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きゅうせいふくびくうえん

急性副鼻腔炎

概要

急性鼻副鼻腔炎は、風邪などのウィルス感染をきっかけに、鼻(鼻腔(びくう))やその奥にある“副鼻腔”という空洞に細菌が感染して、急性の炎症が起こる病気です。子どもから大人まで幅広い年齢の方がかかり、鼻水や鼻づまり、顔面の圧迫感などの症状が生じます。発症から4週未満の場合に急性鼻副鼻腔炎と呼ばれており、12週以上続く慢性鼻副鼻腔炎(いわゆる(ちくのうしょう))とは区別されています。

副鼻腔は、左右対称に上顎洞(じょうがくどう)前頭洞(ぜんとうどう)篩骨洞(しこつどう)蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)と呼ばれる4対の空洞に分かれており、本来は自浄作用によって清潔に保たれています。しかし、ウィルス感染や細菌感染が起こると、鼻や副鼻腔の粘膜に炎症や腫れが生じて自浄作用がうまくはたらかなくなり、鼻水や膿が排泄されずに副鼻腔内に溜まりやすくなります。

急性鼻副鼻腔炎は、特に子どもに発症しやすいといわれています。子どもは免疫機能が十分に発達しておらず、風邪などのウィルスや細菌に感染しやすい傾向があります。また、子どもは鼻周辺の空間が狭いことや、“アデノイド”と呼ばれる、鼻の奥のリンパ組織が大きくなりやすく、鼻の通りが悪くなりやすいことも発症や長引く原因になります。そのほか、保育施設など集団で過ごす場所に通う子どもや高齢者、糖尿病慢性腎臓病などの持病がある方も重症化しやすい、治りにくいといった特徴があるため注意が必要です。

適切な治療を行えば多くの場合は速やかに改善しますが、放置すると慢性化したり、まれに目や脳に炎症が及び、重篤な合併症を引き起こしたりすることもあります。そのため、早期に適切な診断と治療を受けることが大切です。気になる症状が続く場合は、早めに耳鼻咽喉科(じびいんこうか)や小児科を受診しましょう。

原因

急性鼻副鼻腔炎の発症機序は十分に解明されていませんが、主な原因は、ウィルス感染と、それに続く細菌の二次感染です。

ウィルス感染

通常は、副鼻腔の粘膜表面にある線毛が動くことで、細菌や汚れなどの異物を粘液とともに体外へ運び出しています。しかし、風邪やインフルエンザなどのウィルス感染によって鼻の粘膜に炎症が生じると、鼻と副鼻腔をつなぐ小さな穴(自然孔)が詰まりやすくなり、粘液の排出がうまくできなくなって症状が現れます。

細菌感染

ウィルス感染が始まってから数日経って改善しない、もしくは症状が悪化する場合、細菌性の急性鼻副鼻腔炎へと進行していることがあります。ウィルス感染による粘膜障害により細菌が二次感染を起こします。原因となる主な細菌には、肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリスなどがあります。これらの細菌によって、副鼻腔内にが溜まることで色のついた鼻水が出たり、発熱や顔の痛みが現れたりします。

症状

急性鼻副鼻腔炎では、鼻水や鼻づまり、顔面の圧迫感、発熱などの症状が生じます。一般的に、ウィルス感染による症状はほとんど5日程度で自然に治まります。発症から5日以上経って症状持続もしくは一度軽快してから悪化する場合は、細菌感染による急性鼻副鼻腔炎の可能性がありますが、ウィルス感染と細菌感染の判別は困難なことが多いです。

主な症状

最初はサラサラとした透明な鼻水から始まります。数日を経て細菌の二次感染が起きると着色した黄色や緑色の粘り気のある鼻水へと変化するとともに、副鼻腔内にが溜まることにより副鼻腔のどこの部位に膿が溜まるかによって症状が生じる部位が変化します。頬、鼻の付け根、おでこ、目の奥といった顔面の圧迫感や痛み、38度台の発熱が認められます。また、鼻水がのどの奥へ流れ落ちる“後鼻漏(こうびろう)”と呼ばれる状態になり、不快感や夜間の咳の原因となることも少なくありません。

受診の目安

以下のような場合は急性鼻副鼻腔炎の可能性があるため、早めに医療機関を受診しましょう。

  • 10日以上鼻水や鼻づまりなどの症状が続く場合
  • 発熱(38度程度)が4日以上続く場合
  • おでこや目の奥の痛みが悪化した場合
  • 一度よくなってから再び悪化した場合(症状が一度落ち着いた後、数日して再び発熱した場合など)

子どもの場合は症状を正確に伝えられないことが多く、鼻水がのどに流れ込むことによる湿った咳や、原因の分からない不機嫌が続くことも、急性鼻副鼻腔炎の症状のサインとして挙げられます。

合併症

まれですが、子どもや免疫力が低下している方では、炎症が副鼻腔を越えて周囲の目や脳に広がり、視力障害や髄膜炎などの重篤な合併症を引き起こすことがあります。以下のような症状がみられる場合は、早急な治療が必要です。

目の合併症(眼窩内合併症(がんかないがっぺいしょう))の症状

  • まぶたの腫れ
  • 眼球突出(目が飛び出した状態)
  • 眼球運動障害(眼球が動かしにくい状態)
  • 複視(ものが二重に見える状態)
  • 視力低下

など

脳の合併症(頭蓋内合併症)の症状

  • 高熱
  • 激しい頭痛
  • 体の怠さ
  • 吐き気や嘔吐
  • 意識障害(意識がぼんやりする状態)

など

検査・診断

急性鼻副鼻腔炎の診断は、問診によって症状の経過を確認するとともに、鼻の中の状態を詳しく調べることによって行われます。

問診と視診

まず症状がいつから始まったか、どのような症状が出ているかなどを詳しく確認します。続いて、前鼻鏡(ぜんびきょう)という器具を使って、鼻の中の粘膜の色・腫れや鼻水・鼻づまりの状態などを直接目で確認します。

内視鏡検査

前鼻鏡では鼻の奥やのどの様子が十分観察できない場合、細いカメラ(内視鏡)で観察し、ポリープ(鼻茸(はなたけ))や鼻水・後鼻漏などの状態を確認します。

画像検査

治りにくい場合や合併症が疑われる場合などに、画像検査が行われることがあります。以前はX線検査(レントゲン)がよく行われていましたが、部位によっては見落としが起こりやすいことなどから、近年ではより詳しい情報が得られるCT検査が主に行われています。ただし、子どもへのCT検査は放射線の影響を考慮し、慎重に判断されたうえで行われます。

細菌検査

抗菌薬による治療が必要な場合、鼻水を採取して原因菌を特定し、どのような薬が有効か(薬剤感受性)を調べることがあります。

重症度の判定

適切な治療法を選ぶために、症状と鼻の中の様子を総合して、軽症、中等症、重症のいずれかを判定します。大人の場合は鼻水、後鼻漏、顔やおでこの痛み・圧迫感、子どもの場合は顔やおでこの痛み・圧迫感の代わりに、不機嫌や湿った咳の程度を点数化し、その合計点で重症度を分類します。

治療

急性鼻副鼻腔炎の治療は、重症度に応じて段階的に行われます。中等症以上では抗菌薬による治療がすぐに行われますが、軽症の場合は抗菌薬を使用せず、まずは対症療法を行って5日間様子をみます。

抗菌薬を使用しても症状が改善しない場合や、合併症の兆候がみられる重症例などでは、内視鏡を用いた手術が検討されることもあります。また、症状を改善させるために、耳鼻咽喉科では局所処置が行われます。

薬物療法

細菌の増殖を抑えるため、主に抗菌薬が処方されます。ペニシリン系抗菌薬が第一選択です。ペニシリン系抗菌薬が効きにくい場合は、薬の量を増やしたり、ほかの抗菌薬(レスピラトリーキノロン系抗菌薬など)に変更したりします。

治療期間の目安

急性鼻副鼻腔炎で抗菌薬を服用する場合、一般的にはまず5日分が処方されます。改善がみられない場合は薬剤の感受性を考慮して、薬の量を増やしたりほかの抗菌薬に変更したりして、さらに5日分処方されます。途中で症状が少しよくなったからといって、自己判断で抗菌薬を飲むのをやめてしまうと、慢性化したり、抗菌薬が効きにくい“薬剤耐性菌”を生み出してしまったりする原因になります。近年は、特に薬剤耐性菌の増加が問題となっているため、医師の指示通りにしっかりと最後まで薬を飲み切ることが大切です。

局所処置

鼻水を吸引したり、鼻や上顎洞を洗浄してを排出させたりします。また、自然孔を広げて鼻の通りを改善した後に、炎症を抑える薬液(主にセフメノキシム塩酸塩と呼ばれる抗菌薬)を霧状にして病変部に届けるネブライザー療法を行うこともあります。

合併症に対する治療

眼窩内合併症では、比較的軽症の場合は原因菌に応じて抗菌薬の静脈内投与が行われます。重症の場合は、内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)と呼ばれる内視鏡を使った手術、あるいは切開による手術によって膿を出します。なお、視力障害がみられる場合は、眼科医と連携して治療が進められます。

頭蓋内合併症を発症した場合は、病巣を取り除くため、早急に内視鏡下鼻副鼻腔手術が行われ、脳膿瘍まで移行した場合は開頭手術が行われます。

予防

急性鼻副鼻腔炎を予防し、慢性化を防ぐためには、日常的な予防と適切な治療が重要です。

日常生活での発症予防

急性鼻副鼻腔炎の引き金となる風邪を防ぐために、手洗いやうがい、マスクの着用、鼻の加湿などを心がけましょう。風邪をひいたときは無理をせず、症状が長引いたり悪化したりしないように安静や水分補給、こまめな鼻かみ、鼻うがいなどの適切なケアを行うことが、鼻や副鼻腔への炎症の広がりを防ぐことにつながります。また、重症化予防のため、子どもや高齢者では肺炎球菌ワクチンなどの予防接種が推奨されています。

重症化の予防(ご家庭での対症療法)

抗菌薬を用いた治療とともに、生理食塩水・市販の洗浄液のいずれかを使った鼻洗浄(鼻うがい)、鼻かみ、部屋の加湿などを行うことが推奨されています。特に子どもでは、鼻うがいが症状の改善や合併症リスクの低減にもつながるといわれています。

慢性鼻副鼻腔炎の予防

抗菌薬での治療中、自己判断で服用を中断すると、治りきらずに慢性副鼻腔炎へ移行するリスクが高まります。処方された薬は最後まで飲み切り、完治するまで医師の指示に従って治療を継続しましょう。

最終更新日:
2026年08月17日
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2026/08/17
更新しました
2017/04/25
掲載しました。
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