院長インタビュー

消化器分野に特化して専門性の高い医療を提供する山下病院

消化器分野に特化して専門性の高い医療を提供する山下病院
服部 昌志 先生

医療法人山下病院 理事長

服部 昌志 先生

目次
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愛知県一宮市で消化器疾患を専門にしている山下病院は、開院から100年以上の歴史を誇ります。消化器がんで苦しむ方を少しでも減らしたい、という思いのもと、消化器領域において専門性の高い医療を提供すべく、職員全員がそれぞれの能力を発揮しています。常に新しい医療機器を導入し、安全で患者さんへの負担が少ない治療を追求し続ける同院について、理事長の服部 昌志(はっとり まさし)先生にお話を伺いました。

山下病院
開院当初の山下病院

当院がこの尾張地方に設立されたのは、1901年のことです。私の曽祖父にあたる故山下隆が地域住民の方々からの要請を受けて開院しました。当時、尾張地方には病院がなく、1891年に発生した濃尾地震で大きな被害を受けた地域住民から、病院の設立を切望されたと言われています。そのような背景があり、当院は、地域に求められる医療を提供してきました。地域に密着した町の病院として、地域の皆さんには「山下さん」と呼ばれ、親しまれています。

山下病院 外観
山下病院 外観

当院は、1997年に、それまでの内科・外科・整形外科の3科による診療体制から、消化器を専門とした病院へ生まれ変わりました。消化器専門の病院にシフトした背景には、先代理事長の「大学病院の医療と同程度の消化器医療を地域で提供することで、皆さんを消化器がんから一人でも多く救いたい」という強い思いがありました。現在は、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)や腹腔鏡下手術による治療、大腸CT(バーチャル内視鏡)・カプセル内視鏡および造影超音波などによる検査など、非侵襲的で先進の消化器医療の提供に注力しています。

当院では、ご紹介いただいた患者さんの検査結果をその日のうちに出して、紹介元の先生へお返ししています。ご高齢の患者さんには予約のための来院、検査当日の来院や検査結果のための来院が負担になってしまうことがあります。また、一宮市は交通の便が都市部ほど栄えているわけではないことともあり、数回にわたった来院が患者さんの負担になってしまう場合もあります。患者さんが検査から結果まで1日で受け取れることで、患者さんの来院にかかる負担を減らすことができるだけでなく、検査結果を待つ間の不安な気持ちの軽減にもつながるのではと考えます。

初診の患者さんや紹介患者さんの診療の多くは、理事長である私か、専務理事の片山 信(かたやま まこと)先生が担当します。不安な気持ちを抱えて来院する患者さんが、少しでも安心して検査や治療に臨めるようにすることは、とても大事だと思います。初めていらっしゃった患者さんの「心」にひびく、「心」のこもった診療を心がけています。

紹介患者さんであれば、ご紹介元のかかりつけの先生がいらっしゃいます。そのかかりつけの先生が、「山下病院に相談して検査や治療を考えよう」と思ってくださっているのだと思います。その信頼に応えるためにも、我々が当院の入り口に立って診療することが、大事だと考えています。

また、我々が初診や紹介患者さんの診療を担当することで、ほかの医師が検査や治療に専念することができます。彼らが自身の専門性をさらに磨き、高いレベルの技術と知識を持ち合わせた診療をすることが、患者さんにとっても、地域のみなさんにとっても、よりよい医療貢献になると考えています。

明るく広々としたロビー
明るく広々としたロビー

一般的に食道・胃・十二指腸を検査するときは、口または鼻から内視鏡を挿入します。当院では、口からの内視鏡検査に比べて患者さんに苦痛の少ない経鼻内視鏡を推奨しています。

2019年現在、経鼻内視鏡は経口内視鏡に付いているスコープのスペックと遜色ないほどに改良が進むなど、我々専門病院でも使用可能なレベルだと思います。また、大腸の検査では、従来の大腸内視鏡検査より短時間で患者さんに苦痛の少ない大腸CT検査も実施しています。現在では、大腸内視鏡と大腸CTは検査としては同等に近い件数を行っています。

経鼻内視鏡や大腸CTなど、常に新しい医療機器を導入し、更新を続けることは、消化器の専門病院として、より先進的で高度な医療技術を追求するとともに、より安全で患者さんの負担が少ない医療を行ううえでも必要なことだと考えています。

消化器内科、消化器外科ともに、患者さんの体への負担が少ない方法として、可能な限り内視鏡を用いた治療を提供しています。たとえば、消化器内科では、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)に力を入れて実施しています。ESDは早期の食道がん胃がん大腸がんなどが対象の内視鏡下手術です。当院では2003年からESDの提供を開始し、着実に実績を重ねています。

消化器外科でも同じく、内視鏡手術のひとつである腹腔鏡下手術を実施しています。腹腔鏡下手術は、お腹に小さな傷を数か所開け、そこから器具を挿入して腫瘍などを切除する手術です。患者さんにとっては、傷が少なく、かつ傷跡が小さくて痛みも少ないので、回復が早いのが大きなメリットとなります。

検査や治療だけでなく、病気の予防やお腹の不調の改善につなげるために、腸内細菌外来(腸内フローラ外来)を開設しました。腸内細菌外来では、検査キットをお渡しし、ご自宅で採便していただきます。その検査キットを郵送してもらい、検査結果を外来で説明します。腸内細菌の検査結果からは、細菌の種類の多さ、主要な細菌の割合、腸内の菌構成などが把握できます。検査結果をもとに、医師や管理栄養士から食生活や運動の習慣づけなどの指導を受けていただき、お腹の不調の改善を目指します。

腸内細菌外来を開設以降、地域や近県だけでなく、関東地方や東北地方からも患者さんが来院されています。

腸内細菌外来は自由診療になります。

検査費用は、検査キットおよび管理栄養士指導料を合わせて17,000円(税別)です。また、検査費用とは別に診察代がかかります。

服部先生

お腹の病気のプロフェッショナルであると意識して診療にあたっています。地域の皆さんには「山下さん」と親しんでいただき、本当にありがたく思います。皆さんの期待に応えられるように、職員全員が知識や技術の向上に努め、より安心して医療を受けていただける環境をつくっていきます。「山下病院があるから、お腹の病気になっても安心できる」と思っていただけるように、今まで以上に努力を重ね、進歩していきます。

患者さんの「苦痛」を取り除くために、医師は存在していると思います。患者さんの考える「苦痛」はさまざまです。患者さんが歩んできた道、経験の数だけ考え方は変わってきます。「身体的な痛み」だけを取り除くのではなく、患者さん自身と向き合い、患者さんの求めていらっしゃるものを汲み取って、医療につなげていく能力が求められています。専門性を高めることは重要ですが、人を見て診療するという意識も必ず持ち続けてください。

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