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接触皮膚炎(かぶれ)の検査と治療法とは?

接触皮膚炎(かぶれ)の検査と治療法とは?
大川 智子 先生

横須賀市立うわまち病院 皮膚科 科長

大川 智子 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年03月14日です。

接触皮膚炎かぶれ)は、身の回りにあるさまざまなものが皮膚に触れることにより、皮疹(ひしん)や痒みが起こる皮膚疾患です。原因物質は患者さんによって異なり、治療や予防のためにはアレルゲンとなっている原因物質を特定することが重要です。

本記事では、接触皮膚炎で行うパッチテストの方法や治療法について横須賀市立うわまち病院の皮膚科科長である大川智子先生にお話を伺いました。

接触皮膚炎の原因や症状については記事1『接触皮膚炎(かぶれ)とは?身の回りのあらゆるものが原因となる』をご覧ください。

紅斑(こうはん)や皮疹(ひしん)などが慢性的に繰り返されていて、アレルギーによる接触皮膚炎が疑われる場合には「パッチテスト」でかぶれを起こしている原因物質の特定を行います。パッチテストとは、原因となりえる物質を至適濃度(してきのうど)に薄めたものを目立たない部分の皮膚に直接貼り、炎症反応が起こるかどうか確認する検査です。

パッチテスト

原因物質がある程度特定できている場合には、その物質を検査に至適な濃度に調整したり、関連する物質の試薬を用いたりしてパッチテストを行います。たとえばシャンプーであれば通常の1%程度の濃度に薄めたり、メガネのフレームであればフレーム部分を削りとるなどして、密閉して皮膚に貼付したりします。

原因物質の検討がつかない場合にも、スクリーニングとして日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会が選定した、日本人がかぶれやすい約30種類程度のアレルゲン(ジャパニーズスタンダードアレルゲン)の試薬を用いて検査を行うことがあります。

これらの試薬や被疑物質を背中や腕の外側などの検査に適した部位に貼付して、48時間後(2日後)に炎症反応の確認をします。さらに72時間後(3日後)、可能であれば1週間後にも判定を行います。ですから、判定のために患者さんには週に4回外来受診をしていただく必要があります。

パッチテストの結果が陽性の場合は、皮膚が赤くなったり、皮膚が少し盛り上がったりします。しかし、まれに偽陰性(陽性であるがアレルギー反応を起こさないこと)や偽陽性(陰性であるがアレルギー反応を起こすこと)を示すこともあります。

また、パッチテストは原因物質を検査に適した濃度に調整して行っても、患者さんのなかには皮膚のアレルギー反応が強く起こりすぎてしまい、水膨れが現れたり、色素沈着として跡が残ったりしてしまうことがあります。

お風呂

患者さんに検査中に気をつけていただきたいことは、検査をしている部分を濡らさないことです。濡らしてしまうと試薬が流れてしまい、正確な判定ができなくなるためです。

そのため、検査中はできるだけ汗をかかないようにし、入浴も避けていただくように患者さんにお話しています。シャワーについては検査部位を避けていただければ、浴びていただくこともできます。

また、試薬を貼付している部分が痒くなってしまうこともありますが、掻いてしまうと判定に支障がでてしまうため、痒くても掻かないようにしてください。どうしても痒みが我慢できない場合には、軽く叩いたり冷やしたりして対処するようにしていただきたいと思います。

パッチテストの結果接触皮膚炎の原因物質が判明したら、可能であればその物質との接触を避けていただきます。接触皮膚炎の症状に対する治療として、炎症を起こしている部分にステロイド外用薬を塗布、もしくは抗ヒスタミン薬の内服を行います。

接触皮膚炎の炎症反応が強いとき(腫れや水膨れがひどいなど)や、症状が局所にとどまらず全身に現れたときには、ステロイド薬の内服を行うこともあります。

ステロイド外用薬を症状が治まったあとも長期間使用していると、その部分の皮膚が薄くなったり、毛細血管が拡張することで皮膚が赤くなったりすることがあります。また、細菌やウイルスに対する免疫力も低下する可能性があると考えます。

ですからステロイド外用薬は漫然と使用することなく、症状があるときのみの使用にとどめましょう。

もし痒みなどの症状が強く出てしまった場合でも、あまり掻かないように心がけてください。炎症を起こしている部分を掻いてしまうと、そこから雑菌が入り込むなどして感染症を合併してしまうことがあります。ですから、氷で冷やすなどして痒みに対処をしていただきたいと思います。

また、患部を清潔に保っていただくことも大切です。石鹸やボディソープなどが原因物質でなければ、泡で優しく洗っていただくことをお勧めします。

抗菌薬や痒みに対する外用剤など、薬局で購入できるものが数多くあります。

ときに市販薬をずっと使用していても治らずに受診される方のなかには、市販薬そのものが原因の接触皮膚炎であった患者さんもいます。ですから、1週間ほど市販薬を使用しても症状が治まらないときには、病院を受診していただきたいと思います。

大川智子先生

皮膚の同じような箇所が、いつも繰り返し赤くなったり痒くなったりする症状に悩まされている方は、是非、皮膚科を受診していただくことをお勧めします。

原因がわかれば気持ちもすっきりすると思いますし、原因物質を取り除くことができれば症状に悩まされることなく、快適な日常生活を送ることができるでしょう。

皮膚疾患は、なかなか根治が難しい疾患も多いですが、接触皮膚炎かぶれを起こしている原因物質さえ判明できればよくなる疾患です。紅斑や痒み、皮疹が慢性的に続いている方は、一度皮膚科医に相談してみてください。
 

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