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院長インタビュー

地域と国の病院として医療提供に尽力する自衛隊中央病院

地域と国の病院として医療提供に尽力する自衛隊中央病院
千先 康二 先生

自衛隊中央病院 病院長

千先 康二 先生

目次
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自衛隊中央病院は、東京都世田谷区の三宿駐屯地内にあります。当初は、自衛隊員やその家族の治療をする職域病院として機能していましたが、1993年に保険診療を開始し、地域医療にも貢献しています。同院は地域の総合病院としての機能のほかに、国の病院としての機能を維持し、日々教育訓練や救命処置に取り組んでいます。同院が日々行っている教育訓練や取り組みについて自衛隊中央病院の病院長千先康二(せんさきこうじ)先生にお話を伺いました。

当院は、1956年に開設し、日本武道館や京都タワーの建築を手掛けた建築家山田守の建築でした。開設当初から職能補導所を附設(新病院により職業能力開発センターに名称変更)しています。公務災害などで障害を負った隊員の社会復帰のため、ユニバーサル社会の取り組みの一環として、職業能力開発を指導する自衛隊唯一の施設で、指導内容や施設を充実させています。開設数年後には、婦人自衛官養成所(高等看護学院)、診療放射線技師養成所を設置しています。

自衛隊中央病院よりご提供

当院は、1993年に保険医療機関に指定されたことを受けて、オープン化しました。それにより、自衛隊員とその家族のみならず、地域のみなさまへの医療の提供を行えるようになりました。

さらに、2010年に救急告示し、2016年に東京都から二次救急医療機関、2017年には東京都地域救急医療センター(東京ルール)としてそれぞれ指定を受け、救急患者さんの受け入れに尽力することができ、救急車受入台数も増えております。また、当院の位置する東京都世田谷区は、東京都一の人口約90万人であり、区内の中核病院として、当院がその役割を担えるように努力して参りたいと思います。

当院は29の診療科があり、各診療科が協力し診療にあたっています。

当院では、地域の総合病院として、諸検査や低侵襲な治療が行えるように尽力しています。また、患者さんの状況によっては複数の診療科で診療や手術にあたることもあります。

たとえば、心臓の冠動脈バイパス術で胃大網動脈を用いて再建した患者さんに、後年胃がんが発生して郭清(かくせい:がんの手術を行う際に周囲のリンパ節も切除すること)をしなければならなくなった症例では、胃切除とともに冠状動脈血行再々建が必要になります。心臓や胃の手術は別々にはよく実施しておりますが、同時にやる場合は定型的な術式もなく症例数も極めて少ない現状です。当院では、消化器外科医と心臓血管外科医が連携し、麻酔科医や循環器内科医、手術室看護師などが協力して安全に手術を成功させました。

このように当院では、多種多様な病気を持つ患者さんの治療をさまざまな診療科が協力し、対応しています。

自衛隊中央病院よりご提供

当院では、有事や大規模災害などに備えた訓練を平素から行っています。また、全世界で頻発している各種テロでは銃創(じゅうそう)や爆創(ばくそう)などの損傷を負うことが多いですが、そのような損傷にも迅速に対応できるように訓練しています。国立病院などが独立行政法人化された今日、自衛隊病院は数少ない国の医療関係施設であり、国が命令して使える医療衛生集団といえます。

当院の医師はすべて自衛隊医官であり、一般病院の先生方が対処できないような危険な場面にも対応し、治療にあたらなくてはなりません。

また、日本は地下鉄サリン事件や東海村JCO臨界事故などNBC事案を経験した数少ない国のひとつです。その教訓から、二次被害を避けるために防護服の着用や、除染などが重要になるため、そのような訓練も定期的に行っています。

当院には、化学剤テロなどに対応するため、除染室を設置しています。たとえば、化学剤テロの被害にあわれた患者さんを当院に搬送する際に、そのまま搬入すると院内で二次被害が出てしまいます。そのため、当院に設置してある除染室で体の除染を行い、治療にあたります。

