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前立腺がんに対する手術の種類−開腹手術から腹腔鏡手術、ロボット手術へ

前立腺がんに対する手術の種類−開腹手術から腹腔鏡手術、ロボット手術へ
公平 直樹 先生

沼津市立病院 泌尿器科

公平 直樹 先生

目次
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日本において前立腺がんは、高齢化や診断技術の進歩により近年急速に増加しています。記事1『前立腺がんとは?その症状、原因、治療選択』では、前立腺がんの症状や治療選択についてご説明しました。本記事では、前立腺がんに対する手術の種類とそれぞれの特徴について、沼津市立病院の公平直樹先生にお話を伺います。

前立腺がんに対する手術はどのように行うの?

前立腺と精のうを摘出し、膀胱と尿道をつなぐ「前立腺全摘除術」

前立腺がんの手術では、前立腺と精のうを摘出し、さらに、膀胱と尿道をつなぎます。このような手術を「前立腺全摘除術」といいます。

前立腺がんは、前立腺のなかで多発することがあります。前立腺の中から前立腺がんだけを取り除くことは一般的には行いません。前立腺がんとして診断されて手術を行う場合は前立腺を全部摘出します。手術の際、前立腺の周囲のリンパ節を取り除く「リンパ節郭清」を行うこともあります。

前立腺全摘除術は、がんが前立腺の中にとどまっており、期待余命が10年以上あると判断される場合に行うことがもっとも推奨されています。しかしながら、高リスクの場合においても前立腺全摘除術が有用となるケースがあるため、前立腺全摘除術を選択肢に含めて、治療法を検討します。

公平先生

前立腺がんに対する手術の種類、特徴

手術の方法には、開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット手術があります。

開腹手術(恥骨後式前立腺全摘除術)

開腹手術は、全身麻酔と硬膜外麻酔を行い、下腹部をまっすぐに切開して行う手術です。

骨盤の奥深くで複雑な操作を必要とし、多くの場合に輸血や自己血輸血(手術前に自分の血液を蓄えておいて手術のときに体に戻すこと)を必要としていました。

腹腔鏡手術(腹腔鏡下前立腺全摘除術)

腹腔鏡手術は、下腹部に小さな穴を数か所開け、炭酸ガスでおなかを膨らませたあと、専用のカメラや器具を用いて行う手術です。腹腔鏡手術全般にいえることですが、開腹手術に比べて、傷は小さくとも数は多くなります。

ロボット手術(ロボット支援前立腺全摘除術)

ロボット手術は、下腹部に小さな穴を数か所開け、精密なカメラや鉗子のついた手術用ロボットを遠隔操作して行う手術です。小さな空間においても繊細な操作が可能で、術者の微細な手の震えが制御され、拡大画面をみながら精密な手術を行うことができます。

前立腺がんの手術は、時代の流れや医療機器の進歩により、上記の順番のように開腹手術→腹腔鏡手術→ロボット手術と変化してきました。

2019年1月現在、全国でロボット手術機器を導入している病院は300以上あるといわれています。このように急速に広まった背景には、ロボット手術機器の有効性が明らかになったことがあります。

ロボット手術機器を導入した医療機関で開腹手術を選択するようなことは、よほどの医学的理由がなければ行われません。ロボット手術機器では、人間の手の動き以上の操作が可能となり、小さい組織・血管まで見ることができます。

良好な視野とは「出血が少ない術野」のことを指し、スムーズな手術の進行に寄与します。出血が少なく小さい傷だと、術後の患者さんの回復もスムーズに進みます。ただし、開腹手術と同様の合併症(出血、感染、血栓症など)は起こりえます。

前立腺がんの術後のフォローアップについて

定期的にPSA値を測定し再発の有無を確認する

基本的に、前立腺がんの手術を行ったあとは定期的に来院していただき、PSA値を測定することで再発の有無を確認しながらフォローアップします。術後に数年間PSAが低いまま経過することができたら、そのときに「手術で根治できた」と判断します。

前立腺がんの治療において心がけていること

個々の患者さんに適切なタイミングで最善の治療を行う

近年、前立腺がんの罹患率は増加していますが、一方で、新たな治療薬やロボット手術の進歩などによって、治療方針が大きく更新されています。

私が医者になった頃には、前立腺がんの治療は選択肢もなく、手術に至っては出血が大量になることもある大がかりなものでした。そこから、現在のように治療薬や手術が進歩していることを考えると、これからの前立腺がんの治療の発展にも可能性を感じます。一方で、選択肢が増えたからこそ患者さんにとっては迷うことも多くなりました。

前立腺がんは、診断から治療までタイミングを逃さずに提供することが大切です。そのため、年々変化していく治療についてしっかりと学び、個々の患者さんをしっかりとみて、適切なタイミングで最善の治療を行うことができるよう心がけています。