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院長インタビュー

備後地区の中核病院として地域完結型医療を目指す福山医療センター

備後地区の中核病院として地域完結型医療を目指す福山医療センター
稲垣 優 先生

福山医療センター 院長 岡山大学医学部医学科 臨床教授

稲垣 優 先生

目次
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独立行政法人国立病院機構 福山医療センターは、広島県福山市を中心として同県東部・岡山県西部などをカバーする備後地区の中核的な病院です。紹介患者さんへの医療の提供や救急医療の対応はもちろんのこと、医療機器の共同利用や医療従事者の研修も行うなど、かかりつけ医をサポートする機能も備えています。

同院の運営方針や診療体制の特徴などについて、病院長の稲垣優先生にお話を伺いました。

福山医療センター 外観
福山医療センター 外観

1908年に福山衛戍病院として創立した当センターは、1945年に国立福山病院、2004年に国立病院機構福山医療センターとなりました。当センターは、以下の2つの方針を大切にして運営しています。

組織として、徹底的に無駄を省いた機能的(Functional)な病院運営を行います。またスタッフとしては、仕事は笑顔で(Smile)、迅速に(Speed)、誠心誠意で(Sincerity)、患者さんに寄り添い(Sympathy)、各自の専門性を高める(Speciality)べく努力しています。

全てのスタッフが、医療従事者として技量を磨き、自己研鑽を重ねることで、よりよい病院を作り上げていきます。

当センターは備後地区の中核的な病院としてさまざまな医療を提供していますが、特に次の2つの医療については、人的・物的パワーの充実をはかっています。

HCU

HCU

当センターは、地域における2次救急医療の中核的な機関として稼働することに加え、いわゆる「2.5次救急医療施設」として、2次救急と3次救急のすきまを埋める存在でもあります。2019年5月からは、超急性期を脱した患者さんや緊急入院患者を受け入れるHCUを本格稼働させて、従来のICU4床とあわせて救急医療の体制をさらに整えました(2019年9月時点)。

当センターは地域周産期母子医療センターに指定されるなど、広島県東部地域における周産期母子医療の中核的な施設として位置づけられています。さらに2019年3月には、母体胎児集中治療室(MFICU)6床および陣痛分娩室(LDR)1床を新築し、産科3次救急の受け入れ体制を広げています(2019年9月時点)。

当センターでは薬剤部・放射線技術部など22の部門と小児医療センターなど10のセンターによる診療体制を敷いています(2019年9月時点)。いずれの組織も独立して稼働するのではなく、常にチームで行動することで、患者さんへの適切な治療が何かを模索します。

また、各診療科をつなぐ医療連携支援センターも当センターの特徴です。専属の医師、看護師、医療ソーシャルワーカーが患者さんやご家族からの相談に対応し、治療や生活面の不安を解決できるよう尽力します。

NICU
NICU

小児医療センターは、小児の幅広い病気に医療を提供できるよう小児科・小児外科・小児泌尿器科・新生児科で構成しています。

診療の核となるのが、地域周産期母子医療センターとして運営する新生児の診療です。NICU(新生児集中治療室:12床)とGCU(新生児治療回復室:12床)総計24床(2019年9月時点)を有し、双胎妊娠の帝王切開分娩などの3次救急の受け入れ体制を整えています。当院が設置していない心臓血管外科や急性期の脳神経外科などについては、近隣の医療機関の協力を得ることで、備後地区内で実践しています。

LDR
LDR

当院の周産期に対する取り組みは長く、1983年の「母子医療センター」の開設にさかのぼります。1999年には「地域周産期母子医療センター」に認定され、以来20年に渡り備後地区における母子医療の中核施設として運営してきました。2019年3月には母体胎児集中治療室(MFICU)6床および陣痛分娩室(LDR)1床を設置し、さらに周産期母子医療センターの充実を図っています。備後医療圏の周産期母子医療の中核として、産婦人科医師の1年365日の当直体制を敷くべく人材確保に努め、2019年10月からは産婦人科医2名増員となり、今後MFICUの稼働を予定しています。将来的には備後医療圏の「総合周産期母子医療センター」の認定を目指しています。

MFICUを設置
MFICUを設置

入院する患者さんやご家族をサポートするため、2017年度に入院退院支援の体制を強化しました。体制強化後の大きな特徴が「PASPORT」です。これは「Patient Admission Support&Perioperative Care Team」の略称で、患者さんの入院支援や周術期管理を専門に行うチームです。PASPORTでは、患者さんやその家族を医療チームの一員と考えます。入院前から退院後まで一貫してPASPORTメンバーがサポートすることで、患者さんへのきめ細かな医療の提供を目指します。

PASPORTでは、多職種からなるチームを構成し、これまで個別に活動していた組織を統括しました。主治医・麻酔科の医師・看護師・薬剤師・管理栄養士・理学療法士・歯科衛生士・ME(臨床工学技士)・医療ソーシャルワーカーなどからなる医療チームを結成し、一人ひとりの患者さんを支援しています。

主な支援内容は次の5つです。

  • 入院前の個別面談(生活歴、病歴など)
  • 薬剤履歴の確認
  • 治療・検査の過程、入院前後に心掛けてもらうことの説明
  • 入院生活や治療に対する疑問の解消
  • 地域医療機関・介護療養型医療施設等への転院支援、退院後の自宅での生活支援

特に高齢の患者さんの場合、退院後の生活支援や転院先との連携はQOL(生活の質)に直結する問題ですので、十分に配慮するよう心掛けています。

麻酔科指導医・専門医:友塚直人先生

当センターは地域の救急医療や周産期医療を担う中核的な病院として、地域の皆さんにより適切な医療を提供することを責務としています。これからも、地域の医療機関と密に連携しつつ、当院に対する皆さんの期待に応えられるよう、医療体制の充実をはかってまいります。

初期研修医としての2年間を大切にしましょう。専攻分野を決定した後は、ほかの分野の臨床に直接触れる機会はほぼなくなります。特に外科の研修には積極的に参加して、ご自分の医師としての見聞を広げる機会としてください。