日本で増え続ける摂食障害に対して、国は対応を強化し始めました。具体的に行われた施策には摂食障害治療支援センターの設置があり、これから拡大していくことを目標としています。社会的に今後摂食障害をどう扱っていくのか、ご自身のメッセージを踏まえて、いしかわストレスケアクリニック(元・国立国際医療研究センター国府台病院 心療内科特任診療部長)の石川 俊男先生にお話しいただきました。
※2021年2月現在、国立国際医療研究センター 国府台病院を定年退職したのち、いしかわストレスケアクリニックにて診療をしております。入院施設ではありませんので、低体重(35kg以下)の患者さんの診療はお断りしています。
中枢性摂食異常調査研究班全国疫学調査によると、
1998年に全国の医療施設(23,401施設)を対象に実施した疫学調査(図1)によると、患者推定数(罹患率)はANが12,500(人口10万対10.0)、BNが6,500(人口10万対5.2)、EDNOSが4,200(人口10万対3.3)でした。
といわれています。
2000年代、患者数は1990年代の10倍にまで増加したといわれています。また、過食症の患者さんが比率として増加しているのも特徴であり、発症年齢の若年化も指摘されています。
これに対し、2015年には厚生労働省と地域が協力して、摂食障害治療支援センターが設立されました。国立精神・神経医療研究センターに摂食障害全国基幹センターが設置され、地域の治療支援センターには宮城県(東北大学病院医学部 心療内科)、静岡県(浜松医科大学 附属病院 精神科神経科)、福岡県(九州大学病院医学部 心療内科)の3県・施設で設置されました。現在では千葉県(国立国際医療研究センター国府台病院 心療内科)を合わせて4県に治療支援センターができて活発に活動しています。
そのほか、民間ベースでは自助グループやサポート団体が多々ありますが、公的レベルではこれが初めての試みとなっています。
また、近年では、マスコミもある程度は摂食障害に対して関心を持っているように見受けられます。健康番組で取り上げたり、摂食障害の特集番組をつくったり、世間的な認識のうえでも決して珍しい病気ではなくなってきました。しかし、関心は高まっているものの、本格的にこの病気を解決していこうという動きは社会全体としてはまだ鈍いです。
私が常に摂食障害の患者さんとそのご家族に伝えているのは、「熱くならずに諦めるな」ということです。
この病気は食と密接に関係しているため、どうしても症状のみを診てしまう傾向にあります。“食べる・食べない”でトラブルになることも多いですが、それは結果ばかりを診てしまうためです。
“食べる・食べない”の症状だけを診ていては、どれほど治療者が努力したとしても残念ながら患者さんの心には届きません。かといって治療者が治療することを諦めたら、患者さんは見捨てられたと思い、今度こそ本当に終わりになってしまいます。
家族の方は特に諦めないでいただきたいと思っています。家族は最後の砦であり、最後の砦が諦めてしまうと患者さんを治療することは困難を極めます。もともと自分に自信がない、依存性の強い方々がかかる病気です。そのような方に対して諦める、つまり見捨てる形になると、今度は患者さんが自分自身を見捨ててしまいます。それは悲しい結果に終わることを意味します。
また、私は家族の方に対して諦めないでほしいと願うと同時に、患者さんも諦めないでほしいと願います。
実際、10kg台にまで落ちてしまうと、生きていることが嫌になる方も多くいます。そのような方は、もう治療をやめてくださいと訴えてきます。しかし、それもなんとか乗り越えて少しずつ体力が回復してくると、不思議と気持ちが前向きになります。ですから、決して諦めてはいけません。その代わり、熱くならずに冷静にじっくりと病気に立ち向かい、背景を探って根幹にある傷を治していく気持ちを持つことが大切なのです。
いしかわストレスケアクリニック
いしかわストレスケアクリニック
日本心療内科学会 心療内科専門医日本内科学会 認定内科医・内科指導医日本消化器病学会 消化器病専門医日本医師会 認定産業医
東北大学医学部を卒業後、国立精神・神経センター精神保健所心身医学研究部部長、国立国際医療研究センター国府台病院心療内科特任診療部長を経て、2018年にいしかわストレスケアクリニックを開設。日本摂食障害学会の理事長も務め、長く臨床の現場に携わり、これまでに摂食障害(神経性食欲不振症、神経性大食症)患者を2000人以上診療してきた。「熱くならずに、諦めるな」という治療方針のもと、一人ひとりの患者さんに寄り添った治療を続けている。
石川 俊男 先生の所属医療機関
関連の医療相談が26件あります
摂食障害は完治しますか。
過食症になって4年ほど経ちました 2年間くらいは過食嘔吐もしてました。 1ヶ月くらいは順調に生活できていたのですが、爆発してしまいました。7月からまた過食の症状が現れてきました。 いつも調子の良い時と悪い時の差が激しいです。 誰に話していいかわからないし、 友達に話しても食べちゃダメだよって言われて 軽く考えられてしまいます。 お医者さんに通うとお金がかかるので 通いたくありません。どうしたらいいですか。 摂食障害を完治するにはどうしたらいいですか。 最近は便秘薬を大量に飲んでしまいます。 1日で4000-5000えん使うのが当たり前になっています。 過食してる時の記憶はなくて、我に戻ったときに あ、またやちゃったなあって思ってしまいます。
食べ吐きがひどく いっそ 現実逃避したい。
度々のご相談 お許しくださると幸甚です。 今まで ダンサーだったので、体重コントロールしてましたが 体力が資本と言うことで きちんと食べていましたが、食べ吐きを繰り返しています。 また あまり、人のせいにはしたくないのですが、主人が 義理の両親の介護を全てわたしに任せて 趣味のバンド活動に勤しんでいて、何かと言うと お前に任す! と 介護放棄しています。いっそ ハワイにでも逃げて 現実逃避したいと思い詰めています。なんの 解決にはならないと思いますが。 あまり、精神的なことは、考えたくないのですし、器質的なものであるかもしれないのですが それを含めて お忙しいかと存じますが 御考査お願い申し上げます。 追伸 手首切ったり 問題行動はしていません。
拒食症について
高2女子です。 統合失調症、適応障害、不安障害で精神科に通院しています。 ご飯が食べれなくなりました。 食べるのが怖いです。 身長157、体重43です。 私は拒食症ですか?
過食嘔吐してます
過食嘔吐してます。生理は2年くらいきてません。血液検査でコレステロールが高いのと肝機能低下しているとわかりました。159センチ、33キロです。体重を増やしたいのですが、高コレステロールだから何を食べたらいいかわからず、余計に食べるのが怖いです。
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