日本全国から多くの患者さんが心臓カテーテル治療を受けにくる病院が千葉県にあります。千葉西総合病院は年間3,000例を超える心臓カテーテル治療を行っており、その数は5年連続で全国1位です。「ロータブレーター治療」「エキシマレーザー治療」などの高度な心臓カテーテル治療で特に有名です。
この医療チームを率いる三角和雄千葉西総合病院長に、「エキシマレーザー治療」とはどのような治療なのかを教えていただきました。
心臓カテーテルの治療にはいくつか種類があります。「バルーンカテーテル」と呼ばれるカテーテルの先端についた風船を膨らませることで血管を広げる治療や、「ステント」と呼ばれる網目状の金属製の筒を血管内で広げることで血流を回復する治療が主流です。
動脈硬化が進行してくると血管が硬くなってしまうため、そもそもカテーテルが通せなくなったり、バルーンやステントを用いても血管が広げられなくなったりしてしまいます。そのような場合には、カテーテル治療ではなく心臓血管バイパス手術が行われてきましたが、バイパス手術は患者さんにとって非常に身体的、経済的な負担の大きい治療です。
このように血管が硬くなってしまった場合にも使えるのが、「ロータブレーター」と呼ばれるダイヤモンドのついたドリルを用いた心臓カテーテル手術で、血管の硬くなった部位を削る治療です。(別記事参照)
ただし、ロータブレーターにも弱点があります。ロータブレーターは血栓(血のかたまり)を伴うような病変には使用できないのです。血栓を伴った病変の場合に使われるのが「エキシマレーザー」です。カテーテル先端にとりつけた照射装置からレーザー光線を出すことによって、血栓や血管の硬くなってしまった部位を取り除くことができるのです。
それ以外にもエキシマレーザーは、ステントを入れた患者さんの再狭窄(再び血管が狭くなってしまうこと)の治療にも使用されます。ステントの中にコレステロールや血のかたまりが付着してしまうので、エキシマレーザーを使用してそれらを除去してあげてから、再度バルーンなどを用いて血管を拡張するといった使用方法になります。
エキシマレーザーは、石灰化(動脈が石のように固くなってしまうこと)、血栓の両方に使用できるので非常に有効です。そうであれば、「石灰化のみにしか使用できないロータブレーターは必要ないのでは」と思うかもしれませんが、石灰化があまりにも強い場合はロータブレーターでないと固くなった部分を取り除くことはできません。
記事1:「5年連続心臓カテーテル治療数1位」の医療チームを作った医師―三角和雄
記事2:心臓カテーテル治療の現在 ―最先端カテーテル治療室
記事3:最新の心臓血管検査―マルチスライスCT
記事4:心臓カテーテル治療最先端 ―ロータブレーター
記事5:心臓カテーテル治療最先端 ―エキシマレーザー
千葉西総合病院 病院長/心臓病センター長、 東京医科歯科大学 臨床教授
三角 和雄 先生の所属医療機関
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