インタビュー

下肢切断を避けるために大切な3つの基本要素―糖尿病のフットケア

下肢切断を避けるために大切な3つの基本要素―糖尿病のフットケア
貴田岡 正史 先生

医療法人社団 明芳会 イムス三芳総合病院 内分泌(甲状腺)・代謝(糖尿病)センター センター長

貴田岡 正史 先生

菅野 一男 先生

かんの内科 院長

菅野 一男 先生

この記事の最終更新は2015年03月20日です。

厚生労働省の調査によれば、糖尿病患者の方は、潜在的な人数を含めると約2050万人いるといわれ、そのうち足に病変をきたす患者さんは1.5-10%(*1) いるとされています。糖尿病のコントロールが不十分な状態のまま長い時間が経つと、神経障害や血流障害をきたしやすく、その結果、足病変を起こしやすくなります。

足病変は重症化すると壊疽や下肢切断に至ることがあります。それらから足を守る、大切なケアがフットケアなのです。

近年では、糖尿病患者さんが網膜症から失明に至るケースは減ってきています。しかし一方で、治療が進歩した現在でも、日本では年間3000人(*2) 、世界五大医学雑誌の一つLANCETによれば、世界では30秒に1回の頻度で糖尿病患者さんの下肢が切断されています。ささいな傷から進展・重症化し、下肢の切断に至ってしまうケースは減っていないのです。

足を失うということは、歩けなくなるということで、あなたの大切な生活が制限されてしまいます。実際に、足に病変をきたした患者さんのうち約1/3がうつ症状に苦しんでいます。さらに、運動ができなくなれば、治療の選択肢は狭まり、症状の進行は早まってしまいます。

足を失うことはあなただけの問題ではありません。あなたの愛する家族に、身体的にも経済的にもより大きな負担をかけることになります。あなたと家族の生活の質を守るためにも、フットケアは重要なのです。正しい知識とやり方を覚え、しっかりと自分の体をケアしましょう。

フットケアは患者さんご本人、ご家族、医療者がそれぞれ連携・協力して行うのが理想です。大きく分けて、以下の3要素があります。

  1. チェック(観察)
    糖尿病患者の方は、毎日明るいところで足の全体を観察して、異常の早期発見に努めることが大切です。自分で見えづらい部分に関しては、鏡を用いたりご家族の協力を得て、意識的に観察するようにしましょう。神経障害により、傷ができていても痛みを感じないことがあります。毎日、足を観察するのが大切です。異常があればすぐに病院で相談しましょう。

  2. セルフケア
    セルフケアによって、足を清潔に保つことが大切です。また、保湿をきちんと行い、爪切りも注意して行うのが大切です。靴下の選び方にも気を付け、火傷にも注意しましょう。

  3. 靴・装具
    靴の選び方と履き方は、糖尿病のフットケアにおける重要な要素です。なぜならば、多くの患者さんが靴ずれが原因で下肢壊疽による下肢切断に至っているからです。糖尿病治療では、運動療法が欠かせません。しっかり歩くためにも足を守るためにも、正しい靴選びと正しい履き方を理解しましょう。

1)科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013, 南江堂, (2013)より
2)糖尿病対策の啓発スライド, 「健康日本21」糖尿病対策推進委員会, http://www.jds.or.jp/uploads/photos/357.ppt より

【看護師、看護学生の方に】看護師としてのキャリアアップを実現/将来的な看護師としての復職を目指すために

【薬剤師、薬学生の方に】薬剤師としての仕事の幅を広げるための取り組みについて

受診について相談する
  • 医療法人社団 明芳会 イムス三芳総合病院 内分泌(甲状腺)・代謝(糖尿病)センター センター長

    貴田岡 正史 先生

  • かんの内科 院長

    菅野 一男 先生

「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。

    「糖尿病足病変」を登録すると、新着の情報をお知らせします

    処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

    「受診について相談する」とは?

    まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
    現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

    • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
    • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。
    実績のある医師をチェック

    糖尿病足病変

    Icon unfold more