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夫婦で行う不妊治療−具体的な治療法や費用について
不妊症は決して珍しいものではなく、今は6組に1組の夫婦が不妊症であるといわれています。そして、なかなか子どもができないと感じたときには、夫婦一緒に病院を受診して治療を開始することが大切です。今回...
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夫婦で行う不妊治療−具体的な治療法や費用について

公開日 2018 年 11 月 30 日 | 更新日 2018 年 11 月 30 日

夫婦で行う不妊治療−具体的な治療法や費用について
湯村  寧 先生

横浜市立大学附属市民総合医療センター 生殖医療センター 部長 田園都市レディースクリニック

湯村 寧 先生

村瀬 真理子 先生

横浜市立大学市民総合医療センター 生殖医療センター担当部長

村瀬 真理子 先生

目次

不妊症は決して珍しいものではなく、今は6組に1組の夫婦が不妊症であるといわれています。そして、なかなか子どもができないと感じたときには、夫婦一緒に病院を受診して治療を開始することが大切です。

今回は、横浜市立大学附属市民総合医療センター生殖医療センターの部長である湯村寧先生(男性不妊担当)と担当部長である村瀬真理子先生(女性不妊担当)に、不妊治療についてお話を伺いました。

不妊症の原因と検査方法については、記事1『夫婦で行う不妊治療−不妊症の原因と検査方法について』をご覧ください。

不妊症の治療法

20〜30代くらいのカップル(夫婦)

治療は段階的にステップアップしていく

不妊症の治療では、身体的・経済的負担の少ない治療法からステップアップして行っていくことが基本的な流れです。

  • STEP1…タイミング療法
  • STEP2…人工授精
  • STEP3…生殖補助療法(体外受精など)

STEP1 タイミング療法

タイミング療法とは、検査結果から妊娠しやすい時期を示し、その日に夫婦生活を持っていただくよう指導することです。おおよそ排卵2~3日前から排卵後1日以内が、もっとも妊娠しやすい時期です。

一般的には、タイミング療法を約半年間(5~6回程度)続けていただいて、妊娠しない場合には次のステップとなる人工授精を行います。妊娠に結びつくような質を持っている卵子は、毎月排卵されているとは限らないため、約半年間を目安にタイミング療法を行っています。

ただし、年齢が高いなどの理由で早急な妊娠を希望される方の場合には、よく相談しながら早めに次の治療へ移行することもあります。

STEP2 人工授精

人工授精は、精液を洗浄濃縮したあと、細いカテーテルを使って精子を子宮腔内へ送り込む治療法です。あらかじめ診察で排卵日を予想し、人工授精を行う日を決定し、精液を持参していただいて行います。

頸管粘液の分泌量が少なかったり、精液中の精子が少なかったりする場合には有効な治療ですが、排卵誘発剤の使用と組み合わせることにより原因不明不妊に対しても効果があることが報告されています。

STEP3 生殖補助療法(体外受精など)

生殖補助療法とは、体外受精や顕微授精、胚移植などを含めた新しい治療法を指します。中でも、広く行われている治療法が体外受精です。

体外受精では、卵子を体の外に取り出し、パートナーの精子と結びつけて受精卵にし、3〜5日間培養した後に、受精卵を子宮へ移植する治療法です。

体外受精は、人工授精で妊娠しなかった場合に行われることが一般的です。しかし、精子の量が極端に少なかったり、左右の卵管が閉塞していたりして、人工授精では妊娠が難しいことがあらかじめ分かっている場合には、最初から体外受精を行うケースもあります。

女性に行う治療法

腹腔鏡や子宮鏡を使った検査・治療

子宮筋腫や卵巣嚢腫が妊娠の妨げになっている場合には、腹腔鏡や子宮鏡を使った手術でこれらを取り除く治療を行います。

また、特別な原因がない場合であっても、腹腔鏡や子宮鏡で観察するのと同時に、腹腔内の洗浄や卵管の通水(水を通すこと)を行うことで腹腔内の環境が整い、妊娠に至るケースもあります。

そのため、タイミング療法や人工授精を行ってもなかなか妊娠できない場合には、すぐに体外受精を行うのではなく、腹腔鏡や子宮鏡を使った腹腔内の観察・洗浄を選択する場合もあります。

腹腔鏡・子宮鏡:お腹や子宮の中を観察するためのカメラ

男性に行う治療法

食事する30代くらいの男性

生活習慣指導、薬物治療

精液検査の結果、精液所見(精子の量や濃度、運動率など)が悪かった場合には、先述した不妊治療と並行しながら、生活習慣の指導や薬物療法を行います。

精液所見を悪化させている原因のひとつに、「酸化ストレス」があります。酸化ストレスとは、酸素や栄養素からエネルギーが作られる際に出てきた有害物質によって、体の細胞がダメージを受けることです。精子を酸化ストレスから守るためには、抗酸化作用を高める栄養素を含む食事を心がけるようにお話をしています。

<抗酸化作用を高める栄養素>

  • リコピン(トマトなど)
  • βカロチン(にんじん、ほうれん草、ピーマン、かぼちゃなど)
  • ビタミンE(アーモンド、うなぎ、植物油など)

そのほか、運動や睡眠も精液所見の改善に効果的です。ただし、過度な運動はかえって精液所見を悪化させてしまうため、適度な運動を心がけましょう。

また、長期間精巣の中に精子が溜まった状態が続くと、精子の量は増加しても、運動率が悪くなったり、酸化ストレスを受けやすくなったりします。そのため、週に2~3回を目安に射精をすることを推奨しています。これらの生活習慣の指導と同時に、原因に合わせた薬物治療を行います。

