院長インタビュー

安心して任せていただける病院であり続けるためにー名古屋徳洲会総合病院のこれから

安心して任せていただける病院であり続けるためにー名古屋徳洲会総合病院のこれから
大橋 壯樹 先生

名古屋徳洲会総合病院 心臓血管外科 総長

大橋 壯樹 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年12月19日です。

1986年の開院以来、春日井市や近隣の名古屋市、岐阜県東濃の救急医療に貢献してきた名古屋徳洲会総合病院。2014年には新築移転を完了し、救急医療・地域医療・高度医療をさらに充実させています。救急医療から緩和医療まで幅広く展開する、同院の総長を務められている大橋壯樹先生にお話を伺いました。

 

病院外観(名古屋徳洲会病院ご提供)

名古屋徳洲会総合病院は1986年(昭和61年)、徳洲会グループ16番目の病院として、愛知県春日井市に開院しました。当院は、名古屋のベットタウンとして人気も高い、高蔵寺ニュータウンに位置しています。

開院当初のミッションとして大切にしていたことは、「24時間365日、断らない救急」を目指すことでした。当時は、救急患者のたらいまわしがこの地域でも問題になっていて、どうにかしなければならない喫緊の課題でした。

この地域の喫緊の課題を解消するために、民間病院だからこそのメリットをいかし、しがらみやバイアスに影響を受けることなく、地域に不足している救急医療を積極的に行っていこうという強い志を、病院全体で共有していました。

こうした開院当初の「断らない救急」という志が、現在にも脈々と受け継がれ、磨き続けてきたことで、救急科だけでなく、高度急性期医療を必要とする、心臓血管外科や循環器内科、脳神経外科や消化器診療部門などが発達しました。

また、救急医療や高度医療に必要な麻酔科も充実しており、常勤医7名(2018年8月現在)を中心に、日々研鑽を積んでいます。

 

救急隊の勉強会の様子(名古屋徳洲会総合病院ご提供)

 

大橋総長と病院職員の皆さん(名古屋徳洲会総合病院ご提供)

当院は、地元の春日井市だけでなく、名古屋市守山区、岐阜県東濃を中心とした、広いエリアに対応しています。

当院が力を入れている、救急医療、地域医療、そして高度医療をさらに充実させるには、老朽化の目立ち始めた旧病院以上に、診療機能を向上させる必要があり、2014年に現在の新病院へ移行しました。

広いエリアの救急患者の受入れをするために、救急ヘリポートを設置。また、高度医療を加速させるために、手術室と血管造影装置を組み合わせた「ハイブリッド手術室」や、手術支援ロボット「ダビンチ」などにも対応できる医療設備を導入しました。

また、旧病院以上に、医療技術向上の対応も強化しました。心臓血管外科では、東海地方でもいち早く「体内植込み型補助人工手術」を実施し、TAVI経カテーテル大動脈弁置換術やオフポンプ冠動脈バイパス手術、ステントグラフト内挿術の症例を着実に伸ばしています。

消化器診療部門では、消化器内視鏡手術を導入しており、傷口の小さな低侵襲手術により、患者さんの負担軽減に努めています。また、通常は消化器内科と消化器外科を分けて治療するところを、診療上のタイムロスを減らすため、ひとつのチームとして機能させています。治療が進むごとに、医師が変わることもなく、患者さんとそのご家族に、安心して治療に専念いただくための工夫をしています。

先ほどお話しした手術支援ロボット「ダビンチ」は、内視鏡下手術を支援するロボットです。従来の手術よりも傷口も小さく、患者さんの負担軽減につながります。保険適用の手術も増え、当院では、従来の前立腺がんの摘出だけでなく、肝臓がんの腎部分切除術など、その適用を広げています。

このほかの診療科も、それぞれが地域の要請に応える形で成長を続け、患者さんや疾病の対応が強化されてきています。まんべんなく地域のニーズに応えられるようになってきており、地域住民の安心につながっていると感じています。