2009年に確認された新型インフルエンザの水際対策にも、当院のスタッフを含む自衛隊衛生科隊員が検疫の対応にあたり、成田空港や中部国際空港、関西国際空港などで支援しました。

新型インフルエンザや、日本国内で確認がされていないウイルスの検疫などには、一種感染症医療機関の指定を受けた当院が対応にあたらなくてはならないと考えています。

水際対策…伝染病や、国内に悪影響を及ぼすことが考えられる生物が国内に入らないように、空港や港などで検疫や検査の対策を行う

自衛隊中央病院よりご提供

当院は、災害に備えてライフラインや訓練などハード・ソフトの整備をしています。当院の建物は免震構造になっており、東日本大震災でもほとんど揺れず、手術を続行しました。

電気やガス、水道などの生活インフラも当院でまかなえるようにしています。また、当院の屋上には大型ヘリコプターが着陸できるヘリポートがあります。大型ヘリコプターで重症患者さんを搬送し、当院で治療・後送をすることができます。

当院は災害発生時に地域の病院としての機能と、国の病院としての機能を備えていなくてはなりません。そのために、災害時には地域の病院との機能分担をしています。

自衛隊中央病院よりご提供

当院では、2007年から大量傷者受入訓練を実施しています。2015年の訓練では、東京湾を震源とする震度6強の揺れを観測した想定で行いました。本訓練には、自治体のみなさまや医師会、日本赤十字社、災害支援ボランティアの方々が参加されました。訓練では、トリアージを行い、重症から中等症の患者さんへの治療の手順の確認をいたしました。また、屋上ヘリポートで傷病者の受け入れや、激震地域ではない病院への搬送準備訓練を行いました。大型ヘリコプターの着陸が可能なヘリポートを備えていることで、災害発生時には航空拠点としての役割も担えると考えています。

2017年に行った大量傷者受入訓練では、テロ・特殊災害を想定して行いました。本訓練では、化学剤テロ、ダーティーボム、爆発物テロへの対応、患者さんの航空搬送を演練いたしました。

2018年は、近年の国際情勢や、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック時のテロに対応ができるように、警察・消防・自治体・医師会など多機関と連携して訓練を積み重ねていきたいと思います。

トリアージ…大事故や災害が発生し、多数の患者さんがでた際に、傷病の緊急度や重症度に応じて治療優先度を決める

首都直下地震などの大規模災害発生時に、国の病院として機能するために、地域の医師会との連携を重要視しています。当院で重症患者さんを受け入れるようにするため、軽症の患者さんは近隣の小学校の避難所に設置させる救護所で受け入れていただくようにしています。

地域の医師会の先生方と機能分担をすることで、迅速な対応ができると考えています。

当院は、地域の総合病院として医療提供に尽力しています。オープン化したことで、地域医療に貢献できるようになりました。東京都2次救急指定医療機関に指定されたことで、救急患者さんの受け入れも可能になりました。

一般病院では対応が難しい感染症医療の提供や、当院でも力を入れている救急医療、災害医療に強みがあると思っています。

また、有事や大規模災害、国連平和維持活動の際には、地域の病院としての機能だけでなく、国の病院としての機能も有しています。大規模災害などへの救護班、国連平和維持活動員の派遣、国際緊急援助隊の待機のほか、自衛隊病院の最終後送病院として前線から後送される受傷隊員に質の高い医療の提供に努めています。

当院の医師や看護師は官邸医療支援官として、24時間365日、総理大臣が国内外へ出張する際に随行するとともに、官邸医療室において健康管理の万全に任じております。

日本は2020年に東京オリンピック、パラリンピックが開催されます。All Japanで対応するため、当院も役割を果たしたいと思っています。

当院は国の病院として、有事の際に備えなくてはなりません。そのため、日々訓練を行い有事の際に備えています。

当院は今後も地域医療の貢献に尽力するとともに、国の病院としての機能も保持してまいります。

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