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マグネシウム不足に拍車をかける従来の糖尿病治療の問題点とは?
記事1『マグネシウム不足の影響-インスリン抵抗性を介して糖尿病の原因に!そして突然死にも関連』お話ししたように、日本人はマグネシウムの摂取量が不足しており、この慢性的なマグネシウム不足が2型糖尿...
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マグネシウム不足に拍車をかける従来の糖尿病治療の問題点とは?

公開日 2017 年 07 月 11 日 | 更新日 2018 年 09 月 20 日

マグネシウム不足に拍車をかける従来の糖尿病治療の問題点とは?
菊池 健次郎 先生

札幌南一条病院 顧問、旭川医科大学名誉教授

菊池 健次郎 先生

記事1 『マグネシウム不足の影響-インスリン抵抗性を介して糖尿病の原因に!そして突然死にも関連』お話ししたように、日本人はマグネシウムの摂取量が不足しており、この慢性的なマグネシウム不足が2型糖尿病を起こしやすくしています。そのうえ近年では2型糖尿病に罹患した後の糖尿病自体の治療や合併症の治療によりマグネシウム不足が助長され、病状をさらに悪化させてしまう可能性も明らかになりました。

本記事では糖尿病の治療がなぜマグネシウム不足を助長してしまうのかについて、引き続き旭川医大名誉教授・札幌南一条病院 循環器・腎臓内科 顧問の菊池健次郎先生にお話しいただきました。

マグネシウム不足に拍車をかける糖尿病治療の問題点

本記事では、糖尿病の治療がどのようにしてマグネシウム不足を起こしてしまうのか、以下にいくつか例を挙げてご説明します。

治療食によってマグネシウム摂取量が減少してしまう

食事

糖尿病の方は腎症や高血圧、脂質異常症を合併することが少なくなく、その基本的な治療として食事指導が行われます。私が北海道循環器病院に在職中に管理栄養士さんに調べて頂いた結果では、疾患に見合った指導食では一般食に比べてマグネシウム摂取量が少なくなる、つまり、マグネシウム不足がみられる患者さんの指導・治療食が、マグネシウム摂取量をさらに少なくしてしまうことがわかりました。

 

病院食におけるMG含有量と推奨量

上記のグラフをご覧いただくと、食事中のマグネシウム含量は一般食の和食が最も多く、和食を洋食(パン食)に変えるだけでもマグネシウムの含量は減少し、さらに、糖尿病食を含めた指導・治療食ではマグネシウム含量が大きく減少してしまいます。

このように糖尿病や糖尿病性腎症に罹患すると、糖尿病食+腎臓食(カロリー・蛋白・食塩制限)によってマグネシウム不足がさらに進行する、負の連鎖を起こし得ることがわかります。

マグネシウム不足は糖尿病性腎症を進行させる?

糖尿病が進行すると、脳梗塞、心筋梗塞、網膜症、腎症などの合併症を生ずることが少なくありません。その中の糖尿病性腎症の進行にマグネシウム不足が関連する可能性が、日本の後ろ向き研究により報告されています。腎機能が正常の約1/4に低下した糖尿病性腎症の患者さんで、血中マグネシウム濃度が基準値の下限値の1.8mg未満のマグネシウム不足が強いと推察される患者さんでは、1.8mg/dl以上の患者さんに比べ、早期に末期腎不全に陥り、透析・腎移植などの腎代替治療に移行するリスクの高いことが示されています。

 

2型糖尿病性腎症とマグネシウムとの関係

利尿薬を使用している場合、マグネシウムが尿中に多く排泄されてしまう

糖尿病患者さんでは、高血圧や心不全を合併する方が多く、この様な患者さんに治療薬としてサイアザイドあるいはループ利尿薬がしばしば使用されます。

これらの利尿薬は尿量や尿中ナトリウム排泄を増やし、高血圧や心不全の病態を改善致します。一方、同時に、尿中へのマグネシウムの排泄を増やすことが知られており、マグネシウム不足を進行させ、インスリン抵抗性を悪化、血糖を上昇させると考えられます。

ステント留置術を受けた際に服用する薬がマグネシウムの消化管吸収を抑えてしまう

糖尿病患者さんでは高血圧、脂質異常症を高率に伴い、冠動脈疾患の合併率も高くなります。急性心筋梗塞や重症冠動脈疾患の治療として、冠動脈が詰まったところや詰まりそうなところをバルーンや金属のステントを留置し広げ、血流を回復させる血管内形成術が日常的に行われています。

このステント留置部位の血栓による冠動脈の再閉塞を予防するため患者さんは抗血小板薬を2剤、通常、6か月以上は服用し続けることになります。抗血小板薬は、血液をサラサラにする薬で、継続服用により消化管出血や脳出血などの出血性合併症を起こすことがあります。

このような合併症、特に、消化管出血を防止する目的で胃液・胃酸の分泌を強力に抑える、プロトンポンプ阻害薬が高頻度に処方されています。しかし、このプロトンポンプ阻害薬を1年以上服用していると消化管からのマグネシウムの吸収が抑えられ、低マグネシウム血症を招くことが明らかにされ、2011年に米国の公的機関がすでに注意喚起を行っています。

透析患者さんは透析治療で体内マグネシウムが除去される

人工透析

糖尿病性腎症が進行し末期腎不全になると、人工透析の導入が必要になります。現在は、糖尿病が原因で透析導入される患者さんが最も多くなりました。透析治療時の透析液のマグネシウム濃度は血中マグネシウム濃度に比べ、かなり低く設定されているため、必然的に、透析のたびにマグネシウムが体内から失われ、もともと存在するマグネシウム不足がさらに進行するという問題があります。

透析患者さんでは一般的には腎排泄が殆どなくなり血中マグネシウム濃度は高くなることが多く、さらなる高マグネシウム血症を避けるため、透析医療においては透析液のマグネシウム濃度を低く設定し、かつ、「マグネシウム製剤の投与は禁忌」とするのが定説でした。しかし、近年の研究では、長期透析患者さん、特に、マグネシウム不足が持続する糖尿病透析患者さんでは血中マグネシウム濃度は高くなく、腎不全患者さんとしてはむしろ低めで、これが全身の血管の石灰化を進行させ、冠動脈疾患・脳血管疾患・末梢動脈疾患などのリスクを高め、生命予後を悪化させることがわかってきました。ようやく前述の定説が見直されようとしているように思われます。
 

札幌医科大学・旭川医科大学を通して、長年、循環器・高血圧・腎臓透析内科領域を診療。レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系、ドパミンを含むカテコラミン・自律神経系、Na・K・Ca・P・Mg代謝とインスリン抵抗性、酸化ストレス、血管石灰化、心血管病との関連を専攻、日本高血圧学会総会、腎臓学会東部学術大会、Mg学会総会長などを歴任、現在、札幌南一条病院顧問。

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