インタビュー

糖尿病患者さんが知っておくべき足と靴の話ーフットウェアについて

糖尿病患者さんが知っておくべき足と靴の話ーフットウェアについて
大平 吉夫 さん

日本フットケアサービス株式会社 代表取締役社長

大平 吉夫 さん

この記事の最終更新は2015年03月13日です。

糖尿病の患者さんは足の注意をするように、とよく言われていると思います。その際に、「フットケア」という言葉をよく使いますが、実は大切なのは「フットケア」だけではありません。「フットケア」以外には「フットキュア」「フットウェア」と、合わせて3つの要素があるのです。簡単にまとめると以下のようになります。

フットケア:日常的に行う、爪のケアや皮膚のケアなどのこと
フットキュア:専門家と協力して行う、血管を開通したり、傷を治したり、などのいわゆる治療のこと
フットウェア:足に身につける靴、靴下、装具などのこと

このうち、フットウェアはあまり意識されていないことが多いです。しかし、糖尿病治療において、フットウェアは実はとても大切な要素なのです。適切な靴や装具を選べるかどうかというだけで、足の傷の予防、なってしまった後の治り方、傷の再発の有無などが大きく左右されます。

糖尿病患者さんにおけるフットウェアは「一次予防→治療→二次予防」とシーンごとに役割が異なっています。(いわゆる一般的な一次予防〜三次予防の考え方とは異なるので、注意が必要です。)

一次予防とは「糖尿病患者で、まだ足に傷がない人に対して、この先傷ができないようにすること」をいいます。何より大切なのは適切な靴選びです。

治療とはその名の通り「傷ができてしまった人がどのようにそれを治療していくか」ということです。適切なアセスメント(状態の評価)をし、専門医による治療をすると共に、より専門的な装具を使用する必要があります。

二次予防とは、糖尿病患者で、足に傷が出来た人が、治療により傷を治した後の再発を防ぐための予防のことをいいます。足を切断した場合や切断しなかった場合により、これも大きく異なります。

適切な治療をするためには適切な足のアセスメントが必要です。しかし、日本では足の白癬水虫)なら皮膚科、血行障害なら循環器科といった具合に、足を総合的にアセスメントをし、ゲートキーパーをすることのできる医師は非常に少ない現状があります。

糖尿病の治療では、多くの方が運動療法を行います。この運動療法の際の靴がとても大事なのです。誤った靴の選び方をして運動療法をしてしまった場合、血糖コントロールにはプラスになるかもしれませんが、足にとっては傷ができたり靴ずれができたりして、マイナスになってしまうことがあります。

”糖尿病だけれどまだ足に傷は出来ていない”という患者さんの中には「傷がないのに、何故特別な靴を買わないといけないのか」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、傷がないうちから自分に合った靴を履き、将来傷が出来ないようにするということがとても大切なのです。

適切な靴で適切な運動療法をすることで、傷の予防や適切な血糖コントロールだけでなく、足を切断がから防いだり、さらには将来かかる医療費を大幅に削減することも出来ます。

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