【ニュース(スポンサード)】

クリップする
URLを入力して
記事をクリップしましょう
指定された URL のページが見つかりません
S664x430 b73fdb75 036f 4913 b12e e1a89352b766
日本集中治療医学会医師と学生による座談会‐第45回日本集中治療医学会学...
2018年2月21〜23日、千葉県千葉市に位置する幕張メッセ他にて第45回日本集中治療医学会学術集会が催されました。多くのプログラムが行われるなか、当学会の広報委員会が企画した織田会長と学生によ...
クリップに失敗しました
クリップ とは
記事にコメントをつけて保存することが出来ます。検索機能であとで検索しやすいキーワードをつけたり、読み返し用のメモを入れておくと便利です。
また、記事を読んで疑問に思ったこと、わからないことなどをコメントに書き、「医療チームのコメントを許可する」を選んで頂いた場合は、医師や看護師が解説をメールにてお送りする場合があります。
※ クリップ内容は外部に公開されません

日本集中治療医学会医師と学生による座談会‐第45回日本集中治療医学会学術集会について

公開日 2018 年 03 月 30 日 | 更新日 2018 年 08 月 10 日

日本集中治療医学会医師と学生による座談会‐第45回日本集中治療医学会学術集会について
織田 成人 先生

千葉大学大学院医学研究院救急集中治療医学 教授 千葉大学医学部附属病院救急科・集中治療部 部長

織田 成人 先生

2018年2月21〜23日、千葉県千葉市に位置する幕張メッセ他にて第45回日本集中治療医学会学術集会が催されました。多くのプログラムが行われるなか、当学会の広報委員会が企画した織田会長と学生による座談会も行われました。

今回は学術集会に参加した千葉大学医学部5年生の川西朗弥さん、岡村理佐さんをお招きし、織田成人会長をはじめとする広報委員会の先輩医師との座談会をレポートいたします。

座談会参加者

第45回日本集中治療医学会学術集会会長

織田成人先生(千葉大学大学院医学研究院 救急集中治療医学 教授)

 

日本集中治療医学会広報委員会

松田直之先生(名古屋大学大学院医学系研究科 救急・集中治療医学分野 教授) 

讃井將満先生(自治医科大学附属さいたま医療センター 総合医学第2講座 主任教授)

髙木俊介先生(横浜市立大学医学部 麻酔科学教室 集中治療部 講師)

 

千葉大学医学部

川西朗弥さん(千葉大学医学部5年生)

岡村理佐さん(千葉大学医学部5年生)

初めての学会発表を経験して

発表のきっかけ

発表きっかけ

髙木先生:今回、学会発表に至ったきっかけを教えてください。

岡村さん:千葉大学医学部附属病院における院内実習で救急科・集中治療部を回った際、先生から「発表してみないか」とお声がけいただき、今回発表することになりました。発表の準備は先生と一緒に行ってきたのですが、発表に向けさまざまな勉強をしていくうちに自分の知識不足を感じ、もっと勉強したいなと感じました。また、集中治療は他の診療科と比較しても呼吸、循環、感染など総合的に患者さんをみる力が必要なのだと痛感しました。

初めての症例報告を経験して

髙木先生:どのような発表テーマだったのでしょうか。

岡村さん:今回は症例報告で「V‐V ECMOを用いて救命したインフルエンザA型H1N1肺炎の一例」という口演に参加しました。インフルエンザをきっかけに肺炎になってしまった患者さんにV‐V ECMO*という補助循環装置を使用し、30日程度で回復した症例を報告しました。この患者さんは現在無事に退院され、リハビリしながらお仕事への復帰を目指しています。

髙木先生:実際に発表してみてどのような感想を持ちましたか。

岡村さん:学会のような大規模な場での発表は初めてなので、非常に緊張しました。しかし、発表したことによって集中治療に対する見方が変わったと実感しています。集中治療には臨床工学技士さんや理学療法士さんなど医師以外の職種の方との協力が非常に大切だということを、身をもって実感しました。発表の経験は準備も含めて非常に勉強になるので、機会があればぜひまた挑戦したいと思います。

