幼い子どもは、自分が熱を出したとき、それを言葉で周囲に伝えることができません。しかし、自分の体が変化しているような違和感を覚えた結果、一日中寝ている、何となく元気がなさそうにしているなど、行動変化を示すことがあります。子どもの発熱に気づいたとき、親御さんは何に注意すればよいでしょうか。どのようなときに急いで病院を受診すべきなのでしょうか。子どもが発熱したときに親御さんが注意するべきポイントを、横須賀市立うわまち病院副管理者・小児医療センター長の宮本朋幸先生にお話しいただきました。
子どもの発熱では、まず、「熱の高さだけにとらわれないこと」を念頭に置いていただきたいと考えます。
一般的に、「熱が高いと重い病気なのではないか」と考えられることが多いです。しかし実際には、熱の高さは病気の重症度には関係しません。37℃台の熱で重篤な病気にかかっているときもあれば、40℃以上の高熱であっても重大な病気ではないときもあります。
子どもが39℃以上の高熱を出すことは、決して珍しいことではありません。高熱によって脳に影響が及ぶのではないかと心配に思う方もいらっしゃいますが、40℃以上を示す場合でも、発熱によって脳機能が侵されることは基本的にないと考えてよいです。
では、子どもが熱を出したときは、何に注意すればよいのでしょうか。私は、子どもの「元気のなさ」に着目することが大切だと考えています。
下記のいずれかに該当する場合は、時間帯にかかわらず、早急に医療機関を受診してください。
生後3か月未満の乳児が38℃以上の熱を出した場合は、ただちに医療機関を受診してください。医師が、一時的な発熱か、別の重大な病気であるかを判断します。
生後3か月未満の乳児は、まだ免疫機能が不安定な状態で、髄膜炎や敗血症などの重症細菌感染症によって発熱していることがまれにあります。
どのような状態であるかを見極めるため、生後3か月未満の乳児の発熱では、自己判断をせず、一度医師の診察を受けることが大事です。
熱を出した子どもは、食欲がなくなり、食事を摂らなくなってしまうケースも多くみられます。食欲の低下は発熱時に一般的にみられる症状であるため、一時的に食欲がないだけで水分摂取ができていれば、大きな心配はいりません。
ただし、繰り返し食べ物を嘔吐する場合や、長時間食事を摂れないでぐったりしてしまう場合は、日中はかかりつけの病院を受診、時間外は#8000、#7119のコールセンターなどを利用し、受診の必要性・受診できる医療機関を相談しましょう。
前項で解説したような状態とは逆に、話しかけると反応する、動いたり泣いたりできるほどの元気がある、普段通り遊びたがる、顔色がよいなど、熱があっても子どもの様子に大きな変化がない場合は、1日自宅で様子をみても問題ないでしょう。
ここでの「顔色がよい」とは、顔が熱を持ち、頬が赤くなっているような血色のよい状態です。反対に「顔色が悪い」とは、顔が青白く、血色がない状態を指します。
自宅で子どもの様子をみるときのポイントは、「記事2」で詳しく説明します。
一晩自宅で様子をみたところ、翌朝には子どもの熱が下がっていたというケースも考えられます。このとき、熱が下がったからもう大丈夫だろうと安心してそのまま医療機関を受診しない方がいますが、子どもの場合、その日の夜になって再び熱が上がる可能性があります。翌朝に解熱していても、その日の昼間には医療機関を受診していただくことを推奨します。
医師は、子どもの全身の状態を、「SAMPLE(サンプル)」と呼ばれる簡潔な病歴聴取から評価します。
受診時には、医師や事前に問診に来た看護師などに「メインの症状(Symptom)」、「アレルギーの有無(Allergy)」、「今飲んでいる薬(Medication)」、「過去にかかった大きな病気(Past medical history)」、「最後に食べたものとその時間(Last meal)」、「症状はいつから出ているか、どのような経過か(Event)」を教えていただけると、スムーズな処置が可能です。現在服用中の薬が書いてある「お薬手帳」を持参していただいても構いません。
横須賀市立うわまち病院 副管理者・小児医療センター長
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