院長インタビュー

中嶋病院が挑む医療と介護の橋渡し─地域に求められる医療と介護の提供を

中嶋病院が挑む医療と介護の橋渡し─地域に求められる医療と介護の提供を
富永 剛 先生

社会医療法人康陽会 中嶋病院 院長

富永 剛 先生

目次
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この記事の最終更新は2019年04月11日です。

宮城県仙台市宮城野区に位置する社会医療法人康陽会中嶋病院は、地域の救急医療に貢献すると同時に、回復期リハビリテーション病棟を備え、急性期から回復期リハビリテーションまでスムーズな医療提供を可能にしています。また、同法人は介護老人保健施設を3施設運営しており、法人内で医療から介護まで途切れることなくサービスを提供しています。同院について、院長の富永剛先生にお話を伺いました。

中嶋病院 外観
中嶋病院 外観

当院は1953年に開院して以来、地域の急性期医療の提供に貢献しています。現在は、回復期リハビリテーション病棟を2003年に開設したこともあり、急性期医療から回復期リハビリテーションまでスムーズな医療の提供が可能になりました。また、当院の運営法人の社会医療法人康陽会は、介護老人保健施設や訪問看護ステーションを運営しています。そのため医療から介護、そして在宅までの連携体制が整っていることも、特徴のひとつです。

この連携体制は、患者さんの生活背景やご家族のサポートなど、急性期の治療が一段落した後のことをスタッフの一人ひとりが見据えて対応しているからこそできることです。

リハビリテーションの様子
リハビリテーションの様子

救急搬送された患者さんは救急外来などでの治療が一段落すると、今度は在宅復帰を目指してリハビリテーションや在宅医療、施設入所など次のステップの医療を受けることになります。

当院では、患者さんがリハビリテーションを行っている期間中に、ソーシャルワーカーや入退院支援スタッフが、患者さんの退院後の生活を見据えて動き出します。たとえば、介護保険制度の申請、在宅医療の受け入れや入所施設の空き状況を調べるなどして、患者さんが退院する時にはこれらが整っている状態にしています。

また、在宅復帰が可能な患者さんには退院前に家屋調査を行うことがあります。家屋調査とは、室内に手すりは必要か、室内外の段差は日常生活で転倒のきっかけにならないかなど、患者さんの住居が退院後も安全に生活ができるような環境かどうかを調べることです。

康陽会では3つの介護老人保健施設を運営しています。いずれも当院から5km以内に位置しています。

なかでも「介護老人保健施設けやき」は、同じ建物に併設されているため、仮に入所者さんの容体が急変しても迅速に対応することができます。また、通所リハビリテーションも行なっており、在宅に戻ってからも、リハビリテーションを受ける事ができ、安心して生活することが可能となっております。

周辺の医療機関や救急隊員とも緊密に情報共有をしていて、当院では主に交通事故や転倒などで外傷を負った救急患者さんを受け入れています。

地域の高齢化も始まり外傷の患者さんも高齢の方が多くみられます。高齢の方に多い大腿骨近位部骨折(だいたいこつきんいぶこっせつ)で救急搬送された患者さんには可能な限り手術を行ってから、リハビリテーションへとつなげていきます。

当院では、大腿骨近位部骨折の手術の翌日からベッドでできるリハビリテーションを開始します。骨折した足ではなく、状態のよいほうの足の曲げ伸ばしを行うことで入院生活中の筋力低下を防ぎ、回復期リハビリテーション病棟での本格的なリハビリテーションに備えます。

リハビリテーションの様子
リハビリテーションの様子

リハビリテーションでは、患者さんの状態に合わせて、ある程度自立した生活が送れるようにするのか、復帰後も家事を行うのか、お仕事をするのか、など患者さんが退院したあとのことを想定してリハビリテーションを行います。ご自宅や施設に入所してもある程度自立した生活を送ることができるように、理学療法や作業療法、言語聴覚療法などを実施します。ほかにも、帰宅後の生活イメージを掴みやすくするため、買い物やバスの利用など退院後の生活を想定した院外リハビリテーションも実施します。

当院は、軽症から入院治療が必要な救急患者さんまで多く受け入れています。近隣の医療機関や救急隊員の方々には、大腿骨近位部骨折を疑われる患者さんのご紹介や搬送していただくことが多くあります。さらに、当院は回復期リハビリテーション病棟を設置しているため、近隣の医療機関で急性期医療が一段落した患者さんを受け入れ、在宅復帰に向けてリハビリテーションを実施しています。

反対に、変性疾患などは診療を得意としている医療機関が近隣にあるため、ご紹介という形で患者さんを受け入れてもらっています。

このように、医療機関同士で互いの得意な領域を補うことで、患者さんに対してより専門的な医療を提供することができると思います。

地域の高齢化だけでなく、認知症の患者さんの増加もみられます。認知症では認知機能の低下のため十分なリハビリテーションを行うことが難しいです。そのため認知症の進んだ患者さんに対するリハビリテーションでは自力で車椅子に乗ることを目標にしています。

認知症の患者さんは今後も増えていくことが予想されます。当院では認知症の診療におけるかかりつけ医のサポートとして、認知症サポート医の研修を受けた医師が多く所属しています。(2018年12月現在)

認知症サポート医が所属することで、院内だけでなく地域の認知症の診断や対応能力の向上に貢献できると思います。

一般的に、救急患者さんを多く受け入れている医療機関では、医師や看護師はプライベートの時間を取ることが難しいように思われています。当院では、救急搬送されることの多い病気や状態に対する対応マニュアルを作成することで、迅速な対応を可能にしています。そのため看護師の残業時間が少なく、勤務後にプライベートの時間を楽しんでリフレッシュすることができます。

医療から介護までの橋渡し役として、患者さんだけでなくご家族も共に見て、つなぎ目のない医療を提供しています。病気の治療が一段落したら終わりにするのではなく、患者さんが退院後も安心して生活していけるように、多くのスタッフが専門分野の能力を発揮してサポートしていきます。康陽会にかかれば安心だと思っていただけるように、今後も体制を強化しながら、時代に即した医療や介護、サポートを提供していきます。

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  • 社会医療法人康陽会 中嶋病院 院長

    富永 剛 先生

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