
無精子症の患者さんがお子さんを授かるために、精巣内から直接精子を回収する「精巣内精子回収術(Testicular sperm extraction :TESE テセ)」という方法があります。この記事では、その概要、合併症、そして料金に至るまでをご説明します。男性不妊治療のスペシャリストである、横浜市立大学附属市民総合医療センター 生殖医療センター 部長の湯村寧先生にうかがいました。
無精子症の記事でも述べているように、無精子症の病態は以下の2つです。
参考記事:「無精子症について―精子回収の可能性は?」
参考記事:「不妊症の原因になる射精障害とはどんな病気?その種類と治療」
参考記事:「閉塞性無精子症(OA)とはどんな病気?その原因と治療方法」
1の原因としては、参考記事で山中先生が述べているように精路(精子の通り道)のどこかが詰まっていることがあげられます。例えばパイプカット後であったり、精巣上体の閉塞であったり、射精管の閉塞であったり、先天性に精管が欠損している方もいらっしゃいます。
また、射精障害の多くは逆行性射精ですので射精後の尿から精子を回収する事が行われますが、十分な精子を回収できない場合や骨盤内神経の損傷のために全く精液も出てこない方もいらっしゃいます。
参考記事:「逆行性射精とは―男性不妊の原因にも」
2の原因は精巣に問題があることが多く、精巣自体で精子をほとんど作っていません。なぜ精巣で精子が作られないのかははっきりしたことは分かっていませんが、以下のような病態が考えられます。
これらの疾患ですべての患者さんが無精子症になるわけではありません。またこれらの疾患・既往歴をもっている人のほうが実際は少なく、非閉塞性無精子症の多くは原因不明のままです。
このような無精子症の患者さんの場合は、治療として精巣内から直接精子を回収し、奥様から卵を取り出し、顕微授精(ICSI イクシーといいます)を行って妊娠を目指します。この方法を精巣内精子回収術(Testicular sperm extraction :TESE テセ)といいます。
TESEには大きく2つの術式があります。
これらの術式についての詳細は、次の記事「精巣内精子回収術(2)―2つの術式はどのようなもの?」でご説明します。
Conventional TESEもMicro TESEも精巣を切開する手術ですので、あまり大きな合併症はありません。合併症としては、手術が終わった後、止血していた血管から再出血するなどで陰嚢に血腫が出来たりする可能性、創が感染する可能性、などがありますが、いずれも保存的に対処可能です(あまり出血がひどい場合には再手術を行う場合もあります)。
またMicro TESEの場合精細管にもダメージを及ぼしますが、精細管周囲には男性ホルモンである「テストステロン」を作っている細胞があり、これも手術時に一部が壊れてしまう可能性が高いです。
Micro TESEを行った場合には術後このテストステロンが低下する可能性があり、症状が出現する場合にはホルモンを補充する必要が出てきますが、実際のところホルモン補充が必要になる可能性は低いと言われています。
本手術は主に局所麻酔で行われることが多いです。Conventional TESEの場合は早ければ数十分で終わりますが、Micro TESEの場合は2〜3時間かかる場合もあります。施設によっては腰椎麻酔や全身麻酔を行いますし、局所麻酔でも薬を足しながら施行します。麻酔の種類によって、料金が変わる場合もありますので、よく担当医と相談された方が良いでしょう。
本手術はおそらくですが、ほとんどの施設で保険外診療です。施設によって価格にも大きな違いがあるのが現状です。しかし価格については、医療の場合「安かろう悪かろう」ではないこともあります。病院を選ぶ目安は、やはり生殖医療専門医、とくに泌尿器科の生殖医療専門医のいる施設、もしくは手術だけでも泌尿器科の生殖医療専門医が行う施設の方が良いと思われます。
また料金は手術だけを指す場合が多く、料金以外に精子の探索料、精子がいたらそれを凍結するための手数料などがかかる場合がありますので、そちらも確認をしたほうがいいでしょう。
男性不妊に対する補助金は出している自治体・出さない自治体がありますので、治療を受けられる前にお住まいの自治体に確認することが必要です。
横浜市立大学附属市民総合医療センター 生殖医療センター 泌尿器科部長・准教授、田園都市レディースクリニック 臨時職員
横浜市立大学附属市民総合医療センター 生殖医療センター 泌尿器科部長・准教授、田園都市レディースクリニック 臨時職員
日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医・泌尿器科指導医日本生殖医学会 生殖医療専門医日本癌治療学会 会員日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本生殖医学会認定 生殖医療専門医(泌尿器科)の一人であり、男性不妊治療の専門家。横浜市の不妊相談などを担当し、男性不妊の啓発活動に努めている。また、横浜市立大学附属市民総合医療センターの生殖医療センター部長を務める。同センターは泌尿器科、婦人科に日本生殖医学会認定 生殖医療専門医(泌尿器科)が在籍しており、パートナーと一緒に治療を受けられる神奈川県内の施設である。
湯村 寧 先生の所属医療機関
周辺で男性不妊の実績がある医師
東邦大学 医学部教授(泌尿器科学講座)、東邦大学医療センター大森病院 リプロダクションセンター(泌尿器科)センター長
内科、血液内科、リウマチ科、外科、心療内科、東洋医学科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、感染症内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、代謝内科、膠原病内科、脳神経内科、内分泌外科、精神神経科、病理診断科
東京都大田区大森西6丁目11-1
京急本線「梅屋敷」 徒歩7分、JR京浜東北線「蒲田」東口 大森駅行き 東邦大学下車すぐ バス4分、JR京浜東北線「大森」東口 蒲田駅行き 東邦大学下車すぐ バス12分
杉山産婦人科新宿 男性外来担当、帝京大学医学部附属病院 泌尿器科 非常勤講師
内科、アレルギー科、血液内科、リウマチ科、外科、精神科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、ペインクリニック科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、緩和ケア内科、腫瘍内科、感染症内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、膠原病内科、脳神経内科、肝胆膵外科、内分泌外科、総合診療科、病理診断科
東京都板橋区加賀2丁目11-1
JR埼京線「十条」北口 国際興業バス:帝京大学病院正面経由、赤羽駅西口駅行き 帝京大学病院正面下車 徒歩10分、都営三田線「板橋本町」A1番出口 徒歩13分、宇都宮線「赤羽」西口 国際興業バス 帝京大学病院正面経由、王子駅行き 帝京大学病院正面下車 バス、JR埼京線「板橋」西口 国際興業バス 帝京大学病院経由、王子駅行き 帝京大学病院下車 バス
医療法人社団寿幸会 理事長、田園都市レディースクリニック あざみ野本院 院長
婦人科、泌尿器科
東京都世田谷区玉川2丁目24-24 セゾン玉川5F
東急田園都市線「二子玉川」西口 徒歩2分
一般社団法人CUTIE 理事長、PRO CLINIC 院長
徹底したプライバシー配慮と仕上がりへのこだわりで、男性特有のお悩みを解消
PRO CLINIC(東京都中央区銀座1丁目5-13 ZXGINZAビル4F:東京メトロ「銀座一丁目」5番出口 徒歩5分)の病院ページ。
美容外科、美容皮膚科
東京都中央区銀座1丁目5-13 ZXGINZAビル4F
「銀座一丁目駅」5番出口より 徒歩5分、「有楽町駅」D9出口より 徒歩4分、「銀座駅」C8出口より 徒歩6分
PRO CLINIC 医局長
徹底したプライバシー配慮と仕上がりへのこだわりで、男性特有のお悩みを解消
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美容外科、美容皮膚科
東京都中央区銀座1丁目5-13 ZXGINZAビル4F
「銀座一丁目駅」5番出口より 徒歩5分、「有楽町駅」D9出口より 徒歩4分、「銀座駅」C8出口より 徒歩6分
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妊娠の可能性は?
本日D30、排卵日翌日から高温期が持続しています。排卵日2日前にタイミングをとりました。最近は、月経前に乳房が張ることはなかったのですが、今回は乳房が張っています。それ以外の変化はないのですが、フライングで妊娠検査薬を使用してみましたが、陰性でした。この時期のフライング検査で陰性だと、妊娠の可能性は低いでしょうか?もちろん、フライング検査の信頼性は低いことは、承知しています。
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3/19、排卵検査薬陽性、基礎体温も35.1℃と、ぐっと下がり、婦人科で昼頃卵胞チェックをしてもらい、排卵間近とのことでした。翌日には排卵検査薬は陰性になっていたので、婦人科で卵胞チェックをしてもらって、結構すぐに排卵したと思われます。 その2日前の午前中に、偶然にもタイミングをとっておりました。精子が射精されて、数時間後から活動を始める事を考えると、もしかしたら受精の可能性はあるとの事で、3/22から、デュファストンを服用しています(10日分処方)。排卵日翌日から高温期に入り、3/20(36.1℃)、3/21(36.1℃)、3/22(36.2℃)、3/23(36.1℃)、3/24(36.4℃)、3/25(36.3℃)、3/26(36.5℃)、と高温期を保っています。本日3/27にぐっと下がり、36.2℃でした。考えすぎかもしれませんが、もしかしたら、インプランテーションディップなのではないかと、つい思えてしまいます。ひどい便秘症なのですが、2日前から下痢や軟便も続いています。もちろん、検査をしないと答えが出ない事は分かっていますが、フライング検査は本当は良くないと思いつつ、試したいとも思ってしまいます。着床すると、何日程でhcGが検出できるようになるのでしょうか?
排卵後にノアルテンを服用
体外受精を予定しており、前周期にノアルテンをD18から10日処方されております。 しかし、排卵後に処方されていたので、万が一妊娠していた場合、ノアルテンを飲んでいるとよくないのでしょうか(ノアルテンを飲んでいると、受精をしたとしても、流産するのでしょうか) 仮定の話で恐縮です。ご回答よろしくお願いします。
AMH低いが自然妊娠を希望している
妊活を始めて半年の夫婦です。先日病院でAMH検査を受け、数値は0.68でした。夫は治療はまだいいのではないかと言い、自然妊娠を希望しています。病院の先生には「タイミング法をとってる暇はない」と言われたので、私としては焦っています。セカンドオピニオンとしてアドバイスうかがいたいです。
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