インタビュー

クラインフェルター症候群とはどんな病気? 性染色体異常を原因とする男性不妊症

クラインフェルター症候群とはどんな病気? 性染色体異常を原因とする男性不妊症
黒田 晋之介 先生

横浜市立大学市民総合医療センター生殖医療センター 泌尿器科

黒田 晋之介 先生

湯村  寧 先生

横浜市立大学附属市民総合医療センター 生殖医療センター 部長 田園都市レディースクリニック

湯村 寧 先生

クラインフェルター症候群とは?

クラインフェルター症候群とは、2つ以上のX染色体とY染色体を持つ(一番多いのは47,XXYという核型)性染色体異常が原因の病気です。外見は男性で、教科書的には高身長、やせ型、長い手足となることが多いと言われています。小さい頃に気付かれ診断に至る場合もありますが、特に気付かれず不妊症を契機に発見されることも多い病気です。

クラインファインダー症候群の発生割合

頻度は1000-2000人に一人と言われており、性染色体異常を原因とする男性不妊症の中では約70%と最も高い割合を占めています。純粋なクラインフェルター症候群の場合(非モザイクType: 47,XXY)と、正常核型と両方混在する場合(モザイクType:46,XY/47,XXY)があり、非モザイクTypeが90%, モザイクTypeが10%を占めると言われています。

クラインフェルター症候群の症状

クラインフェルター症候群では、思春期以前の子どもにはあまり異常が見られませんが、糖尿病、甲状腺機能低下症、乳癌などの病気の頻度が高くなるという報告があります。

成人後に現れる多彩な症状

成人になると、ほとんどの場合、精巣が萎縮します。ホルモン検査をすると、LH,FSHという男性ホルモンが生成され、精子形成を促すホルモンが上昇していますが、男性ホルモンであるテストステロンは低下しています。そのため骨粗しょう症、筋力低下、女性化乳房、性欲低下など、多彩な症状が出ることがあります。生殖機能に関しては、高度乏精子症や無精子症となり、不妊症の原因となります。

クラインフェルター症候群の検査・診断・治療

男性ホルモンの補充療法

末梢血染色体検査(Gバンド法)によって染色体異常を確認することで診断に至ります。クラインフェルター症候群を根本的に治す治療法はありませんが、多くは男性ホルモン低下による症状に対して、症状を緩和する目的で男性ホルモンの補充療法が行われます。

体外受精・顕微授精・顕微鏡下精巣内精子回収術

不妊治療において、モザイクType(46,XY/47,XXY)は精液中に少ない射出精子を認める場合があるため、その場合はその精子を用いて体外受精、顕微授精を行うことができます。非モザイクType(47,XXY)では無精子症となり、以前は治療は困難と言われていました。しかし非モザイクTypeでも精巣内には精子が認められる場合があることが明らかになったため、顕微鏡下精巣内精子回収術(Micro-dissection Testicular Sperm Extraction: Micro-TESE)で精子を回収できる可能性があります。

精子回収率

特発性無精子症(染色体などは正常なのに原因不明で無精子症となっている男性で、無精子症の中で最も多い病態です)ではMicro-TESEでの精子回収率が20-30%であるのに対し、クラインフェルター症候群では50-60%と近年比較的良好な成績が報告されています。生殖補助医療を行う場合は様々なリスクがあるため専門医から充分に説明を受ける必要がありま。しかし、一般的にクラインフェルター症候群では他の染色体異常の病気と比較しても児に疾患が伝播するリスクは低いと考えられています。

「クラインフェルター症候群かも」と感じたら

このようにクラインフェルター症候群では現在の生殖補助医療技術を用いて子供を授かることができる可能性があります。しかし、まだまだ見逃されている場合もあると推測されています。クラインフェルター症候群かもしれないと感じたら、外来を受診し、病気の可能性がある場合、説明をしっかり聞いた上で染色体検査を受けましょう。