かぶきしょうこうぐん

歌舞伎症候群

別名
歌舞伎メーキャップ症候群
最終更新日
2017年04月25日
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2017/04/25
掲載しました。

概要

歌舞伎症候群とは、発達の遅れや筋骨格系の異常をともなう、指定難病のひとつです。歌舞伎メーキャップ症候群とも呼ばれます。

顔貌(がんぼう)の特徴が、歌舞伎の化粧法である隈取(くまどり)と似ていることから「歌舞伎(メーキャップ)症候群」の名前が用いられています。具体的には、眉毛の外側が薄く弓の形をしている、下まぶたの一部が外側に反っている、切れ長の目といった特徴です。1988年の報告以降、発症率は3万2千人に1人と推定されています。

原因

歌舞伎症候群の原因は、KMT2DやKDM6Aという遺伝子の異常だとされています。これらは遺伝子の発現の調節に関わる遺伝子です。異常が起こると、DNAに含まれている遺伝情報が誤ってはたらくことになり、多様な症状が現れると考えられます。

患者さんの50%以上にKMT2D遺伝子の異常、約5%にKDM6A遺伝子の異常が認められます。原因が明らかではない症例もあり、さらなる研究が期待されます。

症状

歌舞伎症候群の主な症状は、精神発達障害、筋骨格系の異常、特徴的な顔貌です。合併症として、口蓋裂(こうがいれつ)などの口内の異常、斜視などの眼球異常、側彎(そくわん)などの骨格系の異常が起こることがあります。

また、言葉の不明瞭さや鼻声、finger tip padと呼ばれる指先の盛り上がり、筋緊張が弱いことによる関節の弛緩(しかん)(ゆるさ)なども特徴として現れることがあります。

検査・診断

歌舞伎症候群の診断は、顔貌の特徴や各身体合併症をもとになされます。また、遺伝子KMT2D かKDM6Aに異常が認められれば診断が確定するため、遺伝子検査の実施が検討される場合があります。

しかし、検査により遺伝子の異常が発見されるのは、歌舞伎症候群の診断を受けた患者さんのうち50%~70%です。遺伝子検査では必ずしも診断が確定するわけではないことに留意が必要です。

治療

歌舞伎症候群の根本的な治療法はありません。主に、発達の遅れに対する療育的支援(理学療法、作業療法、言語療法)や、合併症に対する治療が行われます。

生まれつきの心疾患では薬物療法や手術療法、呼吸器感染症には抗生物質などの使用、てんかんには抗てんかん薬の使用、難聴には補聴器の使用などが検討されます。また、感染症の予防を目的とした予防接種も重要です。

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