インタビュー

糖尿病の大血管障害―心筋梗塞や脳梗塞の危険性

糖尿病の大血管障害―心筋梗塞や脳梗塞の危険性
杉山 徹 先生

武蔵野赤十字病院 内分泌代謝科部長

杉山 徹 先生

貴田岡 正史 先生

医療法人社団 明芳会 イムス三芳総合病院 内分泌(甲状腺)・代謝(糖尿病)センター センター長

貴田岡 正史 先生

菅野 一男 先生

かんの内科 院長

菅野 一男 先生

この記事の最終更新は2015年03月30日です。

糖尿病では、細い血管だけでなく太い血管もダメージを受けます。太い血管のダメージを一般的に動脈硬化といいます。

動脈硬化を起こした血管は狭くなり、時には閉塞することもあります。血流が悪くなったり、完全につまってしまったりすることで様々な病気を引き起こします。

大血管症は、

の4つの組み合わせで起こりやすくなります。これはメタボリックシンドロームの4要素です。

その他にも

  • 喫煙
  • 年齢
  • 運動不足
  • ストレス
  • 食生活

などが動脈硬化の原因となります。

したがって、動脈硬化を予防するためには、糖尿病の治療はもちろんのこと、肥満や高血圧、脂質異常症など他の生活習慣病も同時に治療することが重要です。

脳血管がつまってしまい、脳に血流が供給されなくなってしまうのが脳梗塞です。

閉塞する場所により、様々は症状を引き起こします。半身が麻痺(動かなくなる)、言葉が出づらくなるなどの症状が出現します。

心臓に栄養を供給する冠動脈の硬化により、狭心症心筋梗塞がおこります。

通常では狭心症や心筋梗塞が起こると胸が締め付けられるような痛みが症状としてみられたりしますが、糖尿病患者さんの場合、神経障害もきたしている場合もあるために、痛みを感じない場合もあります(無痛性心筋梗塞)。

下図の通り、糖尿病患者さんにおける心筋梗塞発症率は、非糖尿病患者に比べてかなり大きくなります。

2型糖尿病における心筋梗塞発症率
2型糖尿病における心筋梗塞発症率

下肢の動脈硬化により足に酸素や栄養が届かなくなってしまいます。これに加え、易感染性、神経障害が加わると足壊疽につながっていきます。

足壊疽
足壊疽

糖尿病の大血管障害の治療は、疾患により異なります。

  • 脳梗塞血栓溶解療法、抗凝固療法、抗血小板療法、脳保護療法など
  • 狭心症心筋梗塞カテーテル治療、冠動脈バイパス手術、血栓溶解療法など、
  • 末梢動脈疾患薬物療法、運動療法、カテーテル治療、バイパス手術など

が行われます。

ただし、これらの治療をしても脳梗塞などでは麻痺などの後遺症が残ることがあります。また、心筋梗塞などでは治療が間に合わず、死亡に至ることもあります。そのため、きちんと血糖管理をして、これらの合併症を起こさないことがまずは大切になります。

糖尿病の大血管障害を予防するためには、血糖をコントロールするのはもちろんですが、生活習慣病全般を治療することです。つまり、高血圧や脂質異常症(高コレステロール血症)の治療も重要となります。血圧であれば130/80mmHg未満、LDL-コレステロール濃度120mg/dl未満(すでに心疾患がある場合には100mg/dl未満)を保つのが推奨されています。

参考文献

糖尿病治療の手び引き 改訂第56版, 日本糖尿病学会, (2014)
科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013, 日本糖尿病学会, (2013)

受診について相談する
  • 武蔵野赤十字病院 内分泌代謝科部長

    杉山 徹 先生

  • 医療法人社団 明芳会 イムス三芳総合病院 内分泌(甲状腺)・代謝(糖尿病)センター センター長

    貴田岡 正史 先生

  • かんの内科 院長

    菅野 一男 先生

「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。
この記事は参考になりましたか?
記事内容の修正すべき点を報告
この記事は参考になりましたか?
この記事や、メディカルノートのサイトについてご意見があればお書きください。今後の記事作りの参考にさせていただきます。

なお、こちらで頂いたご意見への返信はおこなっておりません。医療相談をご要望の方はこちらからどうぞ。

    実績のある医師

    周辺で糖尿病の実績がある医師

    武蔵野赤十字病院 内分泌代謝科部長

    すぎやま とおる
    杉山先生の医療記事

    14

    内科、血液内科、リウマチ科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器科、呼吸器外科、消化器科、腎臓内科、循環器科、心臓血管外科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、内分泌科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、緩和ケア内科、腫瘍内科、感染症内科、代謝内科、膠原病内科、頭頸部外科、総合診療科、病理診断科

    東京都武蔵野市境南町1丁目26-1

    JR中央線(快速)「武蔵境」南口  小田急バス、ムーバス(境南東循環):武蔵野赤十字病院下車 徒歩10分

    東京医科大学 名誉教授

    うえき あきお
    植木先生の医療記事

    4

    内科、血液内科、リウマチ科、外科、精神科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、腫瘍内科、感染症内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、代謝内科、脳神経内科、老年内科、頭頸部外科、総合診療科、病理診断科

    東京都八王子市館町1163

    JR中央本線(東京~塩尻)「高尾」南口 京王バス 医療センター経由館ケ丘団地行き 医療センター下車  京王電鉄高尾線も利用可能 バス7分、JR横浜線「八王子みなみ野」無料シャトルバス運行 バス

    たかはし よしあつ
    高橋先生の医療記事

    4

    内科、外科、腎臓内科、整形外科、泌尿器科、リハビリテーション科、循環器内科、消化器内科、糖尿病内科、人工透析内科、脳神経内科

    東京都荒川区南千住5丁目10-1

    東京さくらトラム(都電荒川線)「三ノ輪橋」都営バス:草43系統 南千住6丁目下車 徒歩5分、JR常磐線(上野~取手)「南千住」 徒歩7分、東京メトロ日比谷線「三ノ輪」 徒歩7分

    山王病院・国際医療福祉大学 内科部長 (糖尿病・代謝)・ 国際医療福祉大学 講師

    きしもと みやこ
    岸本先生の医療記事

    8

    内科、アレルギー科、血液内科、リウマチ科、心療内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、代謝内科、膠原病内科、脳神経内科

    東京都港区赤坂8丁目10-16

    東京メトロ銀座線「青山一丁目」4番(南)出口 徒歩4分、東京メトロ千代田線「乃木坂」3番出口 徒歩4分

    国立国際医療研究センター病院 糖尿病内分泌代謝科 医師

    こだに のりこ
    小谷先生の医療記事

    3

    内科、血液内科、リウマチ科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器内科、呼吸器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、乳腺腫瘍内科、膠原病科

    東京都新宿区戸山1丁目21-1

    都営大江戸線「若松河田」河田口 徒歩5分、東京メトロ東西線「早稲田」2番出口 徒歩15分

    関連記事

  • もっと見る

    関連の医療相談が41件あります

    ※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。

    「糖尿病」を登録すると、新着の情報をお知らせします

    処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

    「受診について相談する」とは?

    まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
    現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

    • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
    • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。

    メディカルノートをアプリで使おう

    iPhone版

    App Storeからダウンロード"
    Qr iphone

    Android版

    Google PLayで手に入れよう
    Qr android
    Img app