歌舞伎症候群は、発達の遅れや特徴的な顔貌を主症状とする生まれつきの病気です。それ以外に起こるかもしれない症状の種類は多岐にわたるため、特に心配な症状が出ていないときでも、病院と連携して健康管理に取り組んでいくことが大切です。
今回は、歌舞伎症候群の治療と健康管理について、埼玉県立小児医療センター 大橋博文先生にお伺いしました。
歌舞伎症候群を根本的に治すことができる方法はなく、医療技術がさらに進歩したとしても遺伝子異常そのものの治療は難しいかもしれません。
ただし、KMT2D遺伝子とKDM6A遺伝子という2つの原因遺伝子が発見されたり、メチル化(遺伝子の発現や調節にかかわる大事な制御を担う現象)にかかわる異常について病状の解明が進んだりしてきています。このことにより、治療の可能性への道が開かれるのではないかと期待されています。
病状の解明が進んだことにより、メチル化に異常をきたす部分をターゲットとした投薬で症状の一部を緩和する方法など、新しい治療を考える基盤ができつつあります。今後、歌舞伎症候群に適応となる薬品の開発研究も期待されています。
先に述べたように、歌舞伎症候群を根治する治療法はみつかっていません。ただし、歌舞伎症候群はさまざまな症状が現れる可能性があるため、これらに注意していくことが大切です。
歌舞伎症候群が原因となって起こる実際の症状(合併症)に対しては、健康管理の考え方が重要となります。以下のような3つの枠組みに注目して、ライフステージごとに考えていく必要があるでしょう。
<歌舞伎症候群の健康管理>
歌舞伎症候群の患者さんは、生まれつき合併症をともなうことがあります。たとえば、心疾患(心臓の構造に問題がみられる病気)や口蓋裂(喉の奥に割れがみられる病気)は、生まれつき発症することのある病気です。病院では、このような生まれつきの合併症を正確に診断し、治療を行うことが重視されています。
生まれつきの合併症の他にも、さまざまな種類の合併症が起こる可能性があります。たとえば、関節弛緩を原因とした関節脱臼や、中耳炎を原因とした聴力障害などを発症する可能性があります。
ただし、すべての患者さんに共通して同じ合併症が現れるわけではありません。これから起こるかもしれない合併症については、定期的に診察を受けながら注意していくことが大切です。
合併症が起こったときは、状態に応じてそれぞれの病気に適した診療科を受診しましょう。全体的な成長と発育については小児科を受診しますが、中耳炎については耳鼻科を受診するなどの対応が必要です。
予防が可能な合併症はなるべく予防することが重要です。歌舞伎症候群の患者さんは、膝の脱臼が起こりやすいという特徴があるため、膝への負担が軽減されるように肥満を防ぐことが大切です。その他、感染症の予防として予防接種を行うなど、健康管理を心掛けていきましょう。
歌舞伎症候群に限った特徴ではありませんが、発達の遅れの現れとして、離乳食の進め方*が順調ではない、歩き始めや言葉の出始めが遅いといったことがあります。このような発達の遅れに対しては、療育的なケア(発達を促すトレーニング)が有効です。
筋肉の収縮が弱い状態を示す低緊張(筋緊張低下症)がみられる場合には、体の機能の向上を目指したリハビリを行うことがあります。リハビリは、主に地域の療育センターを利用して行います。
離乳食の進め方…ミルクなどから、柔らかい・固いものをとる食事に移行する過程のこと。
埼玉県立小児医療センター 遺伝科 科長
関連の医療相談が10件あります
貧血傾向にあります
去年の7月の健康診断で ヘモグロビンの値が11、8 とでました。 昨日半年後の血液検査を行い、 値が下がっていたら 更に検査が必要といわれました。 このような場合どういう 病気が予想されるのでしょうか?
胆嚢全摘手術後について
先月、胆囊全摘手術を受けました。 手術後、便秘に悩まされました。 昨夜、初めて右側腹部が痛くなり、下痢をしました。 今も続いています。 ポリープを取る前も便秘で右下腹部が痛くなることはあっても、痛くなったことがない場所でした。 この症状は手術のせいでしょうか? 病院受診した方が良いですか?
手のひらの痛み、足の甲の一部冷え
●手のひらの痛み 最初に症状を感じたのは今年の4月頃です。ひじ下から手のひらにかけて若干の痺れるような感覚と手のひらに熱を持っている感じ、痛みが気になるようになりました。この症状は生理前に出でくることが多いように感じたのでPMSの一つかなと思っていました。ですが今月、生理が終わった後にこの症状(主に手のひらの痛み)が出てきました。痛みはそんなに強くありません。じわーっとほんのり痛む感じです。たまに足の裏も同じような感じになったりします。 ●足の甲の冷え 2週間前から左足の甲の一部に冷感を感じます。 病院を受診したほうが良いのか。だとすれば何科が良いのでしょうか。
動悸 息ぎれが
更年期障害の疑いはありますか? 近頃 日中、寝ていても動悸がすごくします。 生理不順が半年近く続いています。 のぼせなどはないのですが。 この間今までにない強い過換気症候群発作をおこして搬送、処置をしていただきました。その時は心臓の異常もなく静脈血液検査もしていただき 心エコー心電図 レントゲンもちゃんとってもらいましたが異常なく過換気症候群発作という結果でした。脈はかなり早かったです。それからも毎日 息苦しいような動悸 息ぎれがして おそろしく感じ また過換気症候群発作をおこさないか心配なぐらいです。もしやこれが更年期障害なのか疑いがあるのかを知りたく思いご連絡差し上げました。 よろしくお願いします。
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「歌舞伎症候群」を登録すると、新着の情報をお知らせします
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。