髙木先生:確かに日本集中治療医学会は他の学会と比較しても多職種であることが伺えます。本学会の発表も医師だけでなく、栄養士さんや理学療法士さん、臨床工学技士さんなどの発表もあり、非常に勉強になりますね。

川西さんは、岡村さんの発表をご覧になっていかがでしたか。

川西さん:岡村さんが非常に立派に発表されていて感動しました。自分はそういう機会を逃してしまい悔しい思いもあるので、今後ぜひ発表してみたいと思います。

髙木先生:最近は学生が学会で発表する機会も徐々に増えてきていて喜ばしいと思います。

V-V ECMO……人工肺やポンプを用いた体外循環回路による呼吸・循環補助療法

学術面の発展のために

松田先生:近年は集中治療領域の研究が雑誌にも掲載されるようになり、学術的にさらなる発展が期待されていると思います。お二人が在籍されている千葉大学医学部ではどのような取り組みが行われていますか?

岡村さん:今回症例報告の発表をするにおいて、考察の際に文献を自分で調べたり、先生からおすすめの論文を教えていただいたりしました。これらを読んだり、実際に学会で講演を聴いたりすることで研究に強い関心を持ちました。

また、千葉大学では1〜3年の間スカラシップとして基礎研究に携われる機会があり、その研究の一環として学会で発表を行っている後輩もいます。今思えばそのような経験もしておけばよかったなと感じます。

川西さん:私も1〜3年の頃にもっとさまざまな経験をしておけばよかったと感じています。1〜3年の頃に座って授業を聞いている間は「よくわからない」と感じたことが、5年生で実習に出てはじめて「こういうことか!」と理解できることもあります。また、一方で実習に出てはじめて勉強不足を感じることも多々あります。

松田先生:現場主義は非常に大切です。よい臨床家を目指すためには現場の問題に対してタイムリーに掘り下げていく姿勢が重要です。実際に患者さんをみていて、「この患者さんを救いたい、助けたい」と思ったときに瞬発力が出ることもあります。「これを覚えなさい」という指示で動くのではなく、自分で考えて動ける思考の余裕を大切とすれば自分で解決する力が徐々に身についていくでしょう。

髙木先生:日々臨床を行っているとさまざまな疑問が生じます。それを解決するために研究の筋道を立てていこうとすると、まだまだわからないことがたくさんあるということに気付きます。特に生理学などは臨床の現場に出て大切さを再度実感する分野ではないでしょうか。私自身も必要な生理学の知識を再度勉強しながら日々の臨床・研究にあたっています。

学術集会に参加して

学術集会に参加して

新しい技術との出会い

髙木先生:今回学術集会に参加して興味を持った演題やテーマはありましたか?

川西さん:学術集会初日21日に行われていた「Newer techniques of hemodynamic monitoring」の教育セミナーが興味深かったです。オーストラリアのRinaldo Bellomo先生の演題で、指先の血管の圧力から非侵襲的に血圧を測る方法についてのお話でした。近年は、より非侵襲的に痛みなく治療する風潮があるのだと感じましたし、工学的な話は非常に興味深いです。

讃井先生:オペ室などでこの方法を利用することは合併症の予防にもつながります。日本では2015年あたりに導入されましたが、普及にはまだまだ時間がかかりそうです。いずれは今の血圧測定方法と取って代わられるかもしれません。

髙木先生:集中治療医学分野は工学的な発表が多いことも魅力の1つですね。

岡村さん:私は自分が発表した補助循環について、教育講演など他の先生の発表を聴講しました。なかでも臨床工学技士さんの発表はまだまだ自分の知らないことが多く、勉強したいなと感じました。

働き方改革への展望

川西さん:医療的な内容とは少し離れますが、看護師さん向けの「モチベーションと教育」に関するセミナーも大変興味深かったです。現場での上司と部下がどのようにコミュニケーションを取ればよいかなど、目線は看護師さん向けでしたが指導医と学生にも結びつくお話だと感じました。

