院長インタビュー

“眼の総合病院”を目指して、“患者さま第一主義”の医療を提供する井上眼科病院の取り組み

“眼の総合病院”を目指して、“患者さま第一主義”の医療を提供する井上眼科病院の取り組み
井上 賢治 先生

医療法人社団済安堂 井上眼科病院グループ 理事長、井上眼科病院 院長

井上 賢治 先生

目次
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医療法人社団済安堂 井上眼科病院(以下、井上眼科病院)は、創業から130年以上の歴史を持つ眼科専門の病院です。同院は、井上眼科病院グループの一員として、系列の眼科病院やクリニックと連携しながら、診療を行っています。

診療の特徴やユニヴァーサルデザインへの取り組みなどについて、医療法人社団済安堂 井上眼科病院グループの理事長であり井上眼科病院の病院長である井上 賢治(いのうえ けんじ)先生にお話を伺いました。

井上眼科病院 外観
井上眼科病院 外観

当院は1881年の創業以来、眼科疾患全般の治療を担う“眼の総合病院”を目指して医療を提供し続けています。創業時は、東京都千代田区の駿河台(するがだい)に位置する当院のみで診療を行っていましたが、2020年2月現在では、併設するお茶の水・井上眼科クリニックをはじめ、西葛西・井上眼科病院や大宮・井上眼科クリニック、札幌・井上眼科クリニックといった複数の施設が井上眼科病院グループとして連携して診療を行っています。

当院では、主に白内障緑内障などの手術が必要な患者さんへの治療を行っています。入院設備を整えているので、術前術後に安静が必要な手術も実施可能です。併設するお茶の水・井上眼科クリニックでは、一般眼科外来と各種専門外来を設け、“眼の総合病院”としてあらゆる眼科疾患に対応する体制の構築に努めています。

ロービジョン外来の様子
お茶の水・井上眼科クリニック総合受付

当院に併設しているお茶の水・井上眼科クリニックを窓口として、ロービジョン外来を開設しています。クリニックの診断後、手術や入院による治療が必要な患者さんは、当院や西葛西・井上眼科病院で受け入れています。

ロービジョン外来とは、世界保健機関(WHO)が定義するロービジョン(矯正視力0.05~0.3未満)の方を含む、日常の中で“見えづらさ”を感じている方を対象に診療を行ったり、ご相談を受けたりしている専門外来です。

眼科疾患には手術などで治療を行っても、視力が完全には戻らない病気もあります。治療後に、病気やそれによるロービジョンとどのように付き合っていくか、日常のなかの不便さを少しでも緩和するにはどうすればよいかなど、患者さんにアドバイスをしています。

さらに、同クリニック内に構える“目の相談室”と連携して、医療ソーシャルワーカーによるロービジョンの方への就業支援や視覚障害者が受けられるサービスの紹介も行っています。

井上眼科病院グループでは、幅広い眼科疾患の治療に対応するために、各種専門外来をそろえています。また、白内障手術や硝子体手術をはじめとして、手術治療を積極的に実施しています。日帰り手術も可能ですので、診察時に担当医に手術や治療に関するご希望をお話しいただければと思います。

眼科ドックの様子
眼底三次元画像解析検査の様子

お茶の水・井上眼科クリニックでは、眼科ドックを実施しています。眼科ドックでは視力、眼圧などの検査のほかに、緑内障や黄斑疾患の診断が可能な三次元眼底解析検査やドライアイ検査、角膜内皮細胞検査なども行います。できる限り自覚症状が出る前に病気を発見し、すぐに治療できるように、定期的な検査をおすすめしています。

また、眼科ドックで異常が見つかった方や先ほど紹介したロービジョン外来など、井上眼科病院グループのクリニックの外来を受診された患者さんは、系列病院で手術や入院加療が可能です。系列医療機関の間で密な連携を取り、検査から治療までをグループ内で完結できるように尽力しています。

*2020年1月現在、眼科ドックは公的医療保険の適用対象外です。想定される費用は20,000円(税別)であり、全額自己負担となります。また、眼科ドックは、必ずしも病気が発見できることを保証するものではありません。

床に誘導タイルが埋め込まれた待合室
床に誘導タイルが埋め込まれ、サインやフォントを見やすく変えた院内

当院を含めた、井上眼科病院グループの全ての病院では、病院内装に、ロービジョン患者さんがなるべく不便を感じないように工夫したユニヴァーサルデザインを導入しています。

当院では、トイレの男女マークや案内表記などのサインやフォントを見やすく変えることや、床に誘導タイルを埋め込んでどこを歩いているのか分かりやすくするなど、目の不自由な患者さんが自力で目的地まで移動できるようにしています。

このユニヴァーサルデザインの導入で西葛西・井上眼科病院が、2015年に国際ユニヴァーサルデザイン協議会(IAUD)主催のIAUDアウォード2015大賞を受賞。2016年には、日本医療福祉建築協会主催の医療福祉建築賞の準賞を受賞しました。

ロービジョンケアの様子
ロービジョンケアの様子

当院では、ロービジョンの方を積極的に職員雇用する取り組みを行っています。ロービジョンの職員は、患者さんにIT機器の視覚補助機能やアプリの使い方を教えることや、カウンセリングをすることで、ロービジョンケアを行っています。また、一般職員では気が付きにくい眼科患者さんのお悩みを実体験から察知できることもあるため、ほかのスタッフの助けになっています。

当院ではロービジョン職員が、視覚障害を持っていても輝きながら自信を持って仕事ができるよう、病院全体でサポートしながら、視覚障害に関する理解を深めています。

このロービジョン職員の雇用への取り組みにより、2016年には当院の職員が視覚障害者の自立を促すisee!運動から“Working Awards”Most Inclusive Playerを受賞しました。

井上先生

若いときには、積極的に苦労をしてください。若いときの苦労は、自身の技術や知識を向上させる糧となります。やらないといけない課題をこなすだけではなく、ときには先輩医師の手術を見学したり、診療の手助けをしたり、能動的に学んでください。

井上眼科病院グループでは、若手医師の教育も行いつつ、どの医師も互いに切磋琢磨しながら自己の技術向上に取り組んでいます。よい医師になりたいと思うのなら、貪欲になってほしいと思います。

当院は創立以来、患者さん第一主義を理念に眼科医療を提供してきました。患者さんのお話をよく聞いて、丁寧に接することを大切にしているため、ときには受診をお待たせしてしまうこともあるかと思います。ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解いただければ幸いです。

さまざまな情報が手軽に手に入る時代になりましたが、気になる症状があるときは自己判断せずに、病院やクリニックできちんと受診してほしいと思います。病気の早期発見、早期治療のためにも、ぜひお気軽にご来院ください。

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  • 医療法人社団済安堂 井上眼科病院グループ 理事長、井上眼科病院 院長

    井上 賢治 先生

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