医療法人 済衆館 済衆館病院(以下、済衆館病院)は、愛知県北名古屋市に位置する病院です。同院の使命は、地域の皆さんの必要とする医療を提供し、いかなるときもサポートすることであると理事長である今村康宏先生はおっしゃいます。
地域の皆さんが、住み慣れた地域で一貫した医療が受けられるよう尽力するスーパーケアミックス病院を目指して尽力中の同院の取り組みについて、今村先生にお話を伺いました。
当院は、1914年当初は産婦人科病院として開設されました。その後、地域の皆さんが必要とする医療を提供するために、診療科の充実や病床転換をして、ケアミックス病院となりました。
ケアミックス病院とは、急性期・回復期・慢性期・在宅医療といった、幅広い病期の患者さんの症状に対応し、一人ひとりの患者さんの要望に応えることができる病院です。当院では、ケアミックス病院としての医療の実現に加え、地域の皆さんが求める医療に可能な限り対応していく病院を「スーパーケアミックス病院」と呼んでいます。具体的には、急性期・回復期・療養・緩和ケアといった各病棟が明確な役割を担いながら、密接に横連携することが「スーパー」たるゆえんです。
当院は急性期2病棟、回復期・地域包括ケア病棟3病棟、療養病棟1病棟、緩和ケア病棟、介護医療院の計8病棟体制(2026年5月時点)でスーパーケアミックス病院を目指して尽力しています。
当院は、地域の皆さんが住み慣れた地域で、いかなるときも一貫した医療が受けられるよう、スーパーケアミックス病院の実現を目指し、医療体制を整備してまいります。なお、当院が位置する北名古屋市と、周辺の清須市・豊山町(人口約17万人)は公立・公的病院がないエリアです(2026年5月時点)。そのため当院はこの地域の市民病院的な役割を担いながら、救急から療養・緩和ケアまで全段階に対応し、地域の皆さんを支える基盤としての役割を果たしています。
脳神経外科は、脳梗塞やくも膜下出血などの緊急の対応が必要な病気を扱っています。そこで脳神経外科では、脳動脈瘤や脳梗塞に対するカテーテルを用いた脳血管内治療に力を入れています。
脳血管内治療は、カテーテルを用いることによって切開部を小さくし、出血や痛みを抑えることで、患者さんの体の負担を軽減しています。
脳神経外科では、今後も患者さんの体の負担を可能な限り少なくする治療の実施に努めていきます。また、脳血管内治療に加え、脊髄の手術や水頭症の治療といった神経外科的治療にも対応しています。
手の外科の治療は、整形外科領域のなかでも指や手などの病気やけがに特化した診療を行っています。
手の手術は繊細な手術手技が求められます。そこで当科では、適宜、顕微鏡を用いて手術を行っています。
また、大学の手外科グループと連携しており、日本手外科学会が認定した手外科専門医の常勤医に加え、複数の非常勤医が在籍しています。手外科の診療を専門的に行える施設が地域に少ないなか、近隣からの紹介にも対応しており、地域における手外科診療の一翼を担っています。
病気は早期発見・早期治療が重要です。痛みや違和感をそのままにして、我慢を重ねてしまうことがないよう、早い段階でご相談いただきたいと切に願っています。その取り組みの1つとして、排便の悩みから大腸や小腸などの病気を早期発見することを目指しIBDセンターを設置していますので、お悩みの方はぜひご相談ください。
高齢化とともに心不全を有する患者さんは増加の一途をたどっています。当院では薬物治療と並行して心臓リハビリテーションはじめ多職種によるケアを通して心機能の維持向上を図り、すこしでも長く住み慣れたご自宅で生活できるよう、連携する高次機能病院や地域のクリニックの先生方とともに活動を展開しています。
腎・透析センターでは、通院および入院での透析治療にも対応しています。
透析治療を行っている患者さんは合併症を抱える患者さんも多くいらっしゃいます。そこで各科と連携し透析治療を行うだけでなく、患者さんが心地よく治療を受けることができるよう清潔で快適な環境を整備しています。
放射線科では、IVR(Interventional Radiology)に注力しています。IVRとは、主にCTやX線透視検査での画像診断をしながら実施する血管内治療を指します。
