インタビュー

子どものロコモティブシンドローム。子どものうちから予防対策を

子どものロコモティブシンドローム。子どものうちから予防対策を
大江 隆史 先生

NTT東日本関東病院 整形外科部長・手術部長/ロコモ チャレンジ!推進協議会 委員長

大江 隆史 先生

ロコモティブシンドロームは、要介護状態にならないためにも、65歳以上の方が特に強く意識すべき問題です。他方、お子さんもロコモティブシンドロームと無関係ではないのではないかという意見もあります。昔ほど外遊びをする子供が多くなくなり、運動機能が著しく低下したり、柔軟性が見られないお子さんが増えたと言われます。 

この記事では、ロコモティブシンドロームについて啓蒙を続けておられるNTT東日本関東病院整形外科主任医長・大江隆史先生に、子どもとロコモティブシンドロームの関係について解説していただきます。

子どもの運動不足が、将来ロコモティブシンドロームを引き起こすかについては、まだ科学的な根拠が得られていない

ロコモティブシンドロームとは。定義を知って対策しよう」で、私達が考えたロコモティブシンドロームという新語は、65歳以上の高年齢層の方が要介護状態にならないように意識づけを図るためのものだということをお話ししました。

一方、運動不足のお子さんが、将来高齢者になった時にロコモティブシンドロームになるかどうかということについては、今のところ明確なエビデンス(科学的根拠)がありません。

ただし、子供時代の運動不足は骨量に影響を与えることがわかっています。骨量は20~30代でピークを迎え、その後減少していきます。したがって、子供のころから運動して骨量を増やしておかなければ将来的に骨量が急激に減少し、骨粗しょう症や、転倒による骨折のリスクが高まります。

パソコンやゲームが普及し、外遊びができるような場所が減少しました。昔と異なり、全身を使って遊ぶ機会が減っています。そのため、しゃがんだり物を投げたりといった日常生活のなかで鍛えられていた筋力や柔軟性が、環境の変化により減少しているといわれています。

このこともあってか、厚生労働省はお子さんの運動器健診を行うことを決めています。本来、子供の身体には柔軟性があります。しかしながら、外遊びをしなくなり、筋力が鍛えられなくなった子供が増えたためか、膝が痛くて曲がりきらないといった関節の硬い子どもが増えています。また瞬発力が低下しているため、転んだ時に反射的に手をつけない子どもも増えています。社会環境の変化はいかんともしがたい面がありますが、保護者の方は、お子さんが小さいころから運動習慣を身に着けるよう工夫してあげることが重要です。

保護者が規則正しい食事と必要な栄養指導を指導することが重要

運動習慣だけでなく、食習慣も大きな影響があります。肥満を避け、筋肉や骨の発育に必要な栄養を適宜摂取させることが重要です。ハイカロリーな加工食品を与えすぎず、以下の栄養素をきちんと摂取させるように指導することが大事です。

【たんぱく質】

筋肉を増やすために必要な栄養素です。
肉、魚、大豆、乳製品に多く含まれています。

【ビタミンB6】

レバーや鶏肉、カツオ、ピーマンに多く含まれます。
たんぱく質の代謝を促し筋肉を作る作用があるので、適宜摂取しましょう。

【カルシウム】

骨を構成するのに最も重要です。
牛乳、乳製品、さくらえび、大豆製品に多く含まれますが、カルシウムは最も不足しがちなので、毎日3度の食事で摂取するように心掛けましょう。

【ビタミンD】

腸でカルシウムの吸収を高めます。
鮭などの魚、乳製品などに含まれますが、日光を浴びる事で体内でも作られます。

【ビタミンK】

納豆、春菊、ほうれん草になどに多く含まれます。
骨にあるたんぱく質から骨の形成を促します。

また、加工食品やインスタント食品の取りすぎには注意しましょう。
加工食品には、食品添加物としてリンが多く含まれています。リンはカルシウムの吸収を妨げます。また、塩分、カフェインはカルシウムを尿へ流してしまいます。お子さんの食事の中で、過剰に加工食品を与えたり、塩分やカフェインを与えることには注意しましょう。

記事1:ロコモティブシンドロームとは。定義を知って対策しよう
記事2:ロコモティブシンドロームの原因。運動不足やスポーツのしすぎ
記事3:ロコモティブシンドロームかどうかチェックする方法
記事4:ロコモティブシンドロームの予防方法。運動習慣と食生活が重要
記事5:子どものロコモティブシンドローム。子どものうちから予防対策を