精子ができるまでは2か月半ほどかかる

精子が新しくできるまでには約2か月半かかるため、治療開始後すぐに効果は現れません。そのため、2か月半ほどは治療を継続していただき、効果がみられない場合には、薬の種類を変更したり、患者さんによっては後述する手術治療を行ったりします。

手術治療

顕微鏡下精索静脈瘤手術

精索静脈瘤が原因で造精機能障害が起きている場合には、精索静脈瘤を取り除く手術を行います。静脈瘤手術では、鼠径部(そけいぶ)(足の付け根)を2cmほど切開し、そこから顕微鏡を使用して手術を行います。手術を行うことで、精液所見改善の効果が期待できます。

また、精索静脈瘤によって、造精機能障害が引き起こされるだけでなく、精子のDNA損傷が起きているようなケースもあります。こうしたケースでは、手術を行うことで精子のDNAの損傷の程度が改善することも分かっています。

そのため、体外受精を選択される方の場合でも、精子の質を高めるために精索静脈瘤がある場合には手術を行うことをおすすめしています。

精巣精子回収術

射精された精液の中に精子がない無精子症の方の場合、精巣をメスで切開して人工的に精巣内の精子を探し出し回収する精巣精子回収術を行います。

不妊治療にかかる費用

人工授精や体外受精などの生殖補助療法は自費診療です。そのため、費用は病院により大きく異なりますが、当院の場合は以下の通りです。

  • 人工授精…1回につき約1万5千円
  • 体外受精…1回につき約40万円〜50万円(排卵誘発から妊娠判定までを含む)

また、男性不妊治療で行う精巣内精子回収術も自費診療です。こちらも病院によって費用に大きな差がありますが、当院の場合は約30万円です(治療にかかる一連の検査を含む)。精索静脈瘤手術は保険適応です。

不妊治療の助成金について

不妊治療の中で、特定不妊治療と呼ばれている体外受精と顕微授精については、国からの助成を受けることができます。また、これらの治療に伴って、精巣精子回収術を行った場合には、当手術に対しても費用の助成を受けることが可能です。

ただし、治療内容や年齢、所得などによっては助成を受けられない場合がありますので、詳しくはお住まいの市町村でお尋ねください。

夫婦で不妊治療を行ううえで大切なこと

村瀬先生

村瀬先生:不妊治療を行っていくうえでは、夫婦間でコミュニケーションをしっかりと取っていただきたいと思います。

どうしても「不妊症=女性」というイメージがあるのか、女性側だけが必死になって頑張ってしまい、夫婦間で温度差が生じてしまうケースは多々あります。

しかし、不妊治療はどちらかが頑張るものではなく、2人で協力して行うものです。赤ちゃんを授かったあとには子育ても待っていますので、お互いに思いやりの気持ちを持ちながらコミュニケーションを取ることが不妊治療の秘訣です。

湯村先生

湯村先生:「子どもは欲しいと思ったときにすぐできる」と思っている方は多いのではないでしょうか。しかし、今は6組に1組の夫婦は不妊症であるといわれており、決して他人事ではありません。ですから、不妊症と診断された場合には、診断をきちんと受け止めて、赤ちゃんを授かる方法について夫婦一緒に考えていく必要があります。

不妊治療においては、それぞれが自分に与えられたパート(治療)をとにかくしっかりと行うことが大切です。村瀬先生のお話にもあったように、不妊治療はどちらか一方が頑張るものではありません。自分のやるべきことをしっかりやって、お互いにコンディションを高めていきながら妊娠を目指してほしいと思います。

先生からのメッセージ

湯村先生・村瀬先生

決して無理はしないで

村瀬先生:不妊治療において大変なことは、ゴールが見えないことです。「ここまで頑張ったら絶対妊娠できる」というものではないため、そのことで悩まれる方は多くいらっしゃいます。

悩んだときには、県や市町村が開設している不妊症相談窓口を利用したり、病院で医師や看護師に悩みを相談していただいたりすることで、気持ちが楽になることがあるかもしれません。

治療に行き詰まったときには、思い切って治療を休んでみることも1つの選択肢だと思います。ストレスによってホルモンバランスが崩れると、さらに妊娠しづらくなるということも考えられます。自分が続けられる方法で、無理なく治療を継続していっていただきたいと思います。

夫婦一緒に不妊治療をスタートする

湯村先生:不妊治療は女性が主導になって行っている夫婦も多いかと思いますが、男性にもできることはたくさんあります。

「なかなか子どもができない」と感じたときには、精液所見を確かめてみることは大切なことです。当院では、精液所見を知りたいという方に対して、メンズドック外来を開設しており、このような悩みを抱える方に受診していただいています。

子どもが欲しいと思っていてもなかなか授かることができないときには、夫婦同時に治療を開始することが大切です。当院の場合、夫婦一緒に足並みをそろえて治療を進めていくことができるよう、男女同じスペースで外来診療を行っています。初診の段階からご夫婦でお越しいただき、同時に治療をスタートしていければと思います。

 

不妊治療 (湯村 寧 先生・村瀬 真理子 先生)の連載記事

日本で50人弱しかいない泌尿器科生殖医療専門医の一人であり、男性不妊治療の専門家。横浜市の不妊相談などを担当し、男性不妊の啓発活動に努めている。横浜市立大学附属市民総合医療センターの生殖医療センター長を務める。同センターは泌尿器科に3名、婦人科に1名の生殖医療専門医がおり、夫婦一緒に治療を受けられる神奈川県内唯一の施設である。

1993年横浜市立大学医学部を卒業。その後、横浜市内の市中病院で産婦人科医としての経験を積む。2012年からは、横浜市立大学附属市民総合医療センター生殖医療センターに勤務。不妊治療、生殖補助療法に日々尽力している。

「不妊症」についての相談が10件あります

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