院長インタビュー

患者さんの体の機能回復に特化─病院らしくない病院を目指す熊本機能病院

患者さんの体の機能回復に特化─病院らしくない病院を目指す熊本機能病院
米満 弘一郎  先生

社会医療法人寿量会 熊本機能病院 理事長

米満 弘一郎 先生

目次
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社会医療法人 寿量会熊本機能病院(以下、熊本機能病院)は、熊本県熊本市北区で患者さんの体の機能回復のための医療を提供しています。同院は、患者さんの声を病院の建物の建設に反映させたりお子さんが入院しているお母さんへサポートをしたりなど、地域のニーズなどをくみ取り反映させることで、変化し続けています。地域のニーズに応える同院について、理事長の米満弘一郎先生にお話を伺いました。

熊本機能病院 外観

熊本機能病院 外観

当院は1981年5月に開院しました。開院当初から、整形外科の診療だけでなく、形成外科の診療やリハビリテーションの提供を行っています。整形外科分野での診療に特化しながら、機能全般の診療を実施できる、総合的な医療を追求する意味で、病院の名前に「機能」と付けました。

また、1986年にはリハビリテーションセンターを開設し、専門的にリハビリテーションを提供できる体制を整えました。現在でも、リハビリテーションセンターの見学に、医師やセラピスト、患者さん、なかには、海外からも来てくださることがあります。

急性期や回復期、生活期など、患者さんの状態によって適切な医療を提供する機関は異なってきます。当院は、体の機能に関係する整形外科や形成外科などの病気に対して、急性期から回復期、生活期のリハビリテーション、そして再発予防の為の保健活動などを一貫して提供しています。

当院では、診療科のほかにも16のセンターを設置しています。整形外科の病気や機能に関係する病気や症状の治療を充実させるため、それぞれの専門性を生かした診療を行っています。

また、循環器センターのように、地域の皆さんの力添えで開設したものもあります。この地域には循環器疾患に対応できる医療機関が少なく、当院からの要望でもありましたが、新たに診療科やセンターを開設するには医療機関や大学病院と密接な連携が必要なことから、なかなか開設に向けて動くことができませんでした。そのときに、地域の皆さんの間で署名活動が起こり、大学病院との連携もスムーズに行えるようになり、当院に循環器センターが開設しました。

ナビゲーションシステムを使用した人工関節置換術の様子

整形外科では、腰痛や膝痛などの症状の原因を調べるほか、外傷、股関節疾患などの病気に対する診療をしています。特に当院では、人工関節置換術に特化しており、ナビゲーションシステムを導入したことで、人工関節置換術の術後の不具合の解消や後遺症の低減につながっていると思います。

また、当院では、手指の再接着のためにマイクロサージャリー(手術用のルーペや顕微鏡を使って、微小血管や神経を縫い合わせる手術)を行っています。

形成外科は、やけど跡や血管腫など体の組織の変形や欠損に対して手術などを行う、機能的および形態的な正常さや美しさの向上を目的とした診療科です。形成外科も、整形外科と共に開院当初から開設している診療科で、専門的な治療を30年以上にわたり取り組んでいます。

当院では特に小児の形成外科に力を入れており、先天性疾患や口唇口蓋裂などに対する治療を実施し、地域の産婦人科や小児科、皮膚科、整形外科と連携し、早期からの治療を心がけています。

リハビリセンター 内観
リハビリセンター 内観

当院は開院当初から、「病院らしくない病院」をコンセプトにしています。これは、患者さんが治療やリハビリテーションにポジティブに向き合ってほしいという気持ちのあらわれです。患者さんのなかには、病気であることや事故などにあったことで気持ちが沈んでしまい、また病院の持つ独特な雰囲気に苦手意識を持つ方もいらっしゃると思います。当院では、患者さんや患者さんのご家族が病院や治療に対してマイナスイメージを抱かないよう、まずは建物からさまざまな工夫を凝らしています。

たとえば、病院に入ってすぐの廊下に赤い絨毯を敷いています。なかには、病院に赤色を使うのはあまり好ましくないと思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、患者さんが赤色を見ることで気持ちが明るくなるのであれば、取り入れてもよいのではないでしょうか。そう考えて、さまざまなところに色を使って、院内が明るく楽しい雰囲気になるようデザインしています。

地域交流館
地域交流館

2016年に新病棟をグランドオープンした際、入院している患者さんに、どういうことで困っているのか、どういう部屋がよいのかなど、多くのご意見をいただき、設計に患者さんの声を多く取り入れました。

当院は、病院らしくない病院であると同時に、社会のさまざまな方が集まれる病院でもありたいと思います。健康な方でも病院を地域の交流の場として活用していただき、もし不安な症状や体調不良があれば気軽に相談できる場所になりたいと思います。

ママフリーサービス

当院はお子さんの入院も多く、ご家族だけでなく、お母さんへのサポートも必要になってきます。そこで当院では、お子さんが入院中のお母さんへのサポートサービスを開始しました。ご自宅と病院の往復のサポートや、お母さん自身の栄養のサポート、そのほか、看護師や保育士がお子さんをお預かりして、その間お母さんには自由に過ごしてもらっています。これも地域の方々や患者さん、そのご家族のニーズに応えていくなかでうまれたサポートです。ぜひ利用してください。

当院は、患者さんが安心して病院らしくない病院にかかっていただけることを目指しています。患者さんたちと共に作り上げていく病院として、これからも地域の皆さんのご意見をくみ取り、反映するために力を尽くしていきます。病院に行くことや、入院中も緊張したり不安に思ったりすることがないよう、工夫しています。何か不安な症状や体調が思わしくないときにはお気軽に受診してください。