院長インタビュー

リウマチ専門病院として地域と医療をつなぐ道後温泉病院

リウマチ専門病院として地域と医療をつなぐ道後温泉病院
大西 誠 先生

医療法人千寿会 道後温泉病院 理事長

大西 誠 先生

目次
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この記事の最終更新は2019年07月26日です。

愛媛県松山市に位置する医療法人千寿会 道後温泉病院(以下、道後温泉病院)は、地域でリウマチ性疾患の診療を行っています。一般的なリウマチ性疾患の診療はもとより、リウマチ性疾患で急性期医療を受けた患者さんの回復期リハビリテーションや慢性期医療を担い、地域の医療機関と緊密な連携を実践しています。同院について理事長の大西誠先生にお話を伺いました。

道後温泉病院 外観

道後温泉病院 外観

当院は1982年に開院し、リウマチ性疾患の専門病院として地域に医療を提供しています。開院時にはリウマチ性疾患専門病院として、近隣の医療機関と切磋琢磨してきました。しかし、今後は急性期医療が一段落したあとに在宅復帰や施設入所に向けたリハビリテーションを実施する医療機関が必要になると感じ、回復期リハビリテーションや慢性期に力を入れるようになりました。そのため、現在は当院をリウマチ性疾患のかかりつけ病院としてくれていた患者さんや急性期病院から転院し、合併症などの急性期治療後のリハビリテーションを必要とする患者さんに対して回復期医療を提供しています。地域の医療機関と機能分担することで、急性期医療が一段落した患者さんがスムーズに回復期リハビリテーションや慢性期の治療を受けることできるようになったと思います。

また、当院に転院された患者さんの術後の創処置やリウマチの治療も継続して実施し、状態によっては内科的治療の継続、あるいは心臓リハビリテーションを行うこともあります。

道後温泉病院 エントランスホール

道後温泉病院 エントランスホール

現在は、地域でリウマチ性疾患の治療を実施している急性期病院と密接な連携体制を整えています。急性期病院での治療後、在宅復帰や施設入所に不安の残る方に、回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟で在宅復帰に向けたリハビリテーションを提供しています。また、地域包括ケア病棟は、在宅復帰後や施設入所後に合併症等で入院治療が必要な患者さんを受け入れ、治療にあたっています。

特に、松山赤十字病院や愛媛県立中央病院と密接な連携をすることで、急性期治療が一段落した後の患者さんに対するスムーズな診療を可能にしています。

名湯、道後温泉を引き湯している浴室

名湯、道後温泉を引き湯している浴室

当院では、連携している松山赤十字病院と定期的な合同カンファレンスを実施しています。

松山赤十字病院は、急性期のリウマチ性疾患の診療を多く担っています。合同カンファレンスは、同院と密接な連携をしていくなかで、急性期の段階ではどのような治療を実施したのか、回復期や慢性期ではどのような治療やリハビリテーションを実施したのか、お互いに知る機会を設けたいと考え、開始しました。医師や看護師、管理栄養士、リハビリテーションスタッフがそれぞれ集まり、治療の状況などについて話し合います。たとえば、重症合併症で立ち上がることしかできなかった患者さんが、転院後のリハビリテーションで歩けるようになったことを報告したこともありました。

当院は急性期病院で実施している治療やリハビリテーションを学べ、松山赤十字病院にとっては慢性期病院で実施している治療やリハビリテーション、患者さんの経過を知ることができる機会になっていると思います。

カンファレンスの様子

カンファレンスの様子

リウマチ性疾患の急性期医療も担う

リウマチ性疾患の急性期医療も担う

急性期の治療が一段落した患者さんの受け入れだけでなく、当院をかかりつけの病院としてくれている患者さんの手術も実施しています。また、内科的合併症の治療や人工関節置換術も実施するなど、リウマチ性疾患の治療は急性期も対応しています。脊椎疾患などのより高い専門技術が求められる手術が必要な患者さんは、その治療を行える病院を紹介しています。

リウマチ性疾患の専門病院として、リウマチ性疾患の診療は急性期も提供しています。

足湯もある屋外のリハビリスペース
足湯もある屋外のリハビリスペース

リハビリテーション科では、脳血管リハビリテーションや運動器リハビリテーション、心臓リハビリテーションを実施しています。また、患者さんの状態に合わせてリハビリテーションのゴールを設定し、担当医師が1か月後に設定したゴールまでどの程度進んでいるか確認しています。

地域包括ケア病棟に入院した患者さんに対しては、その週に医師や看護師、リハビリテーションスタッフ、管理栄養士がカンファレンスを行い、患者さんの状態を確認します。そこで、患者さんのADLや介護保険の申請を考慮し、リハビリテーションのゴールを考えます。そのときには、本人やご家族が望むゴールになっているのかも考えながらゴールを設定します。

また、在宅復帰ではなく施設へ入所する予定の方には、自分1人で立てる、歩行器を使用しての自走が可能、1人でトイレに行くことができる状態になるようにリハビリテーションを行います。

大西誠先生

医療制度は今後、さらに変わってくると思います。軽症だと思われるときには、急性期の医療機関で医療を受けることが難しい場合があります。地域のなかで病院の機能分担を行い、手術治療が必要な患者さんを受け入れる医療機関や、症状が安定している患者さんに在宅復帰や施設入所に向けたリハビリテーションを提供する医療機関などがあります。また、軽症だと思われる患者さんはお近くのクリニックや診療所での診療をお願いすることになるかと思います。地域の医療機関の機能を知っていただき、医療機関を使い分けてほしいと思います。

当院は、看護師やリハビリテーションスタッフとのチーム医療を実践しやすい環境です。内科や整形外科をはじめとした各診療科間の垣根がなく、困ったことや悩みがあるときには気軽に相談しやすい雰囲気だと思います。たとえば、病棟回診や普段の診療は内科医師と整形外科医師が一緒に行います。

普段の診療から内科医師が関わっているため、整形外科医師は患者さんが入院後に肺炎などの内科疾患にかかったときに、どのように治療するのか、何を用意しているのかなどを確認することができます。また、内科医師は術後の患者さんのゴール設定に対して、どういう部分がチェックポイントになるのか、整形外科ではどういう部分を見ているのかを間近で確認し、知識を深めていくことができます。

医師同士で協力し、多職種間で連携して診療に取り組んだ経験は、今後の医師の仕事のなかできっと役に立つはずです。

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