院長インタビュー

医療をつうじた地域貢献をめざして-天陽会中央病院の歩みとめざす姿

医療をつうじた地域貢献をめざして-天陽会中央病院の歩みとめざす姿
厚地 良彦 先生

天陽会中央病院 理事長、鹿児島大学 医学部 臨床教授

厚地 良彦 先生

この記事の最終更新は2017年11月10日です。

社会医療法人 天陽会 中央病院の前身となる診療所が開設されたのは、1947年のことです。現理事長の岳父にあたる三代前の院長が、病院のなかった地域に小さな診療所をつくったのが始まりでした。

その後、1955年に桜島病院を開設し、法人として天陽会が発足しました。1977年には中央病院が開設され、現在に至ります。219床の規模で救急医療にも対応し、地域の方々に高度な医療を提供しています。そんな同院で行われている取り組みについて、理事長である厚地 良彦先生にお話を伺いました。

外観

当院はその名の通り、社会医療法人 天陽会の中心となっている病院です。ハイレベルな診療を行っている循環器内科・心臓血管外科を中心に、19の診療科を設けています。

多くの自治体で人口減少が進みつつあるなかで、鹿児島市は県内でも人口がまだ増加している地域です。しかし、将来的には人口減少と高齢化が予測されています。そういったなかで、「天の陽のごとく、医療をつうじて、地域に永遠に貢献します」という理念のもと、より質の高い医療の提供をめざしています。

当院の最大の強みは、循環器医療にあります。循環器内科は私を含め11名、心臓血管外科は4名と医師層も厚く、その実績も鹿児島県内では2番目、九州内でも7番目くらいには入る規模です。循環器専門医研修関連施設などに指定されており、専門的なスキルを持った医師の育成も行っています。

年間で扱っている症例数は、心臓カテーテル治療が年間1,500例以上、経皮的冠動脈形成術も450例以上を誇ります。開心術も200例以上と豊富で、経験を積みたいという医師の方に県外からも来ていただいています。

診断や治療の質をより向上させていくため、2017年度より新しくハートセンターを開設しました。2つのカテーテル室を完備し、そこで専門医による検査・治療が行われます。

ハートセンターの開設によって、重症患者の受け入れ数も増えてきました。大動脈内バルーンパンピング、経皮的心肺補助装置(PCPS)を使った症例も増加傾向です。

今後の医療技術の向上に取り組み、地域医療に貢献していきたいと考えています。

手術風景

 

当院は、急性期の心筋梗塞大動脈解離など循環器の一刻を争うような病気を中心に、断らない救急を掲げています。運ばれてくる患者さんは鹿児島県内からがほとんどで、種子島などの離島からも年間20名ほど受け入れています。当院から5分くらいの距離のところに、公的機関が所有するヘリポートがありますので、ドクターヘリでの搬送にも対応可能です。

心臓血管外科のモットーは、「間口は広く、敷居は広く、志は高く」です。断らない、早く受け入れる、それが救急病院としての姿勢だと思っています。

当院では、専用フロアをつくって、各種健康診断人間ドックも力を入れています。

受診される方は1日あたり20名を超えていて、年間にすると4,000名を超えています。企業の健康診断やスタンダードな人間ドックのメニューに加えて、当院の強みをいかした心臓ドックも行っているのが特徴です。将来的には、人間ドックを中心としたメディカルツーリズム分野への参入も視野に入れていきたいと考えています。

内観

 

当院の医師は、さまざまな学会での発表や講演を積極的に行っています。当院は他院の関連施設として後期研修を受け入れてはいますが、他院より若手の医師は少なくなっています。しかし、そのぶん経験豊富な、実力のある医師が多いので、そういった実績も多くあります。

また、院内でも勉強会や発表会を多く行っており、発表に関してはジャーナルとして残しています。ジャーナルは1986年から発行していて、現在はvol.60を数えます。この取り組みは、当院の伝統ともいえるでしょう。

当院は、子育てと仕事を両立できる職場づくり、女性が活躍できる職場づくりに積極的に取り組んでいます。その行動指針として「天陽会 行動計画」を作成し、以下のような目標を掲げました。

  • 男性の育児休暇取得率半数以上
  • 子どもの看護休暇の対象範囲を拡大
  • 年次休暇の取得を1人あたり年10日以上にする
  • 医師に占める女性の割合を20%以上にする
  • 管理職に占める女性の割合を、全部署50%以上にする

これらの取り組みが評価され、当院は「かごしま子育て応援企業」にも認定されています。職員が働きやすい職場をめざして、これからも取り組みを続けていきたいと考えています。

当院では、地域の方々へ向けたさまざまな取り組みも行っております。

ひとつは、地域の方々が参加できる講座やイベントの開催です。年に1度、行っている市民公開講座は、2017年に9回目を迎え、毎回著名なゲストを招いて講演をしてもらっているほか、当院の医師やコメディカルスタッフが医療に関するさまざまな話をしています。

すこやかクラブ(糖尿病教室)や心臓リハビリテーション教室は、毎回違ったテーマで定期的に開催されている講座です。テーマによって、医師や看護師、栄養士などさまざまな職種が講師として関わっています。

そのほか、AED講習会や天陽会健康祭などを開催し、毎回多くの方々に参加いただいています。

講座以外では、「てんようかい連携室だより」という病院の広報誌を年に4回、「天陽会誌」を年に1回発行しています。掲載している情報は、病院や医療に関するものや、イベントのお知らせなどです。地域の方々への情報提供ツールのひとつとなっています。

課題としてまず挙げられるのは、人材が足りないことです。看護師には奨学金を出すなどの施策を取っています。育成の面も含め、これからの大きな課題といえるでしょう。

幸いなことに、医師には少しずつ来ていただけるようになっています。それを支える看護師や薬剤師といったスタッフも充実させて、チーム医療を強化していきたいですね。

当院も含めた地域全体を考えると、在宅医療を担う機関が少ないことが課題です。訪問看護の事業者は少しずつ増えていましたが、往診に対応できる医師がまだまだ少ないのが現状です。

今後は、そういった問題にも対応していかなければならないと考えています。

厚地 良彦先生

今後はダヴィンチを導入するなどして、高度医療に力を入れていきたいと考えています。

近年では、iPS細胞を使った高度治療なども話題になっています。それらが現場に導入されるころにも変わらず、病院機能を継続していられるように努力したいですね。

「鹿児島市といえば、天陽会中央病院」、市民のみなさまにそういっていただけるような存在になれたらと思っています。

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  • 天陽会中央病院 理事長、鹿児島大学 医学部 臨床教授

    厚地 良彦 先生

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