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良質な慢性期医療が日本を強くする—日本慢性期医療協会総会・記者会見レポート

良質な慢性期医療が日本を強くする—日本慢性期医療協会総会・記者会見レポート
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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この記事の最終更新は2018年07月13日です。

世界でも類をみない超高齢社会となった日本。高齢化の進展とともに、慢性期医療のニーズは高まり続けています。2018年6月21日(木)、東京都のシャトレ市ヶ谷にて、日本慢性期医療協会の総会および記者会見が行われました。本記事では、写真とともに当日の様子をレポートします。

総会では、産業医科大学の松田晋哉先生より「今後の地域医療のあり方を考える〜医療介護ニーズの複合化への対応〜」をテーマにした総会記念講演が行われました。詳しくは記事2『良質な慢性期医療が日本を強くする—日本慢性期医療協会総会 松田晋也先生講演レポート』をご覧ください。

今、慢性期医療の大幅な改革が求められています。近年の診療報酬改定によって「適正に治療を行う慢性期医療を評価する」という厚生労働省の方針がはっきりと示されました。適正な治療を行わずただ患者さんを入院させておくような慢性期医療は、認められなくなっているのです。

一方で、急性期病院は非常に細かく分類され、厳密な評価方法が提示されました。このような医療改革のシナリオによって、慢性期医療は、慢性期患者さんの診療にとどまらず、慢性期患者さんの急変に対応する役割も担うことになります。「これからの慢性期医療は高度急性期以外のポストアキュートをすべて診る必要がある」という明確な方向性が示されたといえるでしょう。

日本慢性期医療協会では、次回の診療報酬改定に向けて会員一丸となり努力を重ねることで、さらに力を蓄え、世代交代を模索しながら、ますます評価される慢性期病院を多く運営できるよう尽力します。私たちは「よい慢性期医療を提供すること」を第一に考え、会員のみなさんとともに進んでいきたいと思っています。本日はご出席いただきありがとうございます。

総会では、議長選出、議事録署名人選出、議案審議、2017年度の事業報告および決算報告などが行われました。

2008年に当会の会長に就任し、10年が経ちます。幸い、この10年間でさまざまなことをみなさんに決定していただきました。2018年の同時改定でも、低栄養や脱水、嚥下リハビリや排泄リハビリについて取り上げていただき非常にありがたかったです。

これからの2年は、徐々に新しい世代に交代していく、日慢協の過渡期となるでしょう。残りの2年で、最後の頑張りをしたいと思います。

慢性期医療は、未だにマイナーな分野のイメージがあります。これまで、会員のみなさんがそれぞれの地域で地道に頑張っているのをみて、「この努力が評価されない社会ではいけない」という思いを持ち、尽力してきました。これからの2年間で、さらに慢性期医療の重要性を強調し、よりよい慢性期医療を実践していきます。

きちんと治療やリハビリをすれば、回復する患者さんは多いはずです。しかし、病院のベッドで寝たきりにされ、栄養管理もままならないために、栄養不良や脱水の状態となり、患者さんが弱ってしまうケースが多々あります。このような状態で患者さんが慢性期病院に移ってきた場合、それ以降の治療は非常に難しいものになります。なぜなら、わずかな可能性を見出し、適切に治療を行い、患者さんを日常に返す必要があるからです。

このように、慢性期医療は「奥穂高の稜線を歩く」、つまり、たった50cmの細い山道を歩むように難しい治療を担っているのです。しかし、そのような厳しい条件でも患者さんをきちんと回復させてこそ、日本慢性期医療協会です。難しいからこそ、総力をあげて学び、適切な治療やリハビリによって患者さんを日常に返す意義があります。その患者さんが数年でも長く生きられたら、どんなに素晴らしいことでしょう。

この度、満場一致で会長を続行させていただき感謝を申し上げます。これからも当会は、会員のみなさんとともに「高度慢性期医療」を提供していきたいと考えます。

総会のあとには記者会見が開かれ、武久洋三会長より「2018 行動宣言10」が発表されました。

<日本慢性期医療協会 2018 行動宣言10>

  1. 高度慢性期医療の確立
  2. 地域包括ケア病棟機能の取得と地域貢献
  3. 人間力回復リハビリテーションの徹底
  4. 在宅医療への積極的関与と支援
  5. 低栄養と脱水、認知症に対する理解と実践
  6. 病院・診療所の機能分化と連携
  7. 総合診療医機能の強化と多職種連携
  8. 重度障害者に対するQOLの維持向上
  9. 介護医療院転換への積極的関与
  10. 『寿命 100 歳時代』に向けた医療・介護の一体化

この10項目は、私が当会で第6期の会長を引き受けたことによる、個人の行動宣言です。あと2年間の任期中、これらに注目しながら仕事をしたいと考えています。

日本慢性期医療協会は、医療従事者に慢性期医療の魅力を伝え、一般読者に向けた情報発信を行うことを目的として、2018年6月21日にオウンドメディア「慢性期.com」をリリースしました。日本慢性期医療協会は今後も、慢性期.comにて定期的かつ高頻度な情報発信を行います。

https://manseiki.com/

記者会見では、日本慢性期医療協会 広報委員会委員の武久敬洋(たけひさ たかひろ)先生より、慢性期.comリリースの報告が行われました。

このようにして、日本慢性期医療協会の総会および記者会見は無事に終了しました。

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