成人脊柱変形とは、大人になってから発症する脊柱変形を指します。記事1では、成人脊柱変形の症状についてご説明しました。成人脊柱変形は、症状が軽度の場合には保存的治療を検討しますが、一方、重度の場合には手術を選択することがあります。
成人脊柱変形の診断、保存的治療、手術適応について、国家公務員共済組合連合会 九段坂病院の大谷和之先生にお話を伺います。
成人脊柱変形の診断では、まずは問診にて症状などを伺い、診察の後、基本的にはX線検査などによる画像診断を行います。
症状が軽度の脊柱変形であれば、まずは保存的治療を検討します。成人脊柱変形に対する保存的治療には、薬物療法、運動療法、外固定(コルセットなど)などがあります。一方、重度の症状が出ている場合は、外科的治療(手術)を検討します。
成人脊柱変形で、炎症や神経障害による痛みが症状としてあらわれている場合、以下のような薬物療法が有効とされています。
など
また、胃食道逆流症が主訴の場合には、プロトンポンプ阻害薬が有効とされています。
患者さんが女性の場合、骨粗しょう症を併存していることが多いです。そのような場合、新たに骨折して脊柱変形が悪化するのを防ぐために、積極的に骨粗しょう症の治療を行う必要があります。
骨粗しょう症の治療では、まず骨密度と骨代謝マーカーを測定し、患者さんの年齢と重症度を考慮して薬物療法を行います。
いくつかの薬物療法をご紹介しましたが、残念ながら、薬物療法は脊柱変形そのものに有効ではありません。そのため、これまでさまざまな運動療法が考案されてきました。たとえば、脊柱後弯のある高齢者に対する背筋運動療法は、背筋力の増強やQOL改善に有効とされています。
保存的治療の効果がみられず、脊柱変形による痛みやADL障害が大きいケースでは、手術による治療を検討します。その場合、以下のような点を考慮し、総合的に検討したうえで手術適応を判断します。
など
上記に加えて、手術を行う場合は「骨質」がよいと理想的です。
年齢はひとつの基準ですが、単なる暦上の年齢ではなく、患者さんの全身状態を考慮します。
国家公務員共済組合連合会 九段坂病院 整形外科部長
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