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公開日 2017 年 03 月 16 日 | 更新日 2017 年 10 月 20 日
横須賀市立うわまち病院 小児医療センター
宮本 朋幸 先生
神奈川県横須賀市にある横須賀市立うわまち病院は、三浦半島の小児入院医療の約90%を担っています。今回は横須賀市立うわまち病院小児医療センター長の宮本朋幸先生に、病院の特徴、今後の構想を中心にお話をうかがいました。
うわまち病院の小児科では、地域の医療機関と密に連携しながら患者さんの治療にあたっています。紹介率が約70%、逆紹介率が約170%と全国平均と比較すると非常に高い割合となっているのが特徴です。
紹介率とは受診される患者さんのうち、他の医療機関からの紹介状を持って受診される患者さんの割合で、逆紹介率とは当院から他の医療機関に紹介状を書いた数の割合です。
紹介率・逆紹介率が高いということは、地域医療機関の連携が非常にうまくいっていることを意味しています。
総合病院でしかできない治療・検査は総合病院で行い、総合病院以外でも処置が可能な治療は近隣の医療機関で行う。そして、その患者さんが重症化してしまった場合には再びうわまち病院に戻っていただき、我々が責任をもって治療する。円滑な病院間の連携は、結果的に患者さんの負担を減らし、必要な医療を必要な場所でしっかりと受けられることにつながります。
うわまち病院の特色の1つとして、各科の垣根が低いことが挙げられます。小児科でも様々な科と連携をしながら、病院全体で患者さんの治療を進めています。
うわまち病院には、小児科と循環器科との連携から誕生した成人先天性疾患センターという施設があります。
通常の心臓には左心室と右心室の2つの心室がありますが、ごく稀に生まれつき心臓の壁に穴が開いていたり(心室中隔欠損・心房中隔欠損)、心室がひとつしかない(単心室)ことがあります。このように生まれつき心臓に異常がある状態を先天性疾患といいます。
今まで、子どもの頃に先天性心疾患の手術を受けた患者さんが成人になってからは、患者さんはどこで診療を受ければいいか困っていました。小児科では大人特有の疾患や診療に精通していないし、一般の循環器科では小児特有の心疾患に不慣れであるし、それが患者・医療側双方の悩みでした。
そこで、成人に達した心疾患患者さんを総合的に診療することのできる小児科、循環器科、救急総合診療部、総合内科、心臓血管外科で組織される、成人先天性心疾患センターを立ち上げました。成人先天性疾患センターでは、上記各科のうちふさわしい科が主診療科となり、そのほかの科もチームで診療にあたります。この協力体制によって、患者さんが成人に成長してからも、しっかりとしたサポート体制を整えられるようになりました
一般の方にはあまり馴染みがないかもしれませんが、多くの医師はそれぞれ専門分野を持った専門医です。専門医とは、通常の医師の資格を持ちながらも、専門的な知識や技術を習得し、各学会などで専門医と認定された医師のことを指します。
2017年3月、うわまち病院の小児科には医師が10人在籍していますが、うち8人が小児科専門医を有し、循環器、アレルギー、内分泌、腎臓、神経、消化器、発達評価、小児外科など様々な専門診療にもあたっています。
幅広い裾野の総合的な知識や実力がないと、ある分野における高い専門性は確立できません。うわまち病院小児医療センターのの医師達は、自分の専門分野以外の患者さんの診療にも必ず関わります。1つの高い専門性を持ちながらも小児診療のすべての分野をカバーできる医師が揃ったチーム作りを目指しています。
うわまち病院には、子どもの気持ちだけを考え治療をサポートするチャイルドライフスペシャリストとチャイルドケアスタッフが各1名ずつ常勤しています。
チャイルドライフスペシャリスト(CLS)とはアメリカの資格であり、治療中の子どもやその家族の精神面を支える専門職です。
例えば、処置をする前には子どもが心の準備をできるようサポートしたり、処置中は気を紛らわせたりと、患者さんの心のストレスや不安を取り除く役割を担います。
また、病児を抱える両親はどうしても病児のことにかかりきりになってしまい、その兄弟が寂しい思いをしてしまいます。そうならないために、病児と一緒に病院内で勉強したり、母親が側にいられない間、その兄弟に付き添ってあげたりすることもCLSの大きな役割です。さらに、子どものケアだけでなく、子どもを亡くした親御さんに対しても心のケアを行います。
CLSはアメリカの医療教育を受けているので、日本の医療現場に馴染むまでに時間がかかるという問題点があります。そこで、日本でもCLSと同様の役割の資格を作ろうという背景がありました。そうして生まれた職が、チャイルドケアスタッフ(CCS子ども療養支援士 )です。CCSは、すべて日本で教育が受けられ、うわまち病院も研修施設の一つとなっています。
私がうわまち病院にきた2004年当時は小児科病棟がなく、小児科の外来患者さんは1日10人程度、入院患者さんは1人いるかいないかという状態でした。そこでチーム一丸となって努力を重ねた結果、三浦半島の中核を担うまでに成長しました。
子どもの数は減少傾向にありますが、先にご紹介した通り、うわまち病院には幅広い実力を持った多くの小児科専門医とメンタルケアのできるスタッフ、そして成人先天性疾患センターなどの施設があります。高度な医療を必要とする重症の子どもたちと保護者の皆様の期待に応えられるよう、これからも専門性を高めていきたいと思います。
横須賀市立うわまち病院ホームページ(小児医療センター)はこちら
横須賀市立うわまち病院 小児医療センター
宮本 朋幸 先生
横須賀市立うわまち病院小児医療センターをセンター長として、三浦半島の小児入院医療の約90%を担うまでへと成長させた。また、病院の研修プログラムディレクターとして、幅広い専門分野に対応できる医師の育成にも力を注いでいる。
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