IVRによる治療は、カテーテルを用いた血管内治療を行うため、切開創が小さく痛みを抑えることができる治療です。具体的には、下肢の血行障害に対する足の血管治療や、肝臓腫瘍(かんぞうしゅよう)への低侵襲治療(ていしんしゅうちりょう)などのIVR治療に対応しています。
さらに、放射線科では「PTEG(ピーテグ)」と呼ばれる治療にも対応しています。PTEGは、胃切除後など通常の胃ろう造設が困難な患者さんに対し、食道を経由して行う栄養チューブの造設術です。この手技は実施可能な施設が少なく、他院や大学病院から当院が相談を受けることもあります。
病気の早期発見・早期治療と同様に重視するべきは、日常生活に復帰するためのリハビリテーションであると考えています。
当院では、リハビリテーションセンターを設置し、地域の皆さんが住み慣れた地域で生活を続けるためのサポートをします。リハビリテーションセンターでは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士による患者さんそれぞれに応じたさまざまなリハビリを提供しています。今後は、ロボットを用いたリハビリの提供にも注力していきます。
当院にはリハビリスタッフが96名在籍しています(2026年4月時点)。病気によっては入院当日からリハビリを開始するなど、早期介入を徹底しています。急性期から療養・緩和ケアまで全病期を通じて、一貫した方針でリハビリを提供している点も特徴といえるでしょう。
さらに、心臓リハビリテーション(心リハ)にも注力しています。専用の運動負荷試験装置を用いたリスク評価(CPX)のもと、外来・入院共に心リハを実施することで、増加する心不全患者さんの再入院予防や生活機能維持を目指しています。

当院は、患者支援センターを設置し、退院後も必要な医療を受けることができるようさまざまな支援を行っています。たとえば、当院を退院する患者さんに対して、通院でリハビリを行うデイケアセンターや訪問看護サービスなどを紹介しています。患者さんのご希望や症状に応じて、看護師や医療ソーシャルワーカーといった専門知識を持つスタッフが支援を担当しています。
このような取り組みによって、地域の皆さんが在宅復帰に向けて切れ目なく医療を受けることができるようサポートいたします。
スーパーケアミックス病院を目指す当院が最も重視するのが、多職種連携です。
私たちの強みは、医師や看護師、リハビリスタッフに加えて、ソーシャルワーカー、薬剤師、さらには管理栄養士までもが手を取り合う、固い結束力にあります。急性期から緩和ケアまで役割の異なる病棟がそろっているからこそ、職種の垣根を超えたきめ細やかなケアが形になるのです。
たとえば、急性の治療を終えた患者さんが地域包括ケア病棟へ移った後は、医師や看護師が引き続き治療を行いつつ、ソーシャルワーカーがこれまでの状況を踏まえ、住み慣れたご自宅へスムーズに戻れるよう「ソフトランディング」を支援します。こうした連携の深さが、スーパーケアミックス病院を目指す当院の特徴といえるでしょう。
若手医師の皆さんには、まずは急性期医療をしっかり学んでいただきたいです。その後、回復期医療や慢性期医療などに幅広く携わり、視野を広げていってください。
当院のようなケアミックス病院は、若手医師の皆さんが学ぶ場として、多様な患者さんの診療に携わることができる理想的な環境であると考えています。多職種のスタッフと協力しながら、地域の皆さんを支える医療提供に励みたいという熱意を持ち、医師としての経験を積んでいってください。
私たちは、何かあったときにいつでも頼れる、敷居の低い病院でありたいと考えています。急に体調を崩したときはもちろん、他の病院から「そろそろ退院してください」と言われたけれど自宅ではまだ看られない、といったご相談も、ぜひお寄せください。どのような段階にある患者さんであっても真摯に向き合い、この街を支える基盤としての役割を果たしていきます。
また、自宅で介護をしている方も同様に、不安や負担を1人で抱え込むことがないよう、患者支援センターをご利用ください。我々を頼っていただければ、これからの安心の暮らしを一緒に形にしていけるはずです。
当院はスーパーケアミックス病院の実現を目指し、地域の皆さんがいかなるときも住み慣れた地域で暮らすことができるように、サポートしていきます。
様々な学会と連携し、日々の診療・研究に役立つ医師向けウェビナーを定期配信しています。
情報アップデートの場としてぜひご視聴ください。