インタビュー

糖尿病性EDの治療方法――糖尿病とEDの深い関係

糖尿病性EDの治療方法――糖尿病とEDの深い関係
高橋 良当 先生

高橋 良当 先生

貴田岡 正史 先生

医療法人社団 明芳会 イムス三芳総合病院 内分泌(甲状腺)・代謝(糖尿病)センター センター長

貴田岡 正史 先生

菅野 一男 先生

かんの内科 院長

菅野 一男 先生

目次
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この記事の最終更新は2015年04月14日です。

糖尿病性EDは、残念ながら今の医学では根治することは難しいとされています。そのほかの糖尿病の合併症と同様に、EDの症状が現れた時点で、非可逆的に進行している可能性が高いと考えられるからです。

ただし根治は難しいものの、治療によって治った状態にすることは可能です。また進行を予防するためには血糖や血圧のコントロールが非常に大切です。

現在、ED治療のほとんどが薬物療法です。日本の病院で処方できる薬はタダラフィル、シルデナフィルクエン酸塩、塩酸バルデナフィル水和物の3種類です。使用目的やタイミングによって使い分けることをおすすめします。

EDは日本国内では“病気”としては捉えられていないため、いずれの治療も自由診療での治療になりますが、糖尿病の保険診療とカルテを別にすれば、同日同科での混合診療も可能です。

タダラフィル

効果が2~3日持続します。動脈硬化認知症狭心症の予防にも有効であることが知られており、海外では健康のために服用している人がいるほどです。現在の世界市場の売上げナンバーワン製品です。

シルデナフィルクエン酸塩/塩酸バルデナフィル水和物 

効果は短時間であり、性交渉の1時間前に服用する必要があります。したがって、タイミングを合わせなければならないので、パートナーとの良好な愛情関係を保っていることがよい効果を得るための必須条件になります。

糖尿病性EDにおいて、全ての人に薬が有効なわけではありません。実際に薬が効くのは6割程度で、糖尿病の神経障害や血管障害が進行している人、血糖管理の悪い人ほど効きにくいとされています。また、使用初めの1~2回は不安と緊張から効果が出にくいこともありますので、少なくとも3~4回以上試してみることをおすすめします。

また、服薬の際にはいくつか注意点があります。

  • パートナーとの良好な愛情関係のもと、互いの性欲を高めた状態で性交渉する
  • 喫煙を控え、飲酒はほろ酔いまでにする
  • シルデナフィルクエン酸/バルデナフィルは空腹時、性交1時間前に服用する
  • 疲労や睡眠不足時は避け、リラックスした体調の良いときに服用する
  • 薬の効果を得るためには、脳と陰茎に適度な性的刺激が必要です 

EDにおける注射治療は世界では一般的ですが、日本では認可されていません。PGE1という薬物をインスリン用注射器を使って、陰茎海綿体内に注射して勃起させます。現在、日本でこの治療は研究目的でのみ実施することが可能です。

薬や注射以外の治療法としては、手術による治療法もありますが、あまり一般的ではありません。シリコンを埋め込むことで、勃起可能な陰茎の硬さが得られます。

インターネットでは、「簡単に、安く、早く」EDの薬を手に入れることができますが、注意が必要です。製薬会社の調査によると、インターネットで販売しているEDの薬の6割が偽物といわれています。純正、本物などと書いてあっても信用できるとは限りません。効果がみられないだけでなく、不衛生であったり、危険な劇薬を混ぜた粗悪品、中には興奮状態にすることで勃起させる薬まであります。

人に打ち明けづらい内容のため、なかなか表に取り上げられませんが、死亡例も出ています。ED治療薬のインターネット購入は危険であることを覚えておきましょう。必ず病院に受診し、自分の病気と飲んでいる薬を医師に伝えたうえで処方してもらうようにしてください。

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