岡村さん:私もICUで働くスタッフのストレス管理や多職種の連携についてのポスター発表が印象的でした。

髙木先生:集中治療の現場は多職種なので、さまざまな立場の方のモチベーションについて考慮しなければなりません。本学術集会でもさまざまなセッションが行われていました。私が特に印象に残ったのは学術集会初日21日に行われた「一歩進んだワーク・ライフ・バランスを考える」というシンポジウムです。「研修医は患者と接する時間が診療能力の成長に重要であるため、ライフとワークのバランスを切り分けるのは難しい」という意見が出たり、医師の働き方に対する考え方について聴衆を巻き込んで活発に議論が展開されていました。どの演者もバランスを取りながら休みを取れる時には取らせるべきという点では意見は一致していたと思います。 

讃井先生:研修医にとって多くの患者さんをみた経験は糧になるため、研修医のワークライフバランスに関する発言は一理あるとは思います。しかし、何事もバランスが必要ではないでしょうか。

以前アメリカでも「80hours rule」といって、研修医が週に80時間以上働いてはいけないという取り決めがなされました。しかし、この取り決めの結果、研修医の休みが確保された一方でフェローや指導医の休みがなくなってしまうという問題が生じたようです。

髙木先生:私自身は頭のリフレッシュのためライフが必要と思っていますので、研修医にもバランスを取りながらライフを確保して欲しいと思います。また、このシンポジウムではワークライフバランスについてYahoo!の人事部の方を招いて一般企業の方の意見を伺っていたのも印象的でした。

讃井先生:そのような取り組みは面白いですね。医療業界には一般企業に学ぶべきことがまだまだたくさんあると実感しています。

学術集会に参加した印象

学術集会に参加した印象

織田先生:実際に日本集中治療医学会の学術集会に参加してみて、雰囲気はどのように感じましたか?

岡村さん:まず多職種で賑やかな印象を受けました。これは多職種連携の必要な集中治療分野ならではの印象だと思います。医師だけでない分、雰囲気が違うと思います。次に、議論が活発であることに驚きました。集中治療のイメージとして救急科・麻酔科の先生方は忙しいので、バタバタしたせわしない学術集会のイメージを抱いていました。しかし、実際は議論が活発で和気あいあいとしていたので非常に明るい印象を持ちました。

川西さん:多職種であることや、企業ブースがあることから、学生の私たちでも参加しやすいと感じました。さまざまな講演を聞くことで自分の知らない知識を学ぶことができますし、一方で自分がどんな勉強が足りないのかという課題にも気づくことができます。私はもともと集中治療にそこまで強い関心があったわけではありませんでしたが、実際に講演を聞いて大変興味を持ちました。学生であっても、学術集会に参加してさまざまな講演を聞いておくべきだと思いました。

織田先生:私も学術集会は学生教育にとって大切な機会だと思っています。とてもいい刺激になるでしょう。

川西さん:2日目の22日早朝に行われた「Fun Run/Fun Walk」という企画も面白いと思いました。これはランニングが趣味である織田先生の発案で、メッセ近くの海沿いを走るという企画です。

岡村さん:完走した方にはTシャツが配られたそうですね。学術的な面だけでなく先生方との交流が楽しめるのは、ある意味ワークライフバランスがしっかりしているともいえるのではないでしょうか。

髙木先生:私からも織田先生に質問したいです。今回会長として学術集会を主催しようと思ったきっかけを教えてください。

織田先生:私は元千葉大学大学院医学研究院教授の平澤博之先生のもとで学ぶなかで、学会の実務を担当させていただいたこともあり、学会とのかかわりが身近でした。そのため、「いつかは自分の思ったような学術集会を開き、みなさんとディスカッションしたい」というような憧れを徐々に抱くようになっていました。

髙木先生:実際学術集会を開催してみて、思い描いていたような会は実現しましたか?

織田先生:はい、今のところは大変満足しています。もちろんこの成功はご協力いただいたみなさんの力があってのことだと思っています。

学術集会とは何か?のイメージが湧いた

学会とは何か

川西さん:今までの先入観から、学術集会は自分の研究を自慢しに行くところだと思っていました。しかし、実際に参加してみると、それぞれの先生方が自身の研究を持ち寄ってよりよい方向につなげていこうとする場所だということを体感しました。学生のうちから学術集会にもっと気軽に参加することで視野が広がるのではないかと思います。

髙木先生:たしかに学術集会では思い通りに行かなかった研究の発表は出しづらいため、そういう意味ではバイアスがかかっているともいえます。

学術集会はどうあるべきか?

学術集会はどうあるべきか

意見を交わし、「一歩先」の医療を考える場所

岡村さん:医療の世界では明確な判断基準がなく、判断に迷うことがしばしばあります。今回私が発表した補助循環装置V‐V ECMOに関しても治療開始基準に明確な決まりがありません。今回の学術集会に参加して、それに伴う治療成績なども施設によってまちまちであるということがわかりました。症例も人それぞれなので一元化は難しいのですが、セミナーの開催などで施設間のバラつきを統一できたらよいと思いました。

髙木先生:日本にはECMO治療をセンター化して行っている医療機関がほとんどないので、どの施設でも年間数十例という少ない症例数に対して、議論を重ねながら治療している印象です。各施設がデータを持ち寄って1つの解が出せるとよいですね。

松田先生:学術集会には、ディスカッションを重ねることで、このような施設間のバラつきを統一したり、個々人の考えかたや多様性をわかちあったりするという役割もあると思います。さまざまな意見に刺激を受けることで、本学術集会のテーマでもある「一歩先へ」進むことができます。学術集会で行われる「シンポジウム」や「パネルディスカッション」では、参加者の持っている知識や多様性を認め、統一性を築いていくことが期待されます。

学術集会は、そこに集まる人たちによって作られます。学会に所属することによって、学術集会に参加することによって、自分の所属する病院ではみえないことがみえてくるようになるでしょう。

学生が考える「一歩先へ」進むための学会の活用方法

川西さん:学会にはその道のプロフェッショナルといえる先生方が集まるということもあり、非常に勉強になりました。私が強く感じたのは、その分野を専門にしている医師はもちろん、専門にしていない医師でも異なる分野の学会にあえて参加することで、視野が広がり一歩先に進むことができるのではないかということです。私自身、今回集中治療医学会の学術集会に参加して視野が広がりましたし、今まで興味のなかったことにも強く関心を持てるようになりました。

また、今後は学生が主体のパネルディスカッションなどが学術集会の演題としてあれば、学生としても「一歩先へ」進むための学びをより得られるのではないかと思いました。

岡村さん:学術集会で学べることは、医学部の授業・実習で学べることとはまったく違うということがわかりました。教科書やガイドラインに書かれていない新たな一面を知ることができて、自分自身「一歩先へ」進んだ気がします。

織田先生:学生のみなさんには、今後どういう道に進むとしてもその道のプロになって欲しいと思っています。医師は職業の1つなので、一流を目指すことで悔いのない人生を送ることができるのではないでしょうか。「このくらいでいいのではないか?」ではなく、つねに「一歩先へ」意識を向けていくことが大切です。私自身、まだ自分が理想とする医師にはなれていません。これからも「一歩先へ」という思いを胸にこの仕事を続けていきたいと思っています。

 

第45回日本集中治療医学会学術集会については下記の記事も併せてご覧ください。

会長インタビュー『第45回日本集中治療医学会学術集会を終えて』

会長講演レポート『第45回日本集中治療医学会学術集会レポート−会長講演と本学術集会のハイライト』

『日本集中治療医学会医師と学生による座談会‐集中治療医学の発展と課題』

日本集中治療医学会医師と学生による座談会(織田 成人先生)の連載記事

1978 年千葉大学医学部卒業。卒業後第二外科にて外科医としてのキャリアを積み、その後
救急・集中治療に従事。2006 年より千葉大学大学院医学研究院救急集中治療医学 教授。
主な研究領域はショック・敗血症多臓器不全・急性血液浄化法。