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インタビュー

社会面からみた摂食障害と石川俊男先生のメッセージ

社会面からみた摂食障害と石川俊男先生のメッセージ
石川 俊男 先生

国立国際医療研究センター国府台病院 心療内科特任部長

石川 俊男 先生

日本で増え続ける摂食障害に対して、国は対応を強化し始めました。具体的に行われた施策には摂食障害治療支援センターの設置があり、これから拡大していくことを目標としています。社会的に今後摂食障害をどう扱っていくのか、ご自身のメッセージを踏まえて、国立国際医療センター国府台病院心療内科特任診療部長の石川俊男先生にお話し頂きました。

中枢性摂食異常調査研究班全国疫学調査によると、「1998年に全国の医療施設(23,401施設)を対象に実施した疫学調査(図1)によると、患者推定数(罹患率)はANが12,500(人口10万対10.0)、BNが6,500(人口10万対5.2)、EDNOSが4,200(人口10万対3.3)でした。」といわれています。

2000年代、患者数は1990年代の10倍にまで増加したと言われています。また、過食症患者が比率として増加しているのも特徴であり、発症年齢の若年化も指摘されています。

これに対し、2014年12月12日、摂食障害治療支援センターの設置を厚生労働省が検討しました。国立精神・神経医療研究センターに摂食障害全国基幹センターが設置されるなど、大規模病院が摂食障害患者を一貫して治療する体制を整えようとしています。

治療支援センターには東北大学、浜松医科大学、九州大学の3施設が立候補し、この3カ所に支援センターが設立されました。これから成熟した形にしていくことを目標としています。

そのほか、民間ベースでは自助グループやサポート団体が多々ありますが、公的レベルではこれが初めての試みとなっています。

また、近年では、マスコミもある程度は摂食障害に対して関心を持っているように見受けられます。健康番組で取り上げたり、摂食障害の特集番組をつくったり、世間的な認識の上でも決して珍しい病気ではなくなってきました。しかし、関心は高まっているものの、本格的にこの病気を解決していこうという動きは社会全体としてはまだ鈍いです。

支援センターの課題としては、自治体と金銭面の関係があります。支援センターを設置するという立候補は自治体ベースで行われ、維持費も国と折半していくのですが、資金が潤沢な自治体が少なく、国との折半であっても負担が難しい状態にあり、なかなか候補が増えていきません。

また、基幹センターである国立精神・神経医療研究センターには入院患者さんがいるわけではなく、情報発信の場になってしまっている点を見ても、まだ発展途上のセンター構想にとどまっているといえます。

とはいえ、国が大々的に摂食障害の問題を取り上げたことは、摂食障害に苦しむ患者さんやそれを治療する医者にとって大きな進歩であるといえます。これからさらに摂食障害に対する理解が進んでいくことを期待できます。

私が常に摂食障害の患者さんとそのご家族に伝えているのは、「熱くならずにあきらめるな」ということです。

この病気は食と密接に関係しているため、どうしても症状のみを診てしまう傾向にあります。「食べる・食べない」でトラブルになることも多いですが、それは結果ばかりを診てしまうためです。

「食べる・食べない」の症状だけを診ていては、どれほど治療者が努力したとしても残念ながら患者さんの心には届きません。かといって治療者が治療することをあきらめたら、患者さんは見捨てられたと思い、今度こそ本当に終わりになってしまいます。

家族の方は特にあきらめないでいただきたいと思っています。家族は最後の砦であり、最後の砦が諦めてしまうと患者さんを治療することは困難を極めます。もともと自分に自信がない、依存性の強い方々がかかる病気です。そのような方に対してあきらめる、つまり見捨てる形になると、今度は患者さんが自分自身を見捨ててしまいます。それは悲しい結果に終わることを意味します。

また、私は家族の方に対してあきらめないでほしいと願うと同時に、患者さんもあきらめないでほしいと願います。

実際、10キロ台にまで落ちてしまうと、生きていることが嫌になる方も多くいます。そのような方は、もう治療をやめてくださいと訴えてきます。しかし、それもなんとか乗り越えて少しずつ体力が回復してくると、不思議と気持ちが前向きになります。ですから、決してあきらめてはいけません。その代わり、熱くならずに冷静に、じっくりと病気に立ち向かい、背景を探って根幹にある傷を治していく気持ちを持つことが大切なのです。

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