インタビュー

副鼻腔炎の手術について

副鼻腔炎の手術について
西池 季隆 先生

大阪労災病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 部長、大阪大学 医学部 臨床教授、徳島大学 非常勤講師

西池 季隆 先生

この記事の最終更新は2016年02月08日です。

内視鏡下副鼻腔手術は低侵襲(体への影響を減らした治療法)であることが最大の特徴です。副鼻腔は複雑な形状をしているため、手術には技術を要しますが、手法や機器の発達でより安全に、短時間に手術ができるようになってきました。ここでは大阪労災病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科部長の西池季隆先生に内視鏡を使った副鼻腔炎の手術方法についてお伺いしました。

薬を使っても効果がない、鼻茸ができて空気の通り道がふさがっているといった場合は、外科治療となる内視鏡下副鼻腔手術を行います。かつて副鼻腔炎の手術といえば、上顎洞炎の場合には上唇の裏側を切開する方法を施し、また前頭洞炎の場合には顔面を切開して手術せざるを得ませんでした。

このため手術そのものをあきらめるか、手術をしても1カ月ほどは顔が腫れ上がってしまう状態や比較的多くの出血を避けられず、患者さんに苦痛を強いていました。しかし内視鏡を使った手術は、器具を鼻の孔から入れて手術するので低侵襲である点が今までの術式と比べ、最大の改善点でありメリットです。

手術の目的は鼻腔と副鼻腔の通りを良くすることです。鼻腔を通じて内視鏡を入れ、鼻茸や副鼻腔の隔壁を除去します。粘膜はできるだけ温存し、骨面が出てしまわないようにすることにより不要な変形を防ぎ、できるだけ早く、きれいに治るように工夫しています。

ただ、副鼻腔は複雑な形をしているだけでなく、目や脳に近い上に、出血すると人体に危険が及んでしまう血管も近くに走っています。ときには頭蓋底(頭蓋骨の底の部分)を損傷し、そこから脳の髄液が漏れる「髄液漏」などを起こすおそれもあります。こうした危険を回避するために術前にCTを撮影し、副鼻腔の構造を3Dで再構成します。こうすることで、具体的な手術方法あらかじめイメージすることができ、最適な副鼻腔の通り道を確保できるように手術を行っています。

たとえば前頭洞炎の場合は、前頭洞の入り口がとくに狭く、眼球・頭蓋底・視神経に近いため、治療が難しい手術を強いられます。特に難しい前頭洞の病気に対しては、前頭洞単洞化手術(Modified endoscopic Lothrop procedureあるいはDraf type 3)と呼ばれる手術を行っています。前頭洞の左右の前頭洞の底を打ち抜いて、一つの広い空間にする手術です。

内視鏡手術は近年ナビゲーション下でのガイド手術も進歩しています。これは、手術中の器具の位置を、事前に撮影した精密なCT画像上に表示させる方法です。リアルタイムに副鼻腔内での手術器具の正確な位置を知ることができるため、より安全に短時間に治療を行うことができます。

 

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