して甲状腺ホルモンの分泌が不十分になる病気です。甲状腺ホルモンは、「やる気ホルモン」と呼ばれることもある大切なホルモンで、これが不足することで体のむくみの他、声がかすれる、皮膚が乾燥する、食欲は減るのに体重が増加する、やる気が出なくなるなどの症状が現れます。
心不全とは、なんらかの原因により血液を送り出す心臓のポンプ機能が低下した状態です。体のむくみや、息苦しさや疲れやすさ、急激な体重などの症状が代表的です。
むくみ以外に息苦しさや疲れやすさなどの症状がある場合は早めに受診しましょう。
関節リウマチや喘息などで処方される副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)で、むくみが起きることがあります。
新しく薬を使用してむくみが出た場合は、自己判断で勝手に中止せず、すぐに処方された病院で相談しましょう。
腎不全/肝不全は、腎臓/肝臓の機能が低下した状態です。
腎不全では体のむくみの他に、吐き気、血圧の上昇、尿が減る、思考力の低下などの症状も現れます。
肝不全は初期では症状は出にくいですが、肝不全の度合いが進行すると体のむくみや疲れやすさ、筋力低下、食欲不振などの全身症状や、白目や皮膚が黄色っぽくなる黄疸などの症状が現れます。
いずれにせよ、症状に心当たりのある場合は早期の受診が必要です。
体の一部分だけ、特に左・右の片方だけがむくむ場合には、以下のような病気が考えられます。
深部静脈血栓症は、静脈に血栓ができることで詰まってしまう病気です。
詰まった場所によって症状が異なりますが、脚の静脈に血栓が詰まることが多く、その場合は片脚のむくみや痛み、熱感などの症状が現れることがあります。
蜂窩織炎は皮膚の感染症の一種です。蜂窩織炎にかかると皮膚が赤く腫れて熱を持つため、一見むくみのように見えることもあります。
程度によっては、発熱、悪寒、関節痛、だるさなどの全身症状を伴うこともあります。
むくみが続く、よくならない、他の症状もあるなどの場合には一度受診するようにしましょう。まずは内科を受診し、むくみはいつからか、きっかけの有無、むくみ以外の症状はどんなものがあるか、などを医師に伝えましょう。
塩分は体内に水を蓄える働きを持つため、摂りすぎると水分がうまく排泄されず、むくみを引き起こします。
水分の摂りすぎも、塩分の摂りすぎと同様にむくみを引きおこします。
塩分を摂りすぎないよう、日々の食生活を見直しましょう。
減塩されている製品を使ったり、塩ではなく香辛料を味付けに使ったりすることで塩分摂取を控えることができます。
また、水分を取る際はがぶ飲みを避けこまめに摂取しましょう。寝る前の飲み過ぎも翌朝のむくみにつながりますので、注意が必要です。
アルコールは血管の透過性を高める働きがあるため、飲みすぎると水分が血管から染み出してむくみを引き起こします。
アルコールの飲みすぎは、むくみ以外にも体に対する悪影響が多くあります。自分にとって適切な飲酒量を知り、それを守ることが大切です。
脚の筋力が低下した時にも、むくみが現れやすくなります。
脚の筋肉、特にふくらはぎの筋肉は心臓に血液を送り返すポンプの役割を果たしているため、筋力が低下すると血液がうまく戻らず、血液中の水分が停滞して脚のむくみが起こるのです。
ウォーキンングなど、脚の筋肉を適度に鍛えるような運動を習慣づけましょう。また、着圧効果のあるストッキングやソックスを使用するのもよいでしょう。
長時間の立ち仕事やデスクワークをしていると、脚の血液やリンパ液の循環が滞り、水分が停滞してむくみやすくなります。
立ち仕事の場合はかかとの上げ下げ、デスクワークの場合には足首の曲げ伸ばしなど、筋肉を意識して動かすとよいでしょう。適度にストレッチなどをして筋肉の緊張を緩めることも有効です。
日常生活での対処法を試しても症状が改善されない場合は、一度病院で相談してみましょう。