眠れない:医師が考える原因と対処法|症状辞典
急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。
不眠とは、疲労を回復させる十分な睡眠が取れない事で日中の生活に支障が出る状態のことを指します。たとえば、
このような状態が続く場合、一体どのような原因が考えられるのでしょうか。
不眠は心と体、どちらの不調も原因になり得ます。中には原因が複雑に絡み合っていることもありますので、なかなか自分では判断が難しい場合がありますが、以下は不眠の原因として頻度の高いものの例です。
中でも、不眠の原因となる睡眠リズムの崩れや体の病気には以下のようなものがあります。
さまざまな原因により体内時計が乱れ、眠りたい時間に眠れない、活動したい時間に活動できなくなっている状態です。さまざまなパターンによる分類がありますが、なかなか寝付けない、起きていられない、毎日少しずつ睡眠周期がずれていき修正できないなどがあります。
いわゆる「不眠症」のことで、慢性的な物を指します。
来る明日に備えてきちんと眠らなければ……と焦ると不安感が高まり、さらに一層眠れなくなる悪循環に陥いる場合が多いとされています。
睡眠中などじっとしているとき、脚に虫が這っているような不快感を覚えることを脚ムズムズ症候群といいます。脚ムズムズ症候群で生じる不快感は脚を動かすとおさまる特徴がありますので、睡眠中に脚を動かし続け結果、睡眠が妨げられてしまうことがあるのです。
脚ムズムズ症候群の原因は特定されていませんが、パーキンソン病などの神経疾患や妊娠中の鉄分不足、透析患者における腎不全など、複数の要因が考えられています。
夜間に頻繁に尿意を覚え、トイレに立つことも睡眠を妨げる原因の一つですが、このような状態を夜間頻尿といいます。夜の尿量の増加や、尿を一定時間ためられない障害が出る前立腺肥大や過活動膀胱が原因として挙げられ、夜間のトイレの回数が2回以上になると睡眠と質が下がり、生活に支障が出るとされています。
うつ病はストレスや環境、過去の経験などから気分が憂鬱になったり、今まで好きだったことに興味を失ってしまったりなど、全体的に落ち込んでいる状態が長期間続くことをいいます。うつ病は初期に不眠症状が見られることがあるので、不眠と共に常につきまとう不安感や意欲・食欲の減退などの症状がある場合は、うつ病を疑うことがあります。
認知症は脳の萎縮や脳血管障害などによって記憶や思考の能力が低下してしまう病気です。認知症の方は昼夜逆転となり、夜間眠れないという症状が現れる場合があるといわれています。
寝つきの悪さや睡眠不足となるきっかけはそのとき置かれた環境や状況など様々ですが、数日のうちに通常の睡眠に戻れるようであれば大きな心配はいらない事がほとんどでしょう。しかし、日中の仕事や勉強、家事などに集中できない、不眠による疲れでやる気が出ないなど、日常生活に支障をきたしている状態が続く場合には一度医療機関で相談しましょう。
不眠は内科や心療内科、睡眠外来などで対応可能ですが、迷った際はかかりつけの内科など、まずは相談しやすい医療機関に相談してみるのもよいでしょう。
受診の際には、睡眠パターンや気になっている事などを医師に伝えると、判断の手掛かりになるかもしれません。
日常生活の中の原因によって不眠が引き起こされる場合もあります。
仕事や試験、就職など、ストレスを受けやすいとされる状況にあるとき、それが一時的なものであっても場合によっては不眠につながってしまうことがあります。
ストレスはそう簡単に解消できるものではありませんが、それでもバランスの取れた食事や適度な運動はストレス緩和の手助けとなります。また、帰宅後はゆっくりお風呂に入る、好きな本を読むなど、自分なりのリラックスタイムを作ることもおすすめです。
いわゆる時差ボケが原因で一時的に生活リズムが崩れた結果、不眠になってしまうこともあります。海外旅行へ出かけたときや、深夜勤務続いたことなどが原因で夜に眠れなくなることはその代表的な例です。
すぐに生活リズムを直すことは難しいですが、就寝・起床時間を少しずつ適切な時刻にずらしたり、なるべく朝に日を浴びたりするなどして徐々に通常のリズムに戻すことは可能です。無理をしない程度に実践してみましょう。
睡眠は活力の源であり、疲労回復になくてはならないものです。ですが、不眠が続くからといって無理に寝ようとすると、それ自体がストレスとなり、思うような改善が見込めないことがあります。自分でできる対策を実行してみてもよくならないときは、医師に相談してみましょう。