当院では、救急医療や医療技術の求められる医療に加えて、緩和医療にも力を入れています。いわゆる終末期の患者さんのQOL(クオリティ オブ ライフ)を向上し、よりよい人生を送っていただくために、さまざまな試みを行っています。

このように、救急医療から緩和医療まで幅広く診療機能を持つことで、地域医療の充実のため、病院一丸となり、努力を重ねています。

地域医療を充実させ、地域の皆さまによりよい医療を提供し、この地に安心して住み続けていただくために、病院の診療機能の拡充は必要ですが、それと並行して、若手医師の育成も重要な要素であると思っています。

当院では、初期臨床研修医を積極的に受け入れ、育成に力を入れています。若いときから、この病院でこの地域に携わることで、地域の課題を理解しながら、救急医療や先端医療、緩和医療まで、さまざまな経験とスキルを磨いてもらいます。

たとえば、心臓血管外科の医師は、そのほとんどが、初期臨床研修からそのまま、この病院で働いています。チームワークも含めて、絆が強いと感じます。

こういった活動が花開き、若手の医師に使命感を持って働いている人が多いように感じます。病院全体のフットワークも軽く、各科の連携が密なことも、若手の医師がいきいき働いていることにつながっていると感じています。

使命感を持って働く医師は吸収力もよいように感じます。当院では、10年目の医師を中心に、裁量権を広く持たせて治療にあたっています。診療という実践経験を通じて、若手医師が急成長すると同時に、ディスカッションが生まれやすいので、チーム全体の士気が上がると思います。

学会の参加も促していて、臨床と研究発表をサポートしながら、他院の見学や研修も積極的に行ってもらうようにしています。また、医療の知識やスキルの向上支援だけでなく、医師として本当に大切な患者さんとそのご家族に向き合う姿勢も学んでもらっています。

患者さんのご家族や紹介元の医師やスタッフから、医師の態度は見られています。いい加減な態度や説明をする医師に、治療を任せたいと思う人はいるでしょうか。医師が真摯に患者さんとご家族、そして治療に向き合うことで、本当の医療がスタートします。一つひとつの態度が、病院の信頼につながり、この地に住まう人々の安心につながると考えています。

 

春日井心臓血管セミナーの様子(名古屋徳洲会総合病院ご提供)

名古屋徳洲会総合病院では、地域に密着した医療情報の発信にも力を入れています。そのひとつとして、一般市民向けの「医療講座」を開催しています。これは、地域の皆さまに医療の知識を身に着けていただき、病気にならない予防を目的に、平日はほぼ毎日開催しています。

また、心臓血管外科では、当院で手術をした患者さんとそのご家族を招いて年に1回「術後の会」を開催しています。2018年ですでに19回を数えています。参加者も200名を超え、バスで温泉に向かいます。

心臓リハビリの講演や術後の悩みについての質問を行い、温泉という非日常のなかで患者さん同士の交流が生まれ、不安の軽減や日常生活の質向上の一助になっています。年1回の大きなイベント以外にも、ハイキングや病院施設での催し物などを行い、術後の患者さんのケアも含めて、コミュニティを形成しています。

地域の医療関係者との連携も重要で、近隣の開業医の先生や病院と「顔の見える連携」に力を入れています。また、救急医療に欠かせない救急隊との連携も大変重要です。

当院では4か月に一度、地域の救急隊員を集って、医療と救急の連携のための合同勉強会を開催しています。15年間で50回近く開催をしており、近年では140名を超える方々に集まっていただいています。

これからの名古屋徳洲会総合病院は、患者さんや地域の人々にやさしいだけでなく、職員にも優しい病院を目指し、地域の方々からより信頼をいただける医療機関にしていかなければなりません。

若手医師のトレーニングを行い、優秀な医療人を育て上げ、患者さんと地域の皆さんの期待に応える病院であり続けたいと思っています。

 

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  • 名古屋徳洲会総合病院 心臓血管外科 総長

    大橋 壯樹 先生

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