ようつうしょう

腰痛症

最終更新日:
2024年02月01日
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2024/02/01
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概要

腰痛症とは、腰やその周囲に痛みが生じる病気のことです。いわゆる“ぎっくり腰”のように物を持ち上げる動作や、腰をひねる動作などによって急激な痛みが4週間程度続く急性腰痛症と、原因によらず3か月以上腰の痛みが続く慢性腰痛症、そして急性と慢性の間の亜急性腰痛症に分類することがあります。

いずれも発症原因は多岐にわたり、脊椎や神経などに起因する場合もあれば、泌尿器疾患や婦人科疾患、帯状疱疹(たいじょうほうしん)腹部大動脈瘤(ふくぶだいどうみゃくりゅう)、心因性によるものなど、腰部とは直接的な関連性がない原因によって引き起こされる場合も少なくありません。

治療方法は原因や痛みの程度によって異なりますが、痛み止めなどの薬物療法、神経周囲に局所麻酔薬を注入する硬膜外ブロックや神経根ブロック、手術などがあります。腰痛症によって日常生活に支障をきたすこともあり、原因に合わせた適切な治療を行うことが大切です。

原因

腰痛症は腰回りに存在する腰椎、椎間板、神経、筋肉、靱帯などに何らかの過重な負荷がかかることによって発症することが多く、具体的には腰椎椎間板ヘルニア腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)脊椎圧迫骨折(せきついあっぱくこっせつ)、分離すべり症、側弯症などが挙げられます。そのほかにも尿路結石腎盂腎炎(じんうじんえん)子宮内膜症などの骨盤内臓器の病気や、うつ病、ヒステリーなどの心因的な原因で腰痛を生じることもあります。

また、転移性脊椎腫瘍や化性椎間板炎、解離性大動脈瘤も腰痛を伴い、進行すると麻痺などの症状が現れる可能性があるため、これらとの鑑別が重要です。

急性腰痛症は、転倒したり物を持ち上げたりした際に痛みが生じ、腰椎圧迫骨折や腰椎椎間板ヘルニアなどが原因として考えられます。また、尿路結石や解離性大動脈瘤、帯状疱疹などの突然発症する病気が原因となることも少なくありません。一方、慢性腰痛症は変形性脊椎症、腰部脊柱管狭窄症のほか、脊髄腫瘍子宮内膜炎などによる痛みが慢性的に持続していることや、高齢者では脊椎圧迫骨折による後弯変形が原因として考えられます。

症状

腰痛とは、医学的には肋骨の下あたりからお尻にかけての部位に1日以上持続する痛みがあることを指します。重要な点は、安静時に痛みが軽減されるかどうかです。

解離性大動脈瘤や転移性脊椎腫瘍では強い痛みをり、帯状疱疹では神経に沿ったピリピリした痛みを、安静にしていても感じます。一方で、椎体圧迫骨折椎間板ヘルニアでは体を動かした時に痛みを生じますが、安静にすることで軽快します。

そのほか、原因として考えられる病気の特徴的な症状としては、化性椎間板炎や腎盂腎炎では高熱がみられます。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症では下肢痛やしびれ、間欠跛行*、さらに筋力低下や排尿障害の症状を伴う場合はより重症なため、早期に専門的な知識を持つ医師に相談する必要があります。

*間欠跛行:一定の距離を歩くと足の痛みやしびれが生じ、休息を取ることでまた歩けるようになる症状

検査・診断

腰痛症が疑われる場合は以下のような検査が行われます。

画像検査

腰椎や椎間板の病態を把握するためにはX線が基本になります。さらに詳細な画像検査を行う場合はCTやMRIなどがあり、しびれや脱力などの神経症状がある場合はMRIが有用です。

血液検査

性椎間板炎などの感染症や、転移性脊椎腫瘍、多発性骨髄腫などが疑われる場合に血液検査を行います。高齢者に多い椎体圧迫骨折では骨代謝異常がないかを調べるために血液検査が必要になります。

治療

腰痛症の治療は、原因や痛みの程度によって大きく異なります。通常は腰部の安静を目的としてコルセット装着が行われ、痛みが強い場合は痛み止めや筋弛緩薬(きんしかんやく)などを用いた薬物療法、神経周囲に局所麻酔薬を注射して痛みを和らげる硬膜外ブロックや神経根ブロックを行います。また、慢性腰痛症には運動療法が有効な場合が多く、医師や理学療法士の指導下でリハビリテーションが行われます。

一方で、重症例や腰痛の原因によっては、これらの治療方法では症状が改善しないこともあります。そのような場合には、原因に合わせた手術など根本的な治療が必要となります。

予防

腰痛症はさまざまな原因によって引き起こされるため、予防法は多岐にわたります。まずは、腰に過度の負担がかかる作業や動作を避けることが大切です。また、日頃から運動習慣をつけて適度な筋力や体幹の柔軟性を身に着けることも有用です。高齢者は骨粗鬆症検診を受けて、必要であれば骨粗鬆症の治療を開始することが重要です。

腰痛症は骨や筋肉などの筋骨格系以外の病気が原因となっていることが少なくありません。食事などの生活習慣を整え、体の調子に変化を感じたときは、放置せずにできるだけ早く病院で相談するようにしましょう。

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