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インタビュー

摂食障害の背景には家族関係や体重への不安がある―摂食障害の患者さんが抱えるもの

摂食障害の背景には家族関係や体重への不安がある―摂食障害の患者さんが抱えるもの
石川 俊男 先生

国立国際医療研究センター国府台病院 心療内科特任部長

石川 俊男 先生

摂食障害には様々な要因が考えられるが、はっきりとした原因はわかっていないことを『摂食障害はなぜ起こるのか。原因になりうるものとは』でお伝えしました。しかし、患者さんが抱える背景には一定の特徴があるといいます。摂食障害の患者さんが抱えているものはどのようなことなのか、国立国際医療センター国府台病院心療内科特任診療部長の石川俊男先生にお話し頂きました。

摂食障害の患者さんを心理学的・社会科学的に診ていくと、ある一定の性質が浮かび上がります。それは、人間関係の持ち方がぜい弱でうまく対人コミュニケーションが取れない点です。その結果として、患者さんたちは人と密接な関係を築くことができません。人に心から信じてもらえないのだと、自信がなくなってしまっています。

さらに掘り下げて考えると、この背景として、親子関係がうまくいっていなかったとも述べられます。親子関係は、人間が成長するにあたり最初に構築する関係、つまり人間関係の基本的な築き方を学ぶ場面です。私が摂食障害の患者さんを診ていて感じることは、お父さんとお母さんの仲が良くないため、両親の緊張状態が慢性的に続いている家庭のお子さんにこの病気が多いという点です。

両親が緊張状態のままでいると、子どもは「自分が傷つかずに育つためにはどうすればいいのか?」と考えます。両親の機嫌を損ねることは、子どもにとってさらに日常生活における緊張を高めることになります。「なんとか両親に優しく、仲良くいてほしい」という思いから、子どもは常に父母の緊張を高めないよう、常に彼らの機嫌をうかがいながら育っていきます。つまり、摂食障害の患者さんは、自分が自然に育っていくというより、他の人の目を気にしながら、他の人の考えに合わせて成長していく形をとるのです。

これは非常にいびつな成長であり、それゆえに自発性が育っていきません。

そのような状態であれば、幼少期は「いい子」として周囲から高く評価され、両親の機嫌を損ねることなく生活していくことができます。

しかし、思春期になると私たちは「自分とは何か」と考えさせられるようになっていきます。そこで彼女たちは、自分のことを問われたとき、「自分」というものを何も持っていないことに気づいてしまいます。常日頃大人の気持ちをおもんばかって生きてきた生活だった故に、自我が育っていないということです。「あなたはいったいどんな人ですか?」と問われたときに答えられず、自分には何もないのだと思って、自信を喪失してしまうというケースが多く見受けられます。

上記のような理由から、摂食障害となる患者さんは、基本的に性格が強迫的・完全癖であることが多いです。どのようなことに対しても、やり始めると徹底的で、達成するためにいかなる努力も惜しみませんし、達成するまでやめようとしません。

そのような要因が背景にあることや、前述したようなきっかけがあって痩せることに快感を見出すと、今度は体重を減らすことに対して徹底的になっていきます。そしてその過程で「痩せたい」から「体重が増えることが恐ろしい」へと考え方が変わってしまいます。

なぜ摂食障害の患者さんは、明らかに痩せすぎの状態に達しても体重が増えることを恐ろしいと感じてしまうのか、その理由はわかっていません。

ただ、推測できる面はいくつかあります。たとえばある人たちは、自分が痩せることで、痩せてきれいになった・かわいくなったなど、他者から称賛される時期があります。それを真正面から受け止めるため、自分が痩せたらみんな喜んでくれる・痩せれば認めてもらえるのだ、と思う気持ちが働きます。もっと他者に喜んでほしい、もっと他者に認めてほしい、という思いからさらにダイエットを頑張ってしまい、気がついたら痩せすぎてしまった、というレベルまで到達する患者さんが多くいらっしゃいます。

その時点で、患者さん自身も多少は「これ以上痩せるのは危ないのではないか」と考えます(摂食障害の症状として、ボディイメージの障害も多く指摘されていますが、実は患者さんは自分が痩せすぎていることは理解しています。つまり、摂食障害でもボディイメージはそこまで障害されていないことが多いのです)。最初は称賛していた周囲も、痩せすぎてしまった彼女たちに対して一定の距離を置くようになってきます。

そうすると今度は「周りがあれほど喜んでくれたうえ、自分はこれだけ苦労して痩せたのに、どうしてわかってくれないのだろう?」という疑問を抱きます。一方で、「体重が少しでも増えると、周囲の期待にこたえられない。そうなると見捨てられるかもしれない」という考えから脱することができません。これは、幼少期に抱えてきた気持ちと類似しています。

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