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インタビュー

歌舞伎症候群の治療と健康管理

歌舞伎症候群の治療と健康管理
大橋 博文 先生

埼玉県立小児医療センター遺伝科 科長

大橋 博文 先生

目次
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歌舞伎症候群は、発達の遅れや特徴的な顔貌を主症状とする生まれつきの病気です。それ以外に起こるかもしれない症状の種類は多岐にわたるため、特に心配な症状が出ていないときでも、病院と連携して健康管理に取り組んでいくことが大切です。

今回は、歌舞伎症候群の治療と健康管理について、埼玉県立小児医療センター 大橋博文先生にお伺いしました。

歌舞伎症候群を根本的に治すことができる方法はなく、医療技術がさらに進歩したとしても遺伝子異常そのものの治療は難しいかもしれません。

ただし、KMT2D遺伝子とKDM6A遺伝子という2つの原因遺伝子が発見されたり、メチル化(遺伝子の発現や調節にかかわる大事な制御を担う現象)にかかわる異常について病状の解明が進んだりしてきています。このことにより、治療の可能性への道が開かれるのではないかと期待されています。

病状の解明が進んだことにより、メチル化に異常をきたす部分をターゲットとした投薬で症状の一部を緩和する方法など、新しい治療を考える基盤ができつつあります。今後、歌舞伎症候群に適応となる薬品の開発研究も期待されています。

先に述べたように、歌舞伎症候群を根治する治療法はみつかっていません。ただし、歌舞伎症候群はさまざまな症状が現れる可能性があるため、これらに注意していくことが大切です。

歌舞伎症候群が原因となって起こる実際の症状(合併症)に対しては、健康管理の考え方が重要となります。以下のような3つの枠組みに注目して、ライフステージごとに考えていく必要があるでしょう。

<歌舞伎症候群の健康管理>

  • 生まれつきの合併症の診断と治療
  • 起こるかもしれない合併症への注意
  • 予防可能な合併症はなるべく予防

歌舞伎症候群の患者さんは、生まれつき合併症をともなうことがあります。たとえば、心疾患(心臓の構造に問題がみられる病気)や口蓋裂(喉の奥に割れがみられる病気)は、生まれつき発症することのある病気です。病院では、このような生まれつきの合併症を正確に診断し、治療を行うことが重視されています。

生まれつきの合併症の他にも、さまざまな種類の合併症が起こる可能性があります。たとえば、関節弛緩(しかん)を原因とした関節脱臼や、中耳炎を原因とした聴力障害などを発症する可能性があります。

ただし、すべての患者さんに共通して同じ合併症が現れるわけではありません。これから起こるかもしれない合併症については、定期的に診察を受けながら注意していくことが大切です。

合併症が起こったときは、状態に応じてそれぞれの病気に適した診療科を受診しましょう。全体的な成長と発育については小児科を受診しますが、中耳炎については耳鼻科を受診するなどの対応が必要です。

予防が可能な合併症はなるべく予防することが重要です。歌舞伎症候群の患者さんは、膝の脱臼が起こりやすいという特徴があるため、膝への負担が軽減されるように肥満を防ぐことが大切です。その他、感染症の予防として予防接種を行うなど、健康管理を心掛けていきましょう。

歌舞伎症候群に限った特徴ではありませんが、発達の遅れの現れとして、離乳食の進め方が順調ではない、歩き始めや言葉の出始めが遅いといったことがあります。このような発達の遅れに対しては、療育的なケア(発達を促すトレーニング)が有効です。

筋肉の収縮が弱い状態を示す低緊張(筋緊張低下症)がみられる場合には、体の機能の向上を目指したリハビリを行うことがあります。リハビリは、主に地域の療育センターを利用して行います。

離乳食の進め方…ミルクなどから、柔らかい・固いものをとる食事に移行する過程のこと。

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