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インタビュー

トランジショナルケア外来の普及を目指して

トランジショナルケア外来の普及を目指して
山村 健一郎 先生

九州大学 小児科 診療講師 医局長 /ハートセンター成人先天性心疾患外来

山村 健一郎 先生

小児慢性疾患を持つ患者さんはさまざまな健康上の悩みを抱えながら生活している方も少なくありません。健康管理を自ら意識をもって行うには、小児の頃からの教育が大切です。九州大学病院小児科医局長の山村健一郎先生にトランジショナルケア外来の概念についてお話をうかがいました。

トランジショナルケア、つまり移行期医療は欧米で先行して発展してきました。海外では1980年代から行われていますが、日本はそれから随分と遅れています。日本小児科学会が「小児期発症疾患を有する患者の移行期医療に関する提言」を出したのは2014年のことでした。

移行期医療の中でも先行して進んでいるのが心臓疾患です。その背景としてあるのは、100人にひとりが先天性の心臓病を持って生まれるということにあります。つまり、患者数が圧倒的に多いということです。実際私も、2009年に開設した成人先天性心疾患外来の診療の中で、トランジショナルケアの必要性に改めて気づきました。先天性心疾患に追随する形で、腎臓疾患や内分泌疾患といった他の分野にも広がりつつあるというのが世界的な流れです。

欧米におけるトランジショナルケア外来の役割というのは、さまざまな報告などから、教育を中心に行われていることがわかります。セルフケアが正しくできるように18歳になる前の15歳とか12歳といった年齢から教育を行っているのです。

先天性疾患のお子さんというのは、どうしても過保護に育ってしまうので、一般的に同世代のお子さんと比べると自律していない傾向が多くみられます。そのため、「自分の健康は自分で管理する」という意識を持ってもらうためには教育が必要だという考えのもとに行われているのがトランジショナルケアなのです。欧米では医師ではなく、主に看護師が指導しているようです。

基礎疾患や持病を持っている患者さんが、自分の健康を自分で管理できるようになることが大切なのです。トランジショナルケアというと、「ただ病院を紹介して終わり」と思われる方もいるかもしれませんが、病院を移るだけならトランスファーです。病院を移籍するだけなら簡単なことですが、健康管理という意味においては不十分なのです。トランジションには、患者さん本人が自分で健康管理できるように教育をするという意味合いが含まれているのです。

トランジショナルケアにおいては、患者さんを送り出す側と受け入れる側が必要で、一般的には、送り出す側が教育を行うのが理想です。その場合、18歳になってから教育したのでは遅いのです。福岡市内でいえば福岡市立こども病院が送り出す側の施設になることが多いのですが、こども病院では、子どもたちのために教室を開いていて、看護師さんや薬剤師さんがマンツーマンで教育をしてくれているのです。トランジションに関するパンフレットも作成されているようです。

先ほど、送り出す側が教育を行うのが理想という話をしましたが、九州大学病院の特徴のひとつは、受け入れる側であると同時に、送り出す側でもあるということです。院内にはさまざまな科が揃っていますので、病院内でトランジションする場合も少なくありません。院内におけるトランジショナルケア外来への認識を高めると同時に、送り出す側と受け入れる側双方の役割を担える体制づくりを強化していきたいと思っています。

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    山村 健一郎 先生

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