若い方から年配の方まで、腰痛に悩む方は多くいらっしゃいます。腰痛の治療法としては、様々な方法が世に知られており、中には医師による治療でないものも多くあります。しかし、それらのマッサージや鍼治療・整体などには効果が期待できるのでしょうか。また、デメリットはないのでしょうか。この分野のエキスパートである西伊豆健育会病院院長の仲田和正先生にお話を伺いました。
腰痛治療は、痛み止め(消炎剤・NSAIDs)の服用・1~2日の安静・ウォーキングなどで改善するのが一般的です。
急性腰痛症の患者の方の9割は、約2週間で改善します。一方、腰から足にかけて伸びている「坐骨神経(ざこつしんけい)」の痛みや、しびれを引き起こす「坐骨神経痛」は治るまでにやや時間がかかります。具体的には、30%の方が2週間以内、75%の方が約3か月でよくなるといわれています。
もしあまりに腰痛が酷いようでしたら痛み止め(消炎剤)を内服するか、横になって1~2日安静にするのが良いでしょう。痛みが和らいできたらウォーキングや水泳、軽いジョギングなどをはじめるとさらに効果的です。
またいわゆる「腰痛体操」は、腰への負荷が高いため、腰痛が出てきて最初の数週間はお勧めできません。
世の中には、牽引療法・マッサージ・鍼治療・整体的治療・コルセットなどの腰痛対策がありますが、医学的な効果は実際どの程度あるのでしょうか。はたしてこれらの治療法は本当に腰痛を治すものなのでしょうか? 以下に詳しく説明します。
牽引療法とは、引っ張ることによる治療です。急性腰痛の根本的治療に効果はありません。
マッサージや低周波などの理学療法は、腰痛の治療・完治につながる療法とは言い難く、完治を目指すうえでの効果は期待できません。これらの療法の目的は、疼痛の緩和です。
鍼は急性腰痛に対する劇的な効果は少ないですが、慢性腰痛には有効である可能性があります。
整体的な方法も、医師の立場からすると腰痛の根本的治療とは言えません。整体は針灸や理学療法と違って、カイロプラクティックのような国家資格がない施術者によって行われます。施術者には高いレベルの人も低いレベルの人もいる可能性があります。施術中に事故が起こり、神経・脊椎の損傷や骨折などの重大な損害が起きた事例も報告されております。整体での腰痛緩和を考えている人は、この点を認識することが必要です。
コルセットは、あくまでも日常動作をサポートするものであり、その点での助けにはなります。しかし、腰痛症そのものを根本的に治す道具ではないことには注意が必要です。原疾患をきちんと診断してもらい、それに合わせた治療をしていく必要があります。
このように、先述した様々な腰痛対策はあくまで痛みの緩和が主であり、腰痛を根本的に治療するものではないことが多くあります。腰痛の対策として効果的と言えるのはウォーキングや水泳などの運動をして体の筋肉のバランスを整えることです。
重いものを持ち上げるなどの腰に負荷がかかる姿勢・体勢は注意が必要です。
腰痛の時に重いものを持ち上げたりすると、さらに腰痛が悪化してしまいます。腰痛持ちの方は、「なるべく重いものを持ち上げない」「背中を丸くして前かがみになる状態(前屈位の姿勢)をやめる」などの対策を心がけることが大切です。
どうしても重たい荷物を持たなければならないときは、ひざを曲げてしゃがみ、背中をできるだけ垂直に近くして持ち上げると、腰への負担が少ないでしょう。
西伊豆健育会病院 院長
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