インタビュー

副鼻腔炎の治療―まずは内科的治療を行う

副鼻腔炎の治療―まずは内科的治療を行う
澤津橋 基広 先生

九州大学耳鼻咽喉・頭頸部外科 講師

澤津橋 基広 先生

副鼻腔炎の治療にあたっては、病態のタイプや重症度に応じた治療法を選択することが重要となります。まずは内科的治療を行い、改善されない場合には外科的な治療が検討されることになります。九州大学病院耳鼻咽喉・頭頸部外科講師の澤津橋基広先生に副鼻腔炎の治療法についてお話を伺いました。

副鼻腔炎の治療について

副鼻腔炎のタイプによって治療法も異なります

副鼻腔とは、四つの骨(前頭洞、篩骨洞、上顎洞、蝶形骨洞)に囲まれた鼻の奥の空洞のことで、ウイルスや細菌の感染などによって起こる炎症を副鼻腔炎といいます。副鼻腔炎といっても、急性の場合もあれば慢性化することもあり、最近増加傾向にある従来のものとは違う好酸球性の副鼻腔炎などのタイプに分けられます。

副鼻腔炎の治療は、保存的治療と外科的治療がありますが、まずは保存治療として薬物療法を優先に行い、それで効果がみられない場合に手術などの外科的治療を検討することになります。治療法については、急性なのか慢性なのか、あるいは好酸球性なのか、ということに加えて、それぞれの重症度(軽症、中等症、重症など)によって選択します。

まず、急性副鼻腔炎で軽症の場合ですが、最初の5日間は抗菌薬の投与をせずに経過観察を行います。5日後に改善がみられれば、そのまま経過観察となりますが、改善がみられない場合には抗菌薬を投与します。使用する抗菌薬はAMPC(アモキシリン : ※保険適応外)またはABPC(アンピシリン)を常用量、あるいはCDTR(セフジトレンピボキシル)、CFPN(セフカペンピボキシル)、CFTM(セフテラムピボキシル)常用量を5日間投与します。これで改善すれば経過観察となります。しかし改善がみられない場合には、高用量のAMPCまたはABPC、あるいは高用量のCDTR、CFPN、CFTM、あるいはレスピラトリーキノロン常用量のいずれかを5日間投与するか、AZM(アジスロマイシン)2gを単回投与します。

次に急性副鼻腔炎で中等症の場合においては、高用量のAMPCまたはABPC、あるいは常用量のCDTR、CFPN、CFTMを5日間投与します。5日後に改善がみられれば、さらに5日間まで投与を継続します。

一方、5日後に改善がみられない場合には、① AMPCまたはABPCを高用量②CDTR、CFPN、CFTM高用量③レスピラトリーキノロン常用量のいずれかを5日間投与するか、あるいはAZM2g単回を投与します。これで改善すれば、(AZMを除き)さらに5日間まで投与します。一方、5日後に改善がみられない場合、①の薬剤の変更をするか、CTRX(セフトリアキソン)1日1回を点滴で3日間と上顎洞穿刺洗浄を考慮します。

さらに急性副鼻腔炎で重症の場合、 ① AMPCまたはABPCを高用量②CDTR、CFPN、CFTM高用量③レスピラトリーキノロン常用量のいずれかを5日間投与するか、 あるいはAZM2g単回を投与します。5日後に改善がみられれば (AZMを除き)さらに5日間まで投与します。5日後に改善がなければ①の薬剤を変更するか、CTRX1日1回を点滴で3日間と上顎洞穿刺洗浄を考慮します。

ただし、治療においては、鼻処置を優先し、合併症が生じた場合には入院治療を行います。また、最近は抗菌薬に抵抗性のある細菌が増加傾向にあるため、必要外の抗菌薬の使用は控えるなど、抗菌薬を使用するにあたっては注意も必要となります。

一方、慢性の副鼻腔炎に対する治療としては、主にマクロライド療法を3か月程度行いますが、改善がみられない場合には内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)が検討されます

細菌性と好酸球性では薬剤の選択も異なる

従来の細菌性の副鼻腔炎の治療においては抗菌薬が中心となりますが、好酸球性副鼻腔炎の場合には過敏性を抑える必要があるため、ステロイド剤が中心となります

ステロイド剤を点鼻したり、ひどい場合には内服したりします。また最近では、昔ながらの鼻洗浄が見直されつつあります。大気中の何かの物質を吸い込んで炎症を起こすわけですから、それらの物質を排除するというのは理にかなっているのです。副鼻腔の周辺をきれいに洗浄したあと、点鼻薬やスプレー剤によるステロイドを投与して、過敏症の再発を防ぎます。