突然全身に大きなけいれんが起こるなどの症状が現れるてんかんは、子どもや高齢者に多く見られる脳の病気です。
今回は、てんかんなどの小児神経疾患を専門とする、横須賀市立うわまち病院の小児科の角 春賢先生に、子どもに起こるてんかんの種類や症状についてお話を伺いました。
てんかんとは、脳にある神経細胞の過剰な放電が起こることで、突然全身が大きくけいれんするなどの症状が現れる病気です。また、てんかんではこのような症状を反復します。
てんかんと同様に、全身のけいれんが現れる病気に熱性けいれん*があります。よく熱性けいれんを起こしたお子さんの保護者の方から、「熱性けいれんは、てんかんですか?」と質問を受けることがありますが、てんかんとは違います。
熱性けいれんは、年齢を重ねるにつれてけいれんを起こさなくなってきます。そのため慢性の病気であるてんかんとは、違う病気と捉える必要があります。
*熱性けいれん:発熱に伴って起こるけいれん。生後半年から6歳前後の子どもに起こる
てんかんを発症しやすいのは、乳幼児を中心とした子どもと、80歳以上の高齢者です。80歳以降になると小児よりも発病率が高くなります。
てんかんの原因はさまざまです。いろいろな検査をしても異常が見つからない原因が不明のものもあれば、脳炎や脳症、脳出血、脳梗塞、頭部外傷などが原因で起こることもあります。
てんかんは、脳の神経細胞が過剰に放電している範囲によって大きく「焦点性てんかん」と「全般てんかん」に分類されます。
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てんかんの診断でまず大切なことは、焦点性てんかんと全般てんかんのどちらのタイプかを適切に見極めることです。なぜなら、焦点性てんかんと全般てんかんでは、効果のある抗てんかん薬(てんかんの症状を抑え込む薬)が異なるためです。
たとえば、焦点性てんかんの患者さんに、全般てんかんの抗てんかん薬を処方しても、効果が不充分なことがあります。適切な治療につなげるためには、診断時にてんかんのタイプをしっかりと見極めることが重要です。
次章からは、焦点性てんかんと全般てんかんのうち、子どもによく見られるてんかんについて解説します。
焦点性てんかんのうち、子どもに見られる主なてんかんが「中心・側頭部に棘波をもつ良性小児てんかん」です。
中心・側頭部に棘波をもつ良性小児てんかんは焦点性てんかんのひとつです。4~9歳の子どもに多く見られ、原因不明で発症します。数年間の抗てんかん薬の内服を行い、通常は年齢を重ねるにつれて治っていきます。
子どもに見られる全般てんかんには、主に「小児欠神てんかん」「若年欠神てんかん」「若年ミオクロニーてんかん」、大発作(確定間代発作)を主徴とするてんかんなどがあります。
小児欠神てんかんの主な症状は、欠神発作です。欠神発作とは、突然意識がなくなり、10秒程度の間にわたって動作を中断する、呼びかけに反応しなくなるなどの症状が起こることを指します。
小児欠神てんかんは、4〜10歳の子どもに多く見られることが特徴です。
若年ミオクロニーてんかんでは、発作によって、持っているものを落としたり、投げ飛ばしたりすることがあります。12〜18歳の子どもに多く見られます。
抗てんかん薬を服用している間は症状を抑え込むことができますが、服用を中止したときに再発することがあります。
横須賀市立うわまち病院 小児科 科長
角 春賢 先生の所属医療機関
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