
緑風会緑風荘病院 栄養室 健康推進部 主任
西村 一弘 さん
かんの内科 院長
菅野 一男 先生
医療法人社団 明芳会 イムス三芳総合病院 内分泌(甲状腺)・代謝(糖尿病)センター センター長
貴田岡 正史 先生
血糖値は食事によって上昇します。しかし、食事の量や種類、そして食べ方を変えることで血糖値の上がり方を抑えることができます。そのため、すべての糖尿病患者さんで食事療法が必要になってきます。
食事療法は糖尿病の治療のうち、もっとも基本的な治療法の1つです。糖尿病の治療には、他にも運動療法や薬物療法などがありますが、食事療法がきちんと出来ていないと、運動療法も薬物療法も、その治療効果はなかなかあがりません。特に2型糖尿病の初期では、食事療法を確実に実行することで、病状を改善することが十分に可能です。
食事療法は糖尿病患者さんに限って必要というわけではありません。健康診断で、糖尿病の一歩手前と言われた方や、ご家族に糖尿病をお持ちの方がいる場合も、食事に注意することが必要です。早い時期から食事に気を付けて、インスリンを節約していくことで、糖尿病にならない、もしくはなったとしても重症化させないことが可能です。
食事療法の基本は、「適正なエネルギー量」「栄養バランス」「上手な食べ方」にあります。
では、「適正なエネルギー量」(カロリー)とはなんでしょうか。もちろん体の大きさによって必要なエネルギー量は異なりますし、一日中寝たきりの人と外でアクティブに活動される人でも異なってきます。
適正なエネルギー量は次の計算式で算出することができます
「標準体重」はその人の身長に見合った体重のことで、身長(m)×身長(m)×22で算出されます。「生活活動量」は人によって異なりますが、通常の生活を送られている方であればおおよそ25-35(kcal/kg)と思ってください。
たとえば、身長170cmのサラリーマンであれば適正なエネルギー量はどの程度でしょうか。
この方の標準体重は 1.7×1.7×22=64kgです。したがって適正なエネルギー量は 64×25~35なので1600kcal~2200kcalと計算されます。最近の飲食店では食事のエネルギー量を表示しているところが多いので、参考にしてください。
上記計算式はあくまでも目安で、治療の現場では患者さんそれぞれの体重変化を見ながら、適正なエネルギー量を調整することがほとんどです。たとえば、計算上適正なエネルギー量を食べている患者さんの体重が予想以上に減り続けてしまった場合は、エネルギー量を増やすなど、体重を見ながらの微調整が必要になります。
目標とする体重も「標準体重」は一つの目安になりますが、「20歳の頃の体重」を目指すというアプローチもあります。20歳は多くの人にとって成長期が終わったタイミングでもありますので、その頃の体重が一番バランスのとれた体重であるという考え方があります。標準体重を計算するのが大変だと思う方は、20歳の頃の体重を目安にするとよい場合もあります。
全体のエネルギーの中で、どのように配分をするのかを考えなければなりません。PFC比率(Protein=タンパク質、Fat=脂質、Carbohydrate=炭水化物)と呼ばれていますが、3つの栄養素のバランスをきちんとした割合でとることが重要です。一般的には指示エネルギー量の50-60%を炭水化物から摂取し、さらに食物繊維が豊富な食物を選択します。タンパク質は、成人の場合標準体重1kgあたり1.0-1.2gとして、残りを脂質としますが25%以下とすることが望ましいとされます。ただし、患者の合併症、肥満度、施行などに配慮します。
このバランスで食事をとってくださいと言われても、多くの方は困ってしまうと思います。そういった方の参考のために日本糖尿病学会が食品交換表を出しています。食品交換表は、日常食べている食品を主に含まれる栄養素によって6つに分けています。たとえば炭水化物を多く含む食品である穀類は表1、タンパク質を多く含む肉は表3というように分けられています。
栄養素で分けられているだけではなく、食品交換表ではそれぞれの食品を80kcalの単位であらわしています。2単位であれば160kcalということになります。同じ表の中では、食べ物を交換(魚と肉を交換するなど)しても構わないことから食品交換表と名付けられています。
食品交換表を見て、それぞれの食材にどのような栄養素が多く含まれていて、どれくらいのエネルギー量なのかをみることにより、「適正なエネルギー量」で「栄養バランス」のとれた食事をとることができます。
ただし、多くの患者さんにとって、この食品交換表を使いこなすことはなかなか難しいのが現状です。それよりも日々の自分の食事を記録にとって、それを栄養士さんに見せてアドバイスをもらって調整していく方が現実的かもしれません。
最近はテレビでも「ベジファースト」と言われています。これは、野菜から先に食べることで、これにより食後の高血糖を防ぐことが出来ます。まずは食物繊維を先にとって、タンパク質や炭水化物を後に回すことが基本です。
2型糖尿病の患者さんの場合は、血糖値を下げるホルモンであるインスリン分泌の立ち上がりが遅れています。健康な方の場合だと、食事を食べ始めるとインスリンがすぐに立ち上がるので、食事をしていてもきちんと血糖が下げられます。一方で、2型糖尿病患者さんの場合は、インスリンの立ち上がりが遅くなるために、早い段階で炭水化物などを食べると、インスリンが間に合わずに高血糖の状態になってしまいます。先に食物繊維を食べておいてインスリンの分泌をはじめながら、インスリンが出始める食事の後半に少しずつ炭水化物など血糖値を上げやすい食べ物を食べることで食後の高血糖を防ぐことができます。
また、よく噛んでゆっくり食べることも重要です。野菜を食べる順番を先にしても、短時間で食べてしまうとインスリン分泌が間に合わずに高血糖になってしまいます。
前に書いた「正しい食べ方」ともかかわってきますが、食物繊維を多く含みながらカロリーが少ない食品は、血糖の上昇を抑える効果があるのでお勧めの「良い食べ物」です。たとえばこんにゃく、キノコ、海草などがあげられます。食事の最初のタイミングでそれらの前菜などを食べることで、糖質の吸収を遅くすることが期待できます。
一方で「悪い食べ物」はすぐに消化が出来て、血糖を上げてしまうような食べ物です。うどんなどの炭水化物やビールなどの嗜好品があげられます。たとえば、お通しで出てきたこんにゃくを食べ始めて10分程度たってから、ビールを飲み始めれば血糖の上昇を軽減する効果が期待できます。
周辺で糖尿病の実績がある医師
朝日生命成人病研究所 所長
内科、腎臓内科、皮膚科、眼科、循環器内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、甲状腺内科
東京都中央区日本橋馬喰町2丁目2-6 朝日生命須長ビル2・3・4F
JR中央・総武線「浅草橋」西口 徒歩5分、都営浅草線「浅草橋」A3出口 徒歩7分、JR総武本線「馬喰町」C4出口から徒歩2分 徒歩7分、都営新宿線「馬喰横山」C4出口から徒歩2分 徒歩8分
医療法人社団平永会 日下診療所 理事長、八丁堀3丁目クリニック 院長
コミュニケーションを大切に、地域に根差したかかりつけ医として
医療法人社団平永会 日下診療所(東京都荒川区南千住5丁目21-7 1F:JR常磐線(上野~取手) 南千住 西口 徒歩5分)の病院ページ。
四谷内科・内視鏡クリニック 副院長
内科、消化器内科、内視鏡内科、糖尿病内科、内分泌内科
東京都新宿区四谷2丁目11-6 フォーキャスト四谷6F
東京メトロ丸ノ内線「四谷三丁目」 徒歩5分、JR中央・総武線「四ツ谷」東京メトロ丸ノ内線も利用可 徒歩8分
東京逓信病院 内分泌・代謝内科 部長
内科、血液内科、外科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、呼吸器内科、循環器内科、緩和ケア内科、感染症内科、消化器内科、内分泌内科、代謝内科、総合診療科、病理診断科
東京都千代田区富士見2丁目14-23
JR中央・総武線「飯田橋」西口 徒歩5分、東京メトロ有楽町線「飯田橋」B2a出口(東京メトロ南北線も同様) 徒歩6分、都営大江戸線「飯田橋」A4出口(東京メトロ東西線も同様) 徒歩9分
武蔵野赤十字病院 内分泌代謝科部長
内科、血液内科、リウマチ科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器科、呼吸器外科、消化器科、腎臓内科、循環器科、心臓血管外科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、内分泌科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、緩和ケア内科、腫瘍内科、感染症内科、代謝内科、膠原病内科、頭頸部外科、総合診療科、病理診断科
東京都武蔵野市境南町1丁目26-1
JR中央線(快速)「武蔵境」南口 小田急バス、ムーバス(境南東循環):武蔵野赤十字病院下車 徒歩10分
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