インタビュー

男性不妊で行われる3つの手術とは?

男性不妊で行われる3つの手術とは?
湯村  寧 先生

横浜市立大学附属市民総合医療センター 生殖医療センター 部長 田園都市レディースクリニック

湯村 寧 先生

不妊症の治療 -体外受精胚移植(IVF-ET)として行われる手術療法は、主に以下の3つがあります。

精索静脈瘤の手術

まず1つ目は、精索静脈瘤に対する手術療法です。

精索静脈瘤の起こる割合は、一般成人男子の8~23%、不妊患者では21~39%程度となっています。
精索静脈瘤を手術した場合、平均57%のケースに精液所見(精液検査の結果)の改善が見られ、36%のケースが妊娠しているため、手術で治る不妊症と言われています。

精索静脈瘤の手術療法

精索静脈瘤の手術療法

精索静脈瘤の手術では、上の図のように、内精索静脈という部分のうち3か所のどこかを糸でしばる(結紮・けっさつ)か、カテーテルを用いて詰めます(塞栓・そくせん)。内精索静脈を遮断することで、側副血行路(血管が詰まる場合に自然に発生する、別の血流路)を再生させ、静脈をよく通るようにさせるという手術法です。

<単孔式腹腔鏡下内精静脈結紮術(けっさつじゅつ)>

腹腔鏡下手術と手術後の臍(おへそ)の創(傷跡)

腹腔鏡下手術と手術後の臍(おへそ)の創(傷跡)

精索静脈瘤の手術の一つに、単孔式腹腔鏡下内精静脈結紮術という手術法があります。
上の写真のように、お腹から内視鏡と鉗子を入れて、内精静脈を糸でしばるという手術です。
この手術の特徴として、以下が挙げられます。

  • 手術時間はおおむね1時間以内で、入院は二泊三日程度で済みます。
  • できる傷はへその部分のみです。
  • 社会復帰が通常手術より早く出来ます。
  • 再発率は低位結紮術と大きな差はないと言われています。

精路再建術・精路開通術

これらは、閉塞性無精子症やパイプカット後に妊娠を希望する場合などに行います。
再建術・開通術としては

  1. 精管同士をつなぎ直す(精管精管吻合術・ふんごうじゅつ)
  2. 精管と精巣上体をつなぐ(精管精巣上体吻合術)
  3. 射精管の閉塞部位を切除スコープ(膀胱の腫瘍や前立腺を切除するのに用いる器具)で切開し、詰まったところを開通させる。

等があります。

精巣内精子回収術(TESE)

精巣内精子回収術(TESE)は、Microdissection(MD)TESEと、Conventional(Simple)TESEの二つに分けられます。
以下、TESEの手順を説明します。

  1. Microdissecion TESEでは、精巣を大きく切開し、精子のいそうな精細管を切り出します。
    Conventional TESEでは、2〜3カ所切開し、精巣を圧迫し、精細管を取り出します。

  2. 取り出した精細管の精子の有無を調べたのち、切った部分を閉じます。

  3. 回収した新鮮精子による顕微授精(ICSI)または、精巣組織を凍結して後日顕微授精(ICSI